小説「終わった人」のあらすじを紹介!見どころや映画との違いも解説

小説「終わった人」のあらすじを紹介!見どころや映画との違いも解説 あらすじ・要約

内館牧子さんの小説『終わった人』について、どのようなあらすじなのか気になっていませんか。

仕事一筋だったエリートの定年後を描いたこの物語は、多くの読者の心を掴んでいます。この記事では、小説『終わった人』の詳しいあらすじを、物語の魅力を交えて分かりやすく解説します。さらに、物語を彩る登場人物や作品の見どころ、一部で見られるつまらないという読者の感想の真相にも迫ります。

脚本家としても有名な作者の内館牧子さんの人物像や、舘ひろしさん主演で話題となった映画との違い、そして原作はどこで読めるのかといった情報まで、網羅的にご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること
  • 小説『終わった人』のあらすじと物語のテーマ
  • 主人公を取り巻く登場人物や、作品の重要な見どころ
  • 原作小説と映画版のストーリーや設定の違い
  • お得に作品を読むためのおすすめの方法

小説「終わった人」のあらすじと基本情報

小説「終わった人」のあらすじと基本情報
  • 小説『終わった人』のあらすじ
  • 物語を彩る主要な登場人物
  • 定年後のリアルを描いた見どころ
  • つまらないという感想は本当?
  • 読者の感想からわかる作品の評価

小説『終わった人』のあらすじ

小説『終わった人』のあらすじ

物語の主人公は、大手銀行の出世コースを歩んでいたものの、子会社への出向を命じられ、そのまま63歳で定年を迎えた田代壮介です。

仕事一筋でこれといった趣味もなかった彼は、定年と同時に社会との繋がりを断たれたように感じ、「定年は生前葬だ」と無気力な日々を送るようになります。美容師として生き生きと働く妻・千草や、独立した娘・道子からは「恋でもしたら?」と軽くあしらわれ、家庭内でも居場所を見つけられずにいました。

「このまま終わった人にはなりたくない」と強く願う壮介は、再就職を目指して職業安定所に通いますが、その輝かしい経歴が逆に敬遠され、思うように職は見つかりません。

新たな出会いが人生を動かす

そんな中、壮介は新たな挑戦として大学院進学を考え始めます。その準備のために通い始めたカルチャースクールで、彼は受付嬢の浜田久里という年下の女性と出会い、日常に彩りが生まれます。一方で、時間潰しで入会したスポーツジムでは、新進気鋭のIT企業社長・鈴木直人と知り合い、懇意になりました。

これまで交わることのなかった人々との出会いは、壮介の単調だった定年後の人生を、誰も予想しなかった方向へと大きく動かしていきます。仕事、恋、そして自らのプライド。様々なものに揺れ動かされながら、壮介は人生の大きな転機に直面することになるのです。果たして彼は、新たな生きがいを見つけ、満たされた第二の人生を歩むことができるのでしょうか。

物語を彩る主要な登場人物

物語を彩る主要な登場人物

『終わった人』の物語は、個性豊かで人間味あふれる登場人物たちによって、より深く、リアルなものになっています。ここでは、物語の中心となる主要な登場人物をご紹介します。

田代壮介本作の主人公。東大卒で元エリート銀行員。定年後に生きがいを失い、社会との繋がりを求めて奮闘する。プライドが高いが、根は真面目。
田代千草壮介の妻。壮介の定年後に美容師として自立の道を歩み始める。現実的でドライな一面も持つが、夫を突き放しきれない。
浜田久里カルチャースクールの受付嬢。壮介の心をときめかせる相手。ミステリアスな雰囲気を持つ39歳の女性。
鈴木直人壮介がジムで出会うITベンチャーの若手社長。壮介の経歴に目をつけ、彼に新たな活躍の場を提案する。
山崎道子壮介と千草の一人娘。結婚して家を出ている。両親に対してはっきりものを言う、現代的な感覚の持ち主。

これらの登場人物が織りなす人間関係や、それぞれの心情の変化が、この物語の大きな魅力の一つです。

定年後のリアルを描いた見どころ

定年後のリアルを描いた見どころ

『終わった人』が多くの読者から共感を得ている理由は、定年後の男性が直面するリアルな心情や状況を、痛々しいほど巧みに描いている点にあります。ここでは、本作の特に注目すべき見どころを3つご紹介します。

1. 「定年は生前葬」という喪失感

物語の冒頭で語られる「定年って生前葬だな」という壮介の言葉は、本作のテーマを象徴しています。仕事というアイデンティティを失い、社会から必要とされなくなったと感じる主人公の深い喪失感や焦燥感は、定年を控えた世代だけでなく、働くすべての人にとって他人事とは思えないリアリティを持っています。

2. 高いプライドと現実のギャップ

東大卒のエリートだった壮介は、定年後も「そこらのジジババと一緒ではない」という高いプライドを捨てきれません。しかし、現実の社会ではそのプライドが再就職の邪魔になったり、周囲との溝を深めたりします。この理想と現実のギャップに苦しむ姿は、滑稽でありながらも切実で、人間の弱さや哀愁を感じさせます。

3. 変化する夫婦の距離感

夫が毎日家にいるようになったことで、それまで見えなかった問題が浮き彫りになり、夫婦関係が変化していく様子も大きな見どころです。壮介と千草の間のどこかぎこちないやり取りや、お互いへの本音は、長年連れ添った夫婦のリアルな距離感を考えさせられます。

つまらないという感想は本当?

多く高評価を得ている一方で、『終わった人』に対して「つまらない」あるいは「共感できない」といった感想を持つ読者がいるのも事実です。これは、決して作品の質が低いということではありません。

主な理由として、以下の2点が挙げられます。

共感しにくいと感じるポイント

1. 主人公のプライドの高さ:
主人公・壮介の見栄っ張りでプライドの高い性格や、年下女性に心を動かされる姿に、終始イライラしてしまい、感情移入できなかったという声があります。彼の行動が自分勝手に見えてしまい、物語を楽しめなかったというケースです。

2. 金銭感覚の違い:
壮介は元エリート銀行員であり、定年後の生活にも一定の余裕があります。そのため、彼の抱える悩みが、より切実な経済問題を抱える読者にとっては「贅沢な悩み」に感じられ、共感を妨げる一因になっているようです。

このように言うと、ネガティブな印象を持つかもしれませんが、むしろ主人公の「どうしようもなさ」こそが、この作品の人間的なリアルさを際立たせているとも言えます。好き嫌いが分かれる主人公だからこそ、かえって議論を呼び、作品に深みを与えているのです。

読者の感想からわかる作品の評価

読者の感想からわかる作品の評価

『終わった人』は、読者の年齢や立場によって評価が大きく分かれる作品です。ここでは、実際に寄せられた様々な感想から、本作がどのように受け止められているのかを見ていきましょう。

共感と称賛の声

最も多いのは、「自分の将来を見ているようで身につまされる」「定年後の男性心理がリアルに描かれていて面白い」といった共感の声です。

特に、作中で登場する「思い出と戦っても勝てねンだよ」というセリフは、多くの読者の心に響いています。過去の栄光にすがりたくなる気持ちと、それを受け入れて前に進むことの難しさを的確に表現した名言として、高く評価されていました。

また、「どんなエリートでも、人生の終盤は同じような悩みを抱えるのかと考えさせられた」「安易なハッピーエンドではない結末が良い」といった、物語の深さを称賛する感想も目立ちます。

批判的な意見

一方で、前述の通り「主人公の壮介に全く共感できない」という意見も少なくありません。妻・千草の夫に対する態度の厳しさについても、「長年支えてきた夫に対して冷たすぎるのでは」と感じる読者もいるようです。

ただ、こうした批判的な意見も含めて、読者が自分の人生と重ね合わせ、様々な感情を抱かせる点に、この小説の持つ力の大きさが表れていると言えるでしょう。

「終わった人」のあらすじ以外の魅力と情報

「終わった人」のあらすじ以外の魅力と情報
  • 作者の内館牧子氏はどんな人?
  • 映画版と原作の違いを解説
  • 小説はどこで読める?おすすめを紹介
  • 「終わった人」のあらすじと感想まとめ

作者の内館牧子氏はどんな人?

『終わった人』の深い洞察とリアルな描写は、作者である内館牧子さんの多彩な経歴と鋭い観察眼から生まれています。内館さんは、単なる小説家ではありません。

もともとはOLとして企業に勤めていましたが、30代でシナリオを学び始め、40歳で脚本家としてデビュー。以降、NHK連続テレビ小説『ひらり』大河ドラマ『毛利元就』など、数々のヒットドラマを手掛けてきました。

ユニークな経歴の持ち主

内館さんのユニークさは、脚本業だけにとどまりません。彼女は大変な好角家(相撲ファン)として知られており、2000年から10年間にわたり、女性として初めて横綱審議委員会の委員を務めました。さらに、その探求心から東北大学大学院に入学し、「相撲宗教学」を研究して修士号を取得しています。このような多角的な視点が、人間の本質を鋭く描く作風に繋がっているのです。

『終わった人』の続編ともいえる『すぐ死ぬんだから』など、高齢期をテーマにした作品を多く発表しており、現代社会が抱える問題を独自の切り口で描く作家として、今もなお第一線で活躍されています。

映画版と原作の違いを解説

映画版と原作の違いを解説

『終わった人』は2018年に映画化され、主演を舘ひろしさん、妻・千草役を黒木瞳さんが務めたことでも大きな話題となりました。原作のテーマを大切にしながらも、映画ならではの脚色が加えられており、両者にはいくつかの違いがあります。

ここでは、主な違いを比較表にまとめました。

項目原作小説映画版
雰囲気主人公の心理描写が中心。シリアスで内省的なトーン。エンターテインメント性が高く、コミカルなシーンも多い。
久里との関係壮介の一方的な恋心として、より切実に描かれる。広末涼子が演じ、原作よりライトで華やかな印象。
物語の結末主人公が故郷で自身の生き方を見つめ直すパーソナルな結末。社会との繋がりの中で希望を見出す、よりポジティブな結末。
テーマ個人の内面的な「成仏」や「品格のある衰退」。社会との繋がりや再起といった、より前向きな側面を強調。

特に物語の結末は、それぞれ異なる読後感を与えます。原作が個人の内面を深く掘り下げるのに対し、映画版はより多くの人が共感しやすい希望に満ちたラストを描いています。

どちらが良いというわけではなく、それぞれに魅力があります。原作を読んでから映画を観る、あるいはその逆も、二度楽しめるおすすめの方法ですよ。

小説はどこで読める?おすすめを紹介

小説はどこで読める?おすすめを紹介

『終わった人』を読んでみたいと思った方のために、主な購読方法をご紹介します。本作は、紙の書籍だけでなく、電子書籍やオーディオブックでも楽しむことができます。

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購読方法メリットデメリット
紙の書籍(書店・通販)所有感がある。貸し借りができる。保管場所が必要。すぐに読めない場合がある。
電子書籍(DMMブックスなど)クーポンでお得。スマホですぐ読める。場所を取らない。目が疲れやすいと感じる人もいる。サービス終了のリスク。
オーディオブック(Audibleなど)通勤中や作業中に「ながら聴き」ができる。料金が比較的高め。読み放題対象でない場合がある。
図書館無料で読める。貸出中の場合が多い。返却の手間がある。

ご自身のライフスタイルや読書習慣に合わせて、最適な方法を選んでみてください。

「終わった人」のあらすじと感想まとめ

最後に、この記事で解説してきた『終わった人』に関するポイントをまとめます。

  • 主人公は大手銀行を定年退職した田代壮介
  • 仕事一筋だったため定年後に生きがいを失う
  • プライドが邪魔をして再就職がうまくいかない日々
  • 年下の女性やIT社長との出会いが転機となる
  • 物語は壮介が人生の大きな選択に迫られる展開へ
  • テーマは定年後の喪失感やセカンドライフの模索
  • 見どころはエリートのプライドと現実のギャップ
  • 「つまらない」という感想は主人公の性格が主な理由
  • 読者の評価は年齢や共感度によって大きく分かれる
  • 名言「思い出と戦っても勝てねンだよ」が心に響くとの声多数
  • 作者の内館牧子氏は脚本家や横審委員も務めた多彩な人物
  • 映画版は原作よりエンタメ性が高く、結末の趣が異なる
  • 原作小説は紙のほか電子書籍やオーディオブックでも楽しめる
  • お得に読むならDMMブックスの初回90%OFFクーポンがおすすめ
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