「死体埋め部の悔恨と青春」のあらすじを検索して、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。物騒で一度見たら忘れられないタイトルですが、一体どんな話なのだろうと興味を惹かれますよね。この物語の面白さを理解するには、単なるあらすじだけでなく、物語の魅力的なポイントや、実際に読んだ人々の読者の感想、そして類まれな作品を生み出す作者についても知ることが鍵となります。
この記事では、物語の核心に触れつつも、これから読む方の楽しみを奪わない範囲で、作品の全体像を詳しく解説していきます。
- 物語の基本的なあらすじ
- 主要な登場人物とその関係性
- 作品が持つ独特な魅力と面白さ
- 復刊情報や作者に関する最新情報
「死体埋め部の悔恨と青春」あらすじと全体像

- どんな話?あらすじを解説
- 物語を彩る主要な登場人物
- 物語を読み解く3つのポイント
どんな話?あらすじを解説
この物語は、ごく平凡な大学生活が、ある出来事をきっかけに一変してしまう、ダークな青春ミステリーです。
英知大学に入学したばかりの一年生、祝部浩也(はふりべ ひろや)は、大学からの帰り道に暴漢に襲われ、もみ合った末に正当防衛で相手を殺してしまいます。パニックに陥り途方に暮れる祝部の前に、同じ大学の先輩だと名乗る織賀善一(おりが ぜんいち)が偶然通りかかります。「助けてやろうか?」という彼の言葉に乗り、祝部は混乱したまま織賀の車に乗り込みます。
しかし、その車の後部座席には、すでに別の死体が乗せられていました。織賀は自らを「死体埋め部」の部長だと称し、依頼を受けて死体を山に埋めることで生計を立てていると明かします。こうして祝部は、半ば強制的に死体埋め部の新入部員となり、織賀の「仕事」を手伝うことになるのです。
物語は主に、依頼された死体を織賀マウンテンと呼ぶ山へ埋めに行く車内で展開されます。退屈を嫌う織賀を紛らわすため、祝部は死体の状況や持ち物といった限られた情報から、その人物がなぜ殺されたのか、どんな人生を送っていたのかを推理するという、特殊な形式のミステリーが進行します。本作は四つの事件を扱う連作短編集の形式をとっており、各話の推理を重ねる中で、物語の核心にある大きな謎へと迫っていきます。
物語を彩る主要な登場人物
本作の魅力は、特異な状況に置かれた二人の主人公の関係性によって支えられています。ここでは、物語の中心となる登場人物を紹介します。
祝部 浩也(はふりべ ひろや)
本作の語り手であり、平凡な大学一年生です。うっかり人を殺してしまったことから、非日常的な「死体埋め部」の活動に巻き込まれていきます。基本的には常識人ですが、織賀のペースに乗せられ、死体の謎を解く推理ゲームに順応していくことになります。彼の視点を通して、読者は恐怖や混乱、そして織賀に対する複雑な感情を共有することになります。彼の名前の由来が、物語の後半で重要な意味を持つことも示唆されています。
織賀 善一(おりが ぜんいち)
祝部と同じ大学に通う先輩で、「死体埋め部」の部長です。愛車のジャガーを駆り、常に飄々(ひょうひょう)としていて掴みどころがありません。しかし、その軽薄な態度の裏には、時折冷酷さや底知れない闇を感じさせます。彼の過去や死体を埋める理由こそが、このシリーズ全体の大きな謎の一つです。祝部の推理に対して「承認」を与えるジャッジ役であり、彼の心を試すような言動で物語をかき回す、神のようでもあり悪魔のようでもある存在です。
登場人物 | 役割 | 特徴 |
祝部 浩也 | 主人公・語り手 | 平凡な大学生だったが、殺人という非日常に巻き込まれる。探偵役。 |
織賀 善一 | 死体埋め部部長 | 飄々としているが謎多き先輩。物語のトリックスターであり、依頼人。 |
物語を読み解く3つのポイント

この作品は、単なるミステリーに留まらない多層的な魅力を持っています。ここでは、物語をより深く楽しむための3つのポイントを解説します。
① 死体から始まる倒叙ミステリー
多くのミステリーが「犯人探し」を目的とするのに対し、本作は「死体」が最初に提示され、「なぜ、どのようにしてこの人物は死に至ったのか」を推理する、一種の倒叙ミステリーの形式をとっています。限られた情報から真相を推測するこの形式は、ミステリーファンにはお馴染みの「九マイルは遠すぎる」を彷彿とさせます。しかし、本作の舞台は死体と共に走る車の中という、他に類を見ない異常な状況です。このユニークな設定が、緊張感と知的な面白さを両立させています。
② 歪んだ関係性が生む青春小説
「死体埋め部」という活動は、祝部と織賀の間に歪んだ共犯関係を築きます。弱みを握られ、逃げられない状況にありながら、祝部は次第に織賀の持つ不思議なカリスマ性に惹かれ、複雑な愛着にも似た感情を抱くようになります。この危ういバランスで成り立つ二人の関係性の変化こそが、物語の縦軸となる「青春」パートです。倫理観が崩壊した世界で、少年が大人へと変貌していく様が、痛々しくも鮮烈に描かれています。
③ 軽妙な会話劇とシリアスな展開の落差
物語の大部分は、祝部と織賀の軽快でユーモラスな会話で進行します。死体を運んでいるとは思えないほどのポップなやり取りが、読者を油断させます。しかし、その軽やかさとは裏腹に、物語の根底には「死」や「貧困」「人間の尊厳」といった重いテーマが流れています。この緩急の激しいギャップが、読後になんとも言えない余韻と、物語の底知れない恐ろしさを残すのです。特に、最終話で明かされる事実は、それまでの物語の印象を覆すほどの衝撃を与えます。
「死体埋め部の悔恨と青春」あらすじ以外の魅力

- 作者は注目の作家、斜線堂有紀
- 読者の感想から見る作品の評判
- 「死体埋め部の悔恨と青春」はどこで読める?
- 「死体埋め部の悔恨と青春」のあらすじ総括
作者は注目の作家、斜線堂有紀
本作を手がけたのは、1993年生まれの小説家、斜線堂有紀(しゃせんどう ゆうき)氏です。上智大学在学中の2016年に、『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞の「メディアワークス文庫賞」を受賞し、デビューしました。
ミステリー、SF、青春小説など、ジャンルを越境して精力的に作品を発表しており、そのどれもが高い評価を得ています。特に、2021年に刊行された『楽園とは探偵の不在なり』は本格ミステリ大賞の候補作となり、一躍ミステリー界の注目株となりました。
他にも、特殊な設定下での濃密な人間関係を描く『私が大好きな小説家を殺すまで』や、ベストセラーとなり2025年には実写映画の公開も控えている『恋に至る病』など、話題作を次々と世に送り出しています。2024年には『星が人を愛すことなかれ』で第4回「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」を受賞するなど、現在最も勢いのある作家の一人と言えるでしょう。
読者の感想から見る作品の評判

「死体埋め部の悔恨と青春」は、読者の間で非常に高い評価を得ている一方で、その特異な設定から評価が分かれる側面もあります。
肯定的な感想としては、「設定の勝利」「唯一無二の青春小説」といった声が多く見られます。特に、軽妙な会話と重いテーマのギャップや、織賀先輩の掴みどころのないキャラクターの魅力に言及する声が目立ちます。また、「ラストの衝撃が忘れられない」「続編も一気に読んでしまった」というように、物語の展開に引き込まれたという感想も多数あります。
一方で、注意点として挙げられるのが、その倫理観です。一部の読者からは「登場人物の行動に共感できない」「織賀先輩が怖すぎる」といった感想も見受けられます。人の死を軽々しく扱うかのような描写や、主人公が犯罪に加担していく様に嫌悪感を抱く人もいるかもしれません。
このように、読む人を選ぶ作品であることは確かですが、ハマる人にはとことん刺さる、強烈な個性と魅力を持った作品であると考えられます。
「死体埋め部の悔恨と青春」はどこで読める?

「死体埋め部の悔恨と青春」は紙の書籍の他に電子書籍版も配信されており、電子書籍サービス【DMMブックス】 では、本書の一部を無料で試し読みすることができます。初回購入時には購入金額を70%オフするクーポンが付いてきますので、試し読みで本書の雰囲気をつかんで気に入ったのであれば、お得に購入できるチャンスです。

「死体埋め部の悔恨と青春」のあらすじ総括
この記事では、「死体埋め部の悔恨と青春」のあらすじや魅力について解説してきました。最後に、本記事の要点を箇条書きでまとめます。
- 著者は今最も注目される作家の一人、斜線堂有紀
- ごく普通の大学生が死体を埋める活動に巻き込まれる物語
- 主人公はうっかり殺人を犯してしまった祝部浩也
- 彼を部に引き込む謎多き先輩が織賀善一
- 活動内容は依頼された死体を山に埋めること
- 死体を運ぶ車中での推理劇がミステリーの核
- 限られた情報から死の背景を解き明かす
- ジャンルはダークな青春ミステリー
- 歪んだ共犯関係の中で育まれる奇妙な絆がテーマ
- 軽快な会話劇とシリアスな現実とのギャップが魅力
- 物語の結末には大きな衝撃が待っている
- 読者からの評価は非常に高いが、人を選ぶ側面も
- 続編に『死体埋め部の回想と再興』がある
- 2025年6月より創元推理文庫から復刊が開始
- 復刊版には書き下ろしの新作短編が収録される