小説『ドクトル・ジバゴ』のあらすじをネタバレ解説【結末まで】

小説『ドクトル・ジバゴ』のあらすじをネタバレ解説【結末まで】 あらすじ・要約

「小説『ドクトル・ジバゴ』は一体どんな話?」、「主役は誰で、どんな登場人物がいるの?」、「物語の舞台はどこで、実話なの?」…そんな疑問をお持ちではないでしょうか。ボリス・パステルナークによるこの世界的名作は、その壮大なスケールから、読む前にあらすじを知りたいと思う方も多いでしょう。

また、有名な映画版のラストシーンとの違いや、作者を巻き込んだドクトルジバゴ事件の真相、そして気になる物語の結末について、詳しく知りたいという声も聞かれます。実際に作品を読んだ人たちの読者の感想も気になるところです。

この記事では、ロシア文学の金字塔『ドクトル・ジバゴ』のあらすじを分かりやすく解説するとともに、物語の背景や魅力について、多角的に掘り下げていきます。

この記事で分かること
  • 小説『ドクトル・ジバゴ』の壮大な物語のあらすじ
  • 物語を彩る主要な登場人物たちの関係性
  • 作品の背景にある「ドクトル・ジバゴ事件」の真相
  • 小説と映画版の結末やラストシーンの違い

小説『ドクトル・ジバゴ』のあらすじと概要

小説『ドクトル・ジバゴ』のあらすじと概要
  • 小説はどんな話?壮大な物語のあらすじ
  • 主役は誰?主要な登場人物を紹介
  • 物語の舞台はどこ?激動のロシア
  • 物語の結末はどうなるのか?
  • 物語を補完するジバゴの詩編

小説はどんな話?壮大な物語のあらすじ

小説はどんな話?壮大な物語のあらすじ

ボリス・パステルナーク作の『ドクトル・ジバゴ』は、20世紀初頭のロシア革命という激動の時代を背景に、医師であり詩人でもある主人公ユーリー・ジバゴの波乱に満ちた生涯と、運命の女性ラーラとの愛を描いた壮大な大河小説です。

物語の核心は、戦争や革命といった社会の大きなうねりに翻弄されながらも、個人の内面にある愛や生命、芸術といった普遍的な価値を失わずに生きようとする人間の姿にあります。歴史の暴力が個人の尊厳を踏みにじろうとするとき、人は何を支えに生きるのか。この根源的な問いが、物語全体を貫いています。

物語は、幼くして孤児となったジバゴの生い立ちから始まります。彼はモスクワの知識人家庭に引き取られ、医師としての道を歩み始めます。穏やかな生活は、第一次世界大戦の勃発と、それに続くロシア革命によって打ち砕かれます。

軍医として従軍した先で、彼は看護師として働くラーラと運命的な出会いを果たします。互いに家庭がありながらも強く惹かれ合う二人ですが、革命の混乱は彼らの関係を引き裂き、過酷な運命を強いることになります。

ジバゴはその後、赤軍パルチザンに強制的に従軍させられるなど、時代の波に翻弄され続けます。愛する家族とも引き離され、心身ともに疲弊していく中で、彼の唯一の希望はラーラの存在と、内から湧き出る詩作への情熱でした。この小説は単なる恋愛物語ではなく、一個人の運命を通して、ロシアという国家が経験した巨大な歴史的悲劇と、その中で生きる人々の魂の軌跡を描ききった作品なのです。

主役は誰?主要な登場人物を紹介

主役は誰?主要な登場人物を紹介

『ドクトル・ジバゴ』の物語は、個性豊かで複雑な人間関係を持つ登場人物たちによって織りなされています。ここでは、物語を動かす中心人物たちを紹介します。

登場人物の名前はロシア語特有の愛称で呼ばれることも多く、少し複雑に感じるかもしれません。人物相関を頭に入れておくと、物語をよりスムーズに理解できますよ。

ユーリー・アンドレーヴィチ・ジバゴ

本作の主人公。医師であり、優れた詩人でもあります。裕福な家庭に生まれましたが、幼くして両親を亡くし、モスクワのグロメコ家に引き取られます。内省的で思慮深く、個人の内面世界や自然の美しさを愛する人物です。革命の暴力性や非人間性には批判的で、時代の流れに抗いながらも、人間としての尊厳を保とうとします。妻トーニャを愛しながらも、運命の女性ラーラに魂ごと惹かれていく、人間的な弱さも持ち合わせています。

ラリーサ(ラーラ)・フョードロヴナ・アンチポワ

本作のヒロイン。美しく、情熱的で、強い意志を持つ女性です。母親の愛人である弁護士コマロフスキーに弄ばれ、暗い過去を背負いながらも、気高く生きようとします。革命家のパーシャと結婚し娘をもうけますが、夫の過激な思想にはついていけません。看護師として働いていた戦場でジバゴと出会い、彼の魂の伴侶となります。

ヴィクトル・イッポリートヴィチ・コマロフスキー

狡猾で裕福な弁護士。ジバゴの父を破滅させ、ラーラの母を愛人にした上、若き日のラーラをも誘惑します。世俗的な権力と欲望の化身であり、物語を通じてジバゴやラーラの運命に暗い影を落とす重要な悪役です。しかし、時代を生き抜く強靭な生命力も持っており、単純な悪とは言い切れない複雑な人物でもあります。

パーヴェル(パーシャ)・パーヴロヴィチ・アンチポフ(革命家ストレルニコフ)

ラーラの夫。純粋で理想に燃える青年でしたが、革命に身を投じ、「ストレルニコフ」という名で赤軍の冷酷な司令官となります。理論や理念のためには愛や家族さえも犠牲にする非情な人物へと変貌し、ジバゴとは対極的な存在として描かれます。

アントニーナ(トーニャ)・アレクサンドロヴナ・グロメコ

ジバゴの妻。ジバゴを引き取ったグロメコ家の娘で、彼と兄妹のように育ちます。貞淑で心優しく、夫ジバゴを深く愛し、献身的に支えます。革命後、ジバゴと引き裂かれ、子供たちと共にパリへ亡命するという悲劇的な運命をたどります。

エフグラフ・アンドレーヴィチ・ジバゴ

ジバゴの異母兄。共産党の幹部であり、物語の要所で突如現れては、窮地に陥ったジバゴを助ける謎の多い人物です。彼の存在は、混沌とした物語の中で一種の守護天使のような役割を果たし、物語の結末にも大きく関わってきます。

人物相関図

主要な人物の関係をまとめると、以下のようになります。

人物関係性概要
ユーリー・ジバゴラーラと相思相愛 / トーニャの夫 / エフグラフの異母弟主人公。医師兼詩人。
ラーラジバゴと相思相愛 / パーシャの妻 / コマロフスキーの元愛人ヒロイン。運命に翻弄される女性。
トーニャジバゴの妻献身的にジバゴを支える。
パーシャラーラの夫理想主義者から冷酷な革命家ストレルニコフへ。
コマロフスキーラーラの母とラーラの愛人物語の悪役。欲望の化身。
エフグラフジバゴの異母兄共産党幹部。ジバゴの守護者的存在。

物語の舞台はどこ?激動のロシア

物語の舞台はどこ?激動のロシア

『ドクトル・ジバゴ』の物語は、20世紀初頭の広大なロシア全土を舞台に展開されます。物語の進行とともにジバゴが移動する場所は、当時のロシアが置かれた状況を象徴しています。

物語の始まりは、文化と政治の中心地であった帝政ロシアの首都モスクワです。ここでは、革命前の知識人階級の比較的穏やかな生活が描かれます。

しかし、第一次世界大戦が始まると、ジバゴは軍医としてウクライナ地方の最前線へ送られます。ここで彼は戦争の悲惨さと帝国の崩壊を目の当たりにし、ラーラと再会します。この戦場での経験は、彼の人生観を大きく変えることになります。

ロシア革命後の混乱と食糧難を逃れるため、ジバゴ一家が移り住むのが、ウラル山脈の麓にあるとされる架空の地ヴァルイキノです。ここでは、雪深いロシアの雄大な自然が美しく描かれる一方で、赤軍と白軍の内戦がすぐそばまで迫る緊迫した状況が続きます。近くの町ユーリャチン(モデルはペルミ市)の図書館で、ジバゴは三度ラーラと出会い、二人の愛が燃え上がります。

その後、ジバゴはシベリアのパルチザンに囚われ、広大なタイガをさまよいます。物語の終盤で彼は再びモスクワへ戻りますが、かつての活気はなく、スターリン体制下の息詰まるような社会になっています。このように、登場人物たちの移動は、そのままロシアの激動の歴史をたどる旅路となっているのです。

物語の結末はどうなるのか?

物語の結末はどうなるのか?

【ネタバレ注意】
ここから先は、小説『ドクトル・ジバゴ』の結末について詳しく解説します。未読の方で結末を知りたくない場合はご注意ください。

壮大な物語の結末は、決して幸福なものではなく、むしろロシア革命がもたらした悲劇を象徴する、切なくも静かなものです。

パルチザンから命からがら逃げ出したジバゴは、ラーラとヴァルイキノの「氷の館」でつかの間の愛の日々を過ごします。しかし、追っ手であるコマロフスキーが現れ、ラーラの身の危険を告げます。ラーラとその娘の安全を最優先に考えたジバゴは、必ず後を追うと約束し、彼女たちを東へ逃がすことを決意します。これが、二人の永遠の別れとなりました。

その後、ジバゴはモスクワへ戻りますが、かつての知性や情熱は失われ、心身ともに衰弱していきます。そしてある日、路面電車に乗っていた彼は、偶然ラーラらしき人影を街中に見つけ、後を追おうとします。しかし、その場で激しい心臓発作に襲われ、誰にも看取られることなく路上で息絶えてしまうのです。

一方、ラーラはジバゴを探してモスクワに戻りますが、彼の葬儀で異母兄のエフグラフに会った後、スターリンによる大粛清の嵐の中で消息を絶ちます。おそらくは強制収容所で亡くなったと示唆されています。

物語の最後は、数十年後の第二次世界大戦中に、エフグラフが洗濯女として働く一人の娘を見つけ出す場面で締めくくられます。彼女こそ、ジバゴとラーラの間に生まれた娘ターニャでした。彼女が母親の形見であるバラライカを何気なく奏でる姿に、エフグラフはジバゴの芸術的な魂が確かに受け継がれていることを見出し、物語は静かに幕を閉じます。

物語を補完するジバゴの詩編

小説『ドクトル・ジバゴ』の最大の特徴の一つが、物語の巻末に「ユーリー・ジバゴの詩25篇」が収録されている点です。

これは単なる付け足しではなく、物語本編と深く結びつき、主人公ジバゴの内面世界や精神性を補完する極めて重要な役割を果たしています。小説本体がジバゴの外的・客観的な人生の軌跡を描いているとすれば、詩編は彼の内的・主観的な魂の声を伝えていると言えるでしょう。

これらの詩は、自然、愛、死、復活、芸術といったテーマを扱い、特にキリスト教的なモチーフが色濃く反映されています。例えば、冒頭に置かれた詩「ハムレット」は、自らの過酷な運命を受け入れようとするジバゴ(そして作者パステルナーク自身)の覚悟を表現していると解釈できます。また、「冬の夜」では、ろうそくの炎が象徴するように、混沌とした世界の中に見出す愛の奇跡が描かれています。

詩と物語の共鳴
詩編を読むことで、小説本編の出来事が持つ象徴的な意味がより深く理解できるようになります。例えば、ジバゴとラーラの愛が、詩の中ではしばしば宗教的な奇跡や運命として描かれます。物語を一度読んだ後に詩編を読み、もう一度物語に戻ると、新たな発見があるはずです。

これらの詩は、たとえ肉体は滅び、歴史の闇に葬られようとも、芸術として結晶化した魂は「永遠の記憶」として生き続けるという、パステルナークの芸術家としての信念そのものを体現しているのです。

小説『ドクトル・ジバゴ』のあらすじ以外の魅力

小説『ドクトル・ジバゴ』のあらすじ以外の魅力
  • この物語は実話に基づいているのか?
  • 作者を苦しめたドクトルジバゴ事件とは
  • 有名な映画の感動的なラストシーン
  • 作品を読んだ人たちの様々な感想
  • 小説『ドクトル・ジバゴ』のあらすじを知って原作を読もう

この物語は実話に基づいているのか?

この物語は実話に基づいているのか?

「この壮大な物語は実話なのか?」という疑問は、多くの読者が抱くところでしょう。結論から言えば、『ドクトル・ジバゴ』は完全な実話ではありません。しかし、作者ボリス・パステルナーク自身の体験や思想、人生が色濃く反映された、自伝的要素の強い作品であることは間違いありません。

例えば、主人公ジバゴが医師でありながら詩人でもあるという設定は、パステルナーク自身がロシア文学界を代表する詩人であったことと重なります。また、ジバゴが妻トーニャと運命の女性ラーラという二人の女性の間で揺れ動く姿は、パステルナーク自身が妻ジーナイダと、長年にわたる愛人であり、本作のラーラのモデルとも言われるオリガ・イヴィンスカヤとの間で二重生活を送っていた事実を彷彿とさせます。

さらに、物語で描かれる革命の混乱、 интеллигенция(知識人階級)の苦悩、そしてスターリン体制下の息苦しい社会雰囲気は、パステルナークが実際に生きてきた時代そのものです。彼は、革命が個人の自由や精神性を抑圧していく様子を目の当たりにしてきました。ジバゴが口にするマルクス主義への批判的なセリフは、まさにパステルナーク自身の思想の表明であったと言えます。

このように、『ドクトル・ジバゴ』は特定の誰かの実話ではないものの、作者自身の魂の遍歴と、彼が生きた時代の真実が刻み込まれた、極めて個人的で誠実な作品なのです。

作者を苦しめたドクトルジバゴ事件とは

作者を苦しめたドクトルジバゴ事件とは

『ドクトル・ジバゴ』という作品を語る上で避けて通れないのが、作者パステルナークをノーベル文学賞の受賞辞退にまで追い込んだ、世界的に有名な「ドクトル・ジバゴ事件」です。

この小説は、ロシア革命を必ずしも人類の進歩として描かず、むしろその非人間的な側面や個人にもたらした悲劇を赤裸々に描いたため、ソビエト連邦国内では「反革命的」と見なされ、発表・出版が一切禁じられてしまいました。

しかし、原稿は秘密裏に国外へ持ち出され、1957年にまずイタリアで出版されます。これが世界的な大ベストセラーとなり、パステルナークの名声は一気に高まりました。そして翌1958年、スウェーデン・アカデミーは彼にノーベル文学賞を授与することを決定します。

本来であれば、ソ連の作家として初の快挙となるはずでした。しかし、ここからが悲劇の始まりだったのです。

ソ連共産党と政府は、この決定を「西側諸国による政治的な挑発行為」と激しく非難。国内のメディアは一斉にパステルナークへの罵詈雑言を浴びせ、彼は作家同盟から除名されてしまいます。ついには、「受賞するならソ連から追放する」という脅迫まで受けたのです。

祖国を深く愛していたパステルナークは苦悩の末、「母国を去ることは、死に等しい」と述べ、受賞を辞退する電報をスウェーデン・アカデミーに送りました。これは、政治的圧力によってノーベル賞の受賞者が辞退を余儀なくされた、前代未聞の事件となりました。

この一連の騒動は「ドクトル・ジバゴ事件」として世界中に知れ渡り、ソ連という国家の芸術に対する不寛容さを白日の下に晒す結果となったのです。パステルナークは失意の中、1960年にこの世を去りました。彼の名誉が回復され、母国ロシアで『ドクトル・ジバゴ』が出版されたのは、ソ連崩壊直前の1988年のことでした。

有名な映画の感動的なラストシーン

有名な映画の感動的なラストシーン

『ドクトル・ジバゴ』は、1965年にデヴィッド・リーン監督によって映画化され、世界的な大ヒットを記録しました。この映画版は、原作の持つ政治的・哲学的な側面よりも、ジバゴとラーラの壮大なラブストーリーに焦点を当てており、多くの人にとって『ドクトル・ジバゴ』のイメージを決定づけた作品と言えるでしょう。

特に、映画のラストシーンは観る者に深い感動を与え、非常に有名です。

映画の物語は、ジバゴの異母兄であるエフグラフ将軍(アレック・ギネス)が、ダムの建設現場で働く一人の若い女性(リタ・トゥシンハム)に面会する場面から始まります。彼は、この女性がかつて行方不明になったジバゴとラーラの娘ではないかと考えているのです。しかし、彼女は幼い頃の記憶がなく、自分が誰の子であるか分かりません。

面会が終わり、彼女が立ち去ろうとしたとき、エフグラフは彼女が肩からバラライカを提げていることに気づきます。彼は尋ねます。「弾けるのかね?」「誰に習ったわけでもないのですが、なぜか弾けるのです」と彼女は答えます。実は、ジバゴの母はバラライカの名手であり、その楽器はジバゴ、そしてラーラへと受け継がれていた形見の品でした。

血は争えない、彼女こそが紛れもなくジバゴの娘なのだと確信したエフグラフの目に、かすかな涙が浮かびます。そしてカメラは、夕日に照らされる巨大なダムの向こうに架かる美しい虹を映し出し、モーリス・ジャール作曲のあまりにも有名な「ラーラのテーマ」が高らかに流れる中、物語は幕を閉じます。

このラストシーンは、個人の命は尽きても、愛と芸術の魂は次の世代へと受け継がれていくという、希望に満ちたメッセージを観客に与えました。原作の持つ静かでほろ苦い結末とはまた違った、スペクタクル映画ならではの感動的な締めくくり方と言えるでしょう。

作品を読んだ人たちの様々な感想

作品を読んだ人たちの様々な感想

『ドクトル・ジバゴ』は世界文学の中でも屈指の名作ですが、その壮大さや複雑さから、読者の感想も様々です。ここでは、実際に作品を読んだ人たちの声を集めてみました。

肯定的な感想・魅力に感じた点

  • 人間賛歌としての物語:「激動の時代に翻弄されながらも、愛や人間性を失わない登場人物たちの姿に感動した」「歴史という大きな力の前で、個人がいかに無力で、しかしいかに尊いかを考えさせられた」といった、人間そのものを描いた物語としての深さを評価する声が多く見られます。
  • 詩的で美しい文章:「自然描写が息をのむほど美しい」「パステルナークが詩人だからこその、散文なのに詩を読んでいるかのような文章に引き込まれた」など、その文学性の高さを称賛する感想も目立ちます。
  • 歴史のダイナミズム:「ロシア革命という時代を、教科書ではなく生身の人間の視点から体験できる」「歴史のダイナミズムと個人の運命が交錯する様に圧倒された」という、大河小説ならではの読み応えを評価する声も多いです。

難しいと感じた点・否定的な感想

  • 登場人物の多さと名前の複雑さ:「登場人物が多く、さらにロシア特有の愛称(ユーリー→ユーラなど)が頻出するため、誰が誰だか分からなくなりがち」というのは、多くの読者が最初に直面する壁のようです。人物相関図をメモしながら読むことが推奨されています。
  • 歴史的背景の知識:「ロシア革命や当時の思想に関する知識がないと、登場人物の会話や行動の意図を完全に理解するのは難しいかもしれない」という意見もあります。
  • 物語の展開:「ジバゴとラーラの恋愛が中心かと思いきや、二人が共に過ごす時間は意外と少ない」「偶然の出会いが多すぎて、ご都合主義に感じる部分もあった」といった、物語の構成に関する指摘も見受けられます。

総じて、手軽に楽しめるエンターテイメント小説というよりは、じっくりと腰を据えて向き合うことで、深い感動と知的興奮を得られる作品と言えそうです。映画版を先に観て大まかなストーリーを掴んでから原作に挑む、というのも一つの良い方法かもしれません。

小説『ドクトル・ジバゴ』のあらすじについて総括

この記事では、小説『ドクトル・ジバゴ』のあらすじや背景について詳しく解説してきました。最後に、本記事の要点をまとめます。

  • 『ドクトル・ジバゴ』はロシア革命期を生きた医師ジバゴと恋人ララの愛と運命を描く大河小説
  • 物語の主題は歴史の暴力の中でも失われない個人の愛や精神性
  • 主要な登場人物は医師ジバゴ、運命の女性ラーラ、悪役コマロフスキー、革命家パーシャなど
  • 舞台はモスクワ、ウクライナ、ウラル地方など広大なロシア全土に及ぶ
  • 結末はジバゴの路上死とラーラの失踪という悲劇的なもの
  • ジバゴとラーラの間に生まれた娘に芸術の魂が受け継がれたことが示唆される
  • 巻末の詩編はジバゴの内面を理解する上で非常に重要
  • 物語は実話ではないが、作者パステルナーク自身の人生が色濃く反映されている
  • 「ドクトル・ジバゴ事件」とは、本作が原因で作者がノーベル賞辞退に追い込まれた事件
  • ソ連国内では長年発禁処分とされていた
  • 1965年の映画版はラブストーリーに焦点を当てており、世界的に大ヒットした
  • 映画のラストシーンはバラライカが象徴的に使われ、希望を感じさせる演出となっている
  • ロシア史の知識があるとより深く楽しめるが、まずは壮大な物語として味わうことができる
  • 文学史に残る不朽の名作であり、人生で一度は触れておきたい作品の一つ
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