小田雅久仁さんの小説『禍』のあらすじが気になっていませんか?「このホラーがすごい!」で1位を獲得したと聞き、どんな物語なのか、その見どころを知りたい方も多いでしょう。
この記事では、小説『禍』の全体あらすじから、特に人気の短編である耳もぐりや農場の魅力、さらには作者の経歴、実際に読んだ人たちの読者の感想まで、あなたが知りたい情報を網羅的に解説します。また、禍の耳もぐりは漫画で読めるのか、文庫版は発売されているのか、といった気になる疑問にもお答えします。
この記事を読めば、『禍』の世界観を深く理解し、読む前の期待感を最大限に高めることができるでしょう。
- 小説『禍』の全体的なあらすじ
- 特に人気の短編「耳もぐり」や「農場」の魅力
- 実際に読んだ人のリアルな感想や評価
- 漫画版や文庫版に関する最新情報
小説『禍』のあらすじと各編の魅力

- 短編集『禍』の全体あらすじ
- 作品のグロテスクな見どころ
- 特に人気の短編「耳もぐり」
- 独特の世界観が光る「農場」
- ネットでの読者の感想や評価
- 著者である小田雅久仁とは?
短編集『禍』の全体あらすじ

小説『禍』は、人間の「身体の一部」をテーマにした7つの物語を収録した、悪夢のような短編集です。著者の小田雅久仁さんが2011年から2022年にかけて発表してきた作品群が一冊にまとめられており、それぞれが独立した物語でありながら、どこか通底する不気味さと幻想的な雰囲気を共有しています。
物語の根底に流れるのは、「日常に潜む裂け目から、異様な世界へ転落していく恐怖」です。例えば、本を食べることに取り憑かれた作家、他人の耳に入り込む術を持つ男、人間の鼻を栽培する農場など、常識では考えられない設定が次々と登場します。
しかし、それらの異常な出来事が、ごく普通の日常を起点に、じわじわと現実を侵食していく様子が描かれているため、読者はまるで自分の身に起こっているかのような没入感と臨場感を味わうことになります。
本作は単なるホラー小説の枠に収まりません。恐怖の中にもブラックユーモアやエロティシズム、そして哲学的な問いかけが含まれており、「怪奇幻想文学」と呼ぶのがふさわしい、濃密で中毒性の高い作品集と言えるでしょう。
収録作品一覧
- 食書(しょくしょ):口
- 耳もぐり(みみもぐり):耳
- 喪色記(もいろき):目
- 柔らかなところへ帰る:肉
- 農場:鼻
- 髪禍(はっか):髪
- 裸婦と裸夫(らふとらふ):肌
作品のグロテスクな見どころ
『禍』の大きな見どころは、ただ気持ち悪いだけでは終わらない、芸術的なまでに洗練されたグロテスクな描写にあります。
なぜなら、作者である小田雅久仁さんの卓越した文章力が、生理的嫌悪感を催すような光景に、一種の「美しさ」や「神々しさ」すら与えているからです。ねっとりとした湿度を感じさせる文体と、独創的で鮮烈な比喩表現が、読者の五感に直接訴えかけ、禍々しいイメージを脳内に焼き付けます。
例えば、収録作「髪禍」では、髪の毛を崇めるカルト教団の儀式が描かれます。そこでの髪の毛の描写は、まるで意志を持った生き物のように蠢き、読者に強烈なインパクトと生理的な不快感を与えます。しかし同時に、その光景にはどこか神秘的で荘厳な雰囲気すら漂っており、「怖いのに目が離せない」という奇妙な感覚に陥らせるのです。
このように、本作のグロテスクさは、単なる恐怖演出のための道具ではありません。それは人間の根源的な欲望や、世界の不条理さを浮き彫りにするための、必要不可欠な要素として機能しています。この嫌悪感と美しさが同居する独特の世界観こそ、『禍』が多くの読者を惹きつけてやまない最大の魅力と言えるでしょう。
読者の中には、漫画家の伊藤潤二作品を彷彿とさせるとの声も多くあります。日常が少しずつ歪んでいく不気味さや、生理的嫌悪感を刺激するビジュアルイメージの喚起力に、共通点を感じるようです。
特に人気の短編「耳もぐり」

『禍』に収録されている7編の中でも、特に傑作として名高いのが「耳もぐり」です。この作品の魅力は、巧みな叙述トリックによって、小説という媒体でしか表現できない恐怖と驚愕を体験できる点にあります。
物語は、失踪した恋人・百合子の行方を追う男が、彼女のアパートの隣人を訪ねるところから始まります。隣人を名乗る男は、「耳もぐり」という奇妙な術について語り出します。それは、特殊な手の形を使い、他人の耳からその精神世界に入り込むことができるというものでした。
この作品が巧みなのは、物語の語り手がいつの間にか入れ替わっているという点です。一人称「私」で語られる物語は、実は一人の人間のものではなく、複数の人格が混ざり合った存在による独白だったことが最後に明かされます。もしこれが映像作品であれば、語り手の顔が違うため、トリックはすぐに露呈してしまいます。しかし、文字だけで進行する小説だからこそ、この恐ろしい仕掛けが完璧に成立するのです。
読者は最後の数ページで、それまで読んできた物語の構造が根底から覆されるような衝撃を受けます。自分の認識が揺さぶられる感覚と、じわじわと込み上げてくる恐怖は、まさに圧巻の一言です。この唯一無二の読書体験が、「耳もぐり」を不朽の名作たらしめている理由です。
独特の世界観が光る「農場」
「農場」は、人間の「鼻」を栽培するという奇想天外な設定が強烈なインパクトを放つ一編です。しかし、その突飛なアイデアの裏には、労働や人生の意味、そして「生きること」そのものを問う、深く哲学的なテーマが隠されています。
物語の主人公は、仕事も家族も失い、ホームレス寸前の生活を送っていた青年・輝生。彼はある男に誘われ、山奥にある謎の施設「農場」で働くことになります。そこでの仕事は、畑に植えられた人間の「鼻」を育て、収穫するという信じがたいものでした。
この作品の面白さは、主人公がその異常な環境に疑問を抱きながらも、徐々に順応し、そこに自分の居場所や生きがいを見出していく過程にあります。外界から隔離され、単調な労働を繰り返す日々の中で、彼はこれまで感じたことのなかった充足感を得るようになります。その姿は、私たち読者に対して「本当の幸せとは何か」「人間が生きる上で本当に必要なものは何か」という問いを投げかけます。
不条理文学のようでもあり、ディストピアSFのようでもある独特の世界観の中で、人間の本質が静かにあぶり出されていく。グロテスクな設定とは裏腹に、読後には不思議な切なさと共に、自らの人生を振り返らせるような深い余韻が残る作品です。
ネットでの読者の感想や評価

『禍』は非常に個性の強い作品集であるため、インターネット上の読者の感想や評価は、絶賛と困惑の声に大きく分かれています。ただ、共通しているのは、多くの読者が作者の圧倒的な筆力と常人離れした想像力に衝撃を受けている点です。
ここでは、実際に寄せられている感想を、肯定的なものと否定的なものに分けてご紹介します。
肯定的な感想・評価
肯定的な意見で最も多いのは、やはりその独特な世界観と文章の美しさに対する称賛です。「こんな設定は思いつかない」「世界観に完全に引き込まれた」といった、作者の発想力への驚きの声が多数見られます。また、「グロテスクなのに文章が綺麗で読めてしまう」「禍々しいのにどこか芸術的」など、小田雅久仁さんならではの文体を高く評価する感想も目立ちます。
- とにかく発想が天才的で、最後まで展開が読めない。
- ホラーというよりダークファンタジーや幻想文学に近い。
- 「世にも奇妙な物語」のヘビーでグロテスクな版といった感じ。
- 一度読んだら忘れられない強烈なインパクトがある。
否定的な感想・評価
一方で、その独特のスタイルが「合わなかった」という声も少なくありません。特に、改行が少なく、ねっとりとした濃密な文体に対して、「読みにくい」「話が頭に入ってこない」と感じる読者がいるようです。また、生理的な嫌悪感を催す描写が多いため、「ただただ気持ち悪かった」「トラウマになりそう」といったストレートな感想も見受けられます。
- 文体が独特で、慣れるまで時間がかかる。
- 遠回しな表現が多く、なかなか本題に入らない感じがする。
- グロテスクな描写が苦手な人には絶対におすすめできない。
- ホラーだと思って読むと、少し違うと感じるかもしれない。
このように、『禍』は間違いなく「人を選ぶ」作品です。しかし、その唯一無二の世界観にハマることができれば、これ以上ないほど濃密な読書体験が待っていると言えるでしょう。
著者である小田雅久仁とは?
『禍』の著者である小田雅久仁(おだ まさくに)さんは、寡作ながらも発表する作品が軒並み高い評価を受ける、まさに「孤高の天才」と呼ぶにふさわしい作家です。
1974年に宮城県で生まれ、2009年に『増大派に告ぐ』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、華々しくデビューしました。その後も、2013年に刊行した『本にだって雄と雌があります』が第3回Twitter文学賞国内編で第1位に輝くなど、着実に評価を高めていきます。
そして、2021年に9年ぶりの単行本として刊行された『残月記』が大きな注目を集めます。この作品で、第43回吉川英治文学新人賞と第43回日本SF大賞をW受賞するという快挙を成し遂げ、その名を一躍文芸界に轟かせました。
小田雅久仁 主な受賞歴
受賞年 | 作品名 | 受賞した賞 |
---|---|---|
2009年 | 増大派に告ぐ | 第21回日本ファンタジーノベル大賞 |
2013年 | 本にだって雄と雌があります | 第3回Twitter文学賞 国内編 第1位 |
2022年 | 残月記 | 第43回吉川英治文学新人賞 |
2023年 | 残月記 | 第43回日本SF大賞 |
2024年 | 禍 | このホラーがすごい! 第1位 |
彼の作風の特徴は、奇想天外で常識を覆すような設定と、それを重厚かつ格調高い文章で描き切る圧倒的な筆力にあります。現実と幻想の境界を自在に行き来するその物語は、他に類を見ない唯一無二のものとして、多くの読者を魅了し続けています。
禍の小説あらすじ以外の気になる情報

- 『禍』の「耳もぐり」は漫画で読める?
- 小説『禍』に文庫版はある?
- 『禍』はDMMブックスで読むのがお得
- 禍の小説あらすじと魅力のまとめ
『禍』の「耳もぐり」は漫画で読める?

はい、小説『禍』に収録されている「耳もぐり」は、コミカライズ(漫画化)されています。
漫画版「耳もぐり」は、新潮社が運営するWeb漫画サイト「くらげバンチ」にて連載されていました。作画を担当しているのは、新進気鋭の漫画家・稲田ごーすけさんです。原作の持つじっとりとした不気味な雰囲気や、得体の知れない恐怖が、漫画ならではの視覚的な表現によって巧みに再現されています。
特に、原作の肝である叙述トリック、つまり「語り手が一人ではない」という仕掛けを、漫画でどのように表現するかが注目されました。漫画版では、人物の顔を意図的に曖昧に描いたり、コマ割りや構図を工夫したりすることで、原作の持つ巧妙な構造を損なわないような演出が試みられています。
多くの原作ファンからは「小説で読んだ時の衝撃は超えられない」という声もありますが、一方で「原作の雰囲気がよく出ている」「ビジュアルで見るとさらに不気味」といった好意的な評価も寄せられています。小説を読んだ後に、答え合わせをするように漫画版を読んでみるのも面白いかもしれません。
「くらげバンチ」の公式サイトで一部のエピソードを読むことができる場合がありますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
小説『禍』に文庫版はある?
結論から言うと、2025年9月現在、小説『禍』の文庫版はまだ発売されていません。
『禍』の単行本が新潮社から発売されたのは2023年7月12日です。一般的に、単行本が発売されてから文庫化されるまでには、通常2年から3年程度の期間がかかります。これは、単行本の売れ行きを見たり、文庫化に合わせたプロモーションの準備をしたりするための時間が必要だからです。
作者の過去の作品を例に挙げると、『本にだって雄と雌があります』は2012年10月に単行本が発売され、その約3年後である2015年8月に文庫化されています。このペースを参考にすると、『禍』の文庫化は、早くても2025年の夏以降、あるいは2026年になる可能性が高いと予想されます。
文庫化を待つ際の注意点
文庫化を待つのは一つの選択肢ですが、人気作品の場合、文庫化されるまでに時間がかかることもあります。今すぐ『禍』の世界に触れたい方は、単行本、もしくはすぐに読める電子書籍での購入を検討することをおすすめします。
現時点では、単行本でその濃密な物語を味わうか、お得な電子書籍で読むのが最良の選択と言えるでしょう。
『禍』はDMMブックスで読むのがお得

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禍の小説あらすじと魅力のまとめ
最後に、この記事で解説した小説『禍』に関する情報をまとめます。
- 『禍』は人間の身体の一部をテーマにした7編の短編集
- 著者は数々の文学賞を受賞している実力派作家の小田雅久仁
- 日常がじわじわと異様な世界に侵食される恐怖を描いている
- 単なるホラーではなく怪奇幻想文学の趣が強い作品
- 芸術的で美しいとさえ評されるグロテスクな描写が見どころ
- 特に「耳もぐり」は小説でしか味わえない叙述トリックが秀逸
- 「農場」は奇抜な設定の中に哲学的なテーマを内包している
- 読者の評価は絶賛と困惑に二分されるが筆力は高く評価されている
- 人を選ぶ作品だがハマれば唯一無二の読書体験ができる
- 収録作「耳もぐり」はWeb漫画サイトでコミカライズされている
- 2025年9月現在、文庫版はまだ発売されていない
- 文庫化は2025年夏以降になる可能性が高いと予想される
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