米澤穂信『満願』の小説あらすじを全編ネタバレ解説

米澤穂信『満願』の小説あらすじを全編ネタバレ解説 あらすじ・要約

米澤穂信が描く傑作ミステリー短編集『満願』。この記事では、「満願の小説あらすじを知りたい」「各短編の解説を読みたい」というあなたのために、物語の核心に迫るネタバレ解説をお届けします。

作者である米澤穂信が生み出す世界観は、時に「柘榴の解説は気持ち悪い」と感じられたり、結末が「意味がわからない」と評されたりすることも。特に人気の「夜警」や「死人宿」の解説はもちろん、読者のレビューや感想を交えながら、この衝撃作の魅力を徹底的に解き明かします。さらに、満願の小説はどこで読めるのか、お得な情報もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること
  • 小説『満願』の全体と各短編のあらすじ
  • 読後感が悪いと言われる理由と読者の感想
  • 各短編の謎や伏線のネタバレ解説
  • 『満願』をお得に読める電子書籍サービス

小説「満願」のあらすじと収録作品の魅力

小説「満願」のあらすじと収録作品の魅力
  • 短編集「満願」の全体あらすじ
  • 「夜警」の解説
  • 「死人宿」の解説
  • 「柘榴」の解説 気持ち悪いという意見も?
  • 「関守」と「万灯」の解説
  • 作者・米澤穂信はどんな作家?

短編集「満願」の全体あらすじ

米澤穂信の『満願』は、6つの独立した物語で構成されるミステリー短編集です。この作品は、その完成度の高さからミステリー界で非常に高い評価を受けており、「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」の3大ランキングで国内部門1位を獲得し、史上初の3冠を達成したことでも知られています。

収録されているのは、人の心の奥底に潜む欲望、嫉妬、見栄、そして愛情といった感情が引き起こす事件を描いた物語たちです。単純な犯人当てに留まらず、なぜその結末に至ったのかという登場人物の心理が深く掘り下げられており、読後にずしりとした余韻を残します。そのため、一部では「イヤミス(読んだ後に嫌な気分になるミステリー)」とも呼ばれますが、それこそが本作の最大の魅力と言えるでしょう。

『満願』の主な受賞歴

受賞・ランキング順位
第27回 山本周五郎賞受賞
このミステリーがすごい! 2015年版 国内編1位
週刊文春ミステリーベスト10 2014 国内部門1位
ミステリが読みたい! 2015年版 国内編1位
第151回 直木三十五賞候補

このように、文学賞からミステリーランキングまで総なめにした本作は、ミステリーファンならずとも一度は読んでおきたい傑作です。

「夜警」の解説

「夜警」の解説

『満願』の冒頭を飾る「夜警」は、一人の若い警官の死の真相を、先輩警官の視点から振り返る物語です。殉職した川藤巡査は、普段から拳銃を抜きたがる癖や、ミスを小細工でごまかす未熟な面がありました。そんな彼が刃物を持つ男に立ち向かい殉職した事件には、不可解な点が残ります。

特に謎なのは、彼が死の間際に遺した「こんなはずじゃなかった。うまくいったのに」という言葉です。英雄的な死とはかけ離れたこの一言が、事件の様相を一変させます。

ネタバレ解説:隠された真相

物語の真相は、川藤巡査が自身の大きなミスを隠蔽するために仕組んだ、あまりにも自己本位な計画でした。実は事件の直前、川藤は誤って拳銃を暴発させてしまいます。その事実を隠すため、彼は通報のあった夫婦喧嘩の現場を利用することを思いつきます。

刃物を持つ夫に発砲することで、先に暴発させた一発もその際の正当な発砲だったと見せかける計画でした。しかし、相手が思いのほか早く間合いを詰めてきたため、計画は成功したかに見えた直後、彼は致命傷を負ってしまったのです。「うまくいったのに」という言葉は、彼の隠蔽工作が成功したことへの安堵と、その直後に自分が死ぬという皮肉な結末への無念さが入り混じったものでした。

警察官が主人公という設定は、日常の謎を多く描いてきた米澤穂信作品の中では少し珍しいかもしれません。しかし、職務への誇りと保身という人間的な感情の狭間で揺れ動く心理描写は、見事としか言いようがありません。

「死人宿」の解説

「死人宿」の解説

「死人宿」は、2年前に失踪した元恋人・佐和子を追って、主人公が山奥の温泉宿を訪れるところから始まります。その宿は自殺の名所として知られており、不穏な空気が漂っています。再会した佐和子は主人公に、宿泊客の誰かが書いたと思われる遺書を見せ、その持ち主を探し出してほしいと依頼します。

主人公は佐和子の信頼を取り戻すため、3人の宿泊客の中から遺書の書き主を推理し、一人の自殺を未然に防ぐことに成功します。しかし、物語はそれで終わりではありませんでした。

ネタバレ解説:もう一つの悲劇

この物語の巧妙な点は、読者の意識を「遺書を書いたのは誰か?」という一点に集中させておきながら、その裏で全く別の悲劇が進行していることです。

主人公が安堵した翌朝、遺書の持ち主とは別の宿泊客が遺体で発見されます。実は、その人物こそが本当に死ぬつもりで宿を訪れており、すでに命を絶っていたのです。佐和子はそれに気づいていた可能性があり、彼女が主人公に推理を依頼した真意も、どこか不気味な謎として残ります。ミステリーとしての一応の解決の後に、救いのない結末が待っているという、非常に後味の悪い一編です。

本作は典型的な犯人当てミステリーの体裁を取りながら、そのルールを逆手に取った構成になっています。ハッピーエンドを期待して読むと、その結末に心をえぐられるかもしれませんのでご注意ください。

「柘榴」の解説 気持ち悪いという意見も?

「柘榴」の解説 気持ち悪いという意見も?

収録作の中でも、特に「気持ち悪い」「生理的に受け付けない」という感想が多く寄せられるのが、この「柘榴」です。物語は、誰もが彼を好きにならずにいられない不思議な魅力を持つ夫・成海と結婚した、さおりの視点で進みます。しかし、結婚後に明らかになったのは、成海がまともに働かず、家庭を顧みないダメな人間だという事実でした。

さおりが離婚を決意したとき、成海は娘たちの親権を要求します。母親が圧倒的に有利なはずの裁判。しかし、娘たちが下した選択は、さおりにとって衝撃的なものでした。

ネタバレ解説:歪んだ家族の愛

この物語のおぞましさは、娘の夕子が父親の成海を「一人の男性」として見ており、その愛を独占するために行動した点にあります。夕子は、父親の気を引くために、自らの体を傷つけ、その罪を母親になすりつけるという恐ろしい計画を立てます。さらに恐ろしいのは、その計画を妹の月子も受け入れていることです。

さおりがかつて成海を「わたしのトロフィー」だと感じていたように、夕子もまた父親を自分のものにしたいという独占欲の塊でした。作中で語られる鬼子母神やギリシャ神話のペルセポネーの話は、この歪んだ家族の愛の形を暗示しています。悪意ではなく、純粋な愛情が根底にあるからこそ、その行動がより一層グロテスクに感じられるのです。

なぜ娘たちが働かない父親にそこまで惹かれるのか、理解に苦しむかもしれません。しかし、この物語は常識や倫理観が通用しない、神話的な領域での愛憎劇として読むと、その異様さが際立って面白く感じられるかもしれませんね。

「関守」と「万灯」の解説

「関守」と「万灯」の解説

ここでは、テイストの異なる2編「関守」と「万灯」を合わせて解説します。どちらも人間の業が招く結末を描いた、秀逸な作品です。

都市伝説ホラー「関守」

「関守」は、フリーライターの主人公が「死を呼ぶ峠」と呼ばれる場所の取材に訪れる、ホラーテイストの強い一編です。彼は峠のドライブインで店主の老婆から過去の死亡事故について話を聞きますが、その取材の過程で、取り返しのつかない事態に巻き込まれてしまいます。

この物語の恐怖は、老婆の話を聞いているうちに、主人公自身が次の「事故」の当事者として仕立て上げられていく点にあります。老婆は峠の「関守」として、事故の連鎖を維持するために、訪れた者を巧みに罠にはめていたのです。老婆に勧められた色のついた飲み物や、お堂の石仏など、何気ない要素がすべて伏線となっており、最後にそれが繋がった時の絶望感は格別です。

海外クライムサスペンス「万灯」

一方、「万灯」はバングラデシュを舞台に、天然ガス開発に挑む商社マン・伊丹の物語です。開発の障害となる村の長老を排除するため、伊丹は殺害計画に加担してしまいます。しかし、彼が手を下す前に、長老はコレラで病死します。

計画が露見することなく安堵した伊丹でしたが、日本への帰国直前、彼自身もコレラを発症していることが判明します。直接的な証拠は何一つないものの、天罰や因果応報を思わせる結末が、非常に皮肉な読後感を残します。物語のリアリティを高める海外での描写と、ビジネスマンの焦燥感が巧みに描かれた重厚な作品です。

ちなみに「万灯」のコレラに関する描写は、第151回直木賞の選評で作家の東野圭吾氏から「医学的に不自然」との指摘を受け、話題にもなりました。しかし、物語の設定年代や状況を考慮すると、作品の価値を損なうものではないという意見も多くあります。

作者・米澤穂信はどんな作家?

『満願』の作者である米澤穂信は、現代の日本ミステリー界を代表する作家の一人です。1978年岐阜県生まれ、金沢大学を卒業後、2001年に『氷菓』でデビューしました。

彼の作品は非常に幅広く、デビュー作『氷菓』に代表される<古典部>シリーズのような瑞々しい青春ミステリーから、『満願』のような人間の暗部を抉り出す”イヤミス”、さらには『黒牢城』のような歴史ミステリーまで、多彩なジャンルで傑作を生み出し続けています。

米澤穂信の主な代表作

  • <古典部>シリーズ(『氷菓』など)
  • <小市民>シリーズ(『春期限定いちごタルト事件』など)
  • 『折れた竜骨』
  • 『王とサーカス』
  • 『黒牢城』

特筆すべきは、その受賞歴の多さです。山本周五郎賞や直木三十五賞といった文学賞のほか、「このミステリーがすごい!」などのランキングでは複数回にわたり3冠、4冠を達成しており、その実力は誰もが認めるところです。端正な文章と巧みな伏線、そして人間の心理に対する深い洞察力が、米澤作品の大きな魅力と言えるでしょう。

小説「満願」のあらすじに対する読者の感想

小説「満願」のあらすじに対する読者の感想
  • 読者のレビューや感想まとめ
  • 結末が意味がわからないとの声も
  • 満願の小説はどこで読めるのか

読者のレビューや感想まとめ

読者のレビューや感想まとめ

『満願』は多くの読者から絶賛されていますが、その感想は様々です。ここでは、実際に作品を読んだ人々のレビューや感想を、ポジティブなものとネガティブなものに分けてご紹介します。

ポジティブな感想

最も多く見られるのは、やはりその構成力とどんでん返しの見事さを称賛する声です。「短編なのに伏線がすごい」「最後の最後で全てがひっくり返る快感がある」といったように、緻密に計算されたプロットが高く評価されています。

また、「夜警」「関守」「満願」の3編を特にお気に入りとして挙げる人が多い傾向にあります。特にホラー要素の強い「関守」は、他の作品とのテイストの違いが新鮮で面白いという感想が目立ちました。

ネガティブな感想

一方で、ネガティブな感想として共通しているのは「後味が悪い」「読後感がとにかく暗い」という点です。ハッピーエンドの物語は一つもなく、どの話も人間の嫌な部分を見せつけられるため、「気持ちが落ち込んでいる時には読まない方がいい」というアドバイスも見受けられました。

特に「柘榴」に関しては、その内容から「生理的に無理」「気持ち悪くて断念した」という声が一定数存在します。人の倫理観を揺さぶるテーマであるため、受け入れがたいと感じる読者がいるのも無理はないでしょう。

このように、『満願』は間違いなく傑作ですが、人を選ぶ作品であることも事実です。しかし、人間の心の闇を描いた物語や、鮮やかなミステリーが好きな方にとっては、最高の読書体験が待っているはずですよ。

結末が意味がわからないとの声も

結末が意味がわからないとの声も

『満願』の感想の中には、「結末の意味がわからない」「動機が理解できない」といった声も少なからず見られます。なぜ、このように感じる読者がいるのでしょうか。

その最大の理由は、米澤穂信の作風が、必ずしも全ての謎を明確に説明するわけではないからです。物語の結末は描かれても、登場人物のその後の運命や、行動の裏に隠された全ての真意が語られることはありません。むしろ、重要な部分を読者の解釈に委ねることで、物語に深い余韻と奥行きを与えているのです。

解釈が難しいとされるポイント

  • 「柘榴」の動機:なぜ娘たちは、自分たちを顧みなかった父親にあれほど執着するのか。
  • 「死人宿」の佐和子の真意:彼女は本当に主人公に助けを求めていたのか、それとも何か別の意図があったのか。
  • 表題作「満願」の決断:なぜ妙子は、あと少しで刑が軽くなる可能性があった控訴を取り下げたのか。

これらの疑問に対する明確な答えは、作中にはありません。だからこそ、読者は「なぜだろう?」と考えを巡らせ、自分なりの答えを探すことになります。この「わからなさ」こそが、読者に強烈な印象を残し、何度も読み返したくなる魅力に繋がっていると言えるでしょう。スッキリと割り切れる物語を求める方には、少しもどかしさが残るかもしれません。

満願の小説はどこで読めるのか

満願の小説はどこで読めるのか

『満願』は非常に人気の高い作品なので、様々な方法で読むことができます。紙の書籍でじっくり楽しみたい方はもちろん、スマートフォンやタブレットで手軽に読みたい方にも選択肢があります。

現在は、新潮社から単行本と文庫本が発売されており、全国の書店やオンラインストアで購入可能です。また、主要な電子書籍ストアでも配信されています。

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満願の小説あらすじについて総括

最後に、この記事で解説してきた小説『満願』のポイントをまとめます。

  • 『満願』は米澤穂信による傑作ミステリー短編集
  • ミステリランキングで史上初の3冠を達成した話題作
  • 人間の心の闇や業を描いた6つの物語を収録
  • 読後感が悪いと評される「イヤミス」の側面を持つ
  • 「夜警」は自己保身が招いた警察官の皮肉な結末
  • 「死人宿」は自殺志願者を巡る二重構造のミステリー
  • 「柘榴」は歪んだ家族愛がテーマの衝撃的な物語
  • 「関守」は都市伝説を題材にしたホラーテイストの一編
  • 「万灯」は海外を舞台にした因果応報のサスペンス
  • 表題作「満願」は一つの願いが引き起こした悲劇
  • 伏線回収と鮮やかなトリック、どんでん返しが見事
  • 結末は読者の解釈に委ねられる部分も多く奥が深い
  • NHKの特集ドラマとして3編が映像化されている
  • 作者の米澤穂信は数々の文学賞を受賞する実力派作家
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