『ザ・ロイヤルファミリー』小説のあらすじと結末は？

こんにちは。あらすじブックマーク、管理人の「おうみ」です。

早見和真さんの小説『ザ・ロイヤルファミリー』、読み応えがすごいと話題ですよね。2025年には日曜劇場でドラマ化もされ、妻夫木聡さんや佐藤浩市さん、目黒蓮さんといった豪華キャストで注目を集めています。

あなたも「ザ・ロイヤルファミリーの小説のあらすじが知りたい」「ドラマを見始めたけど、原作の登場人物や相関図、結末はどうなっているの？」「ドラマと原作の違いや、読者の感想も気になる…」そんな風に思って検索されたのではないでしょうか。

この記事では、小説『ザ・ロイヤルファミリー』のあらすじを、物語の魅力や核心に触れつつ、読み終わった後の感動を損ねないよう配慮しながら、あなたの疑問に答えていきます。

「ザ・ロイヤルファミリー」小説のあらすじ（ネタバレなし）

まずは物語の導入部分、ネタバレなしのあらすじです。ドラマから入った方も、これから小説を読もうか迷っている方も、こちらで作品の壮大な世界観を掴んでください。

物語のあらすじと舞台設定

物語は、大手税理士事務所に勤める29歳の税理士、栗須栄治（くりす えいじ）の視点で語られます。彼はキャリアに挫折し、心に空虚さを抱えていました。

そんな折、偶然競馬場でビギナーズラックを体験した栗須は、ひょんなことから人材派遣会社のワンマン社長・山王耕造（やまおう こうぞう）と出会い、彼の秘書として雇われることになります。

一代で財を成した耕造には、燃えるような野望がありました。それは、自らの冠名「ロイヤル」をつけた馬で、日本競馬界の頂点である「有馬記念を制覇する」こと。

しかし、耕造には馬主として致命的な欠点がありました。それは、馬の知識も血統も、馬を見極める「相馬眼」も一切持っていなかったのです。

栗須は、この無謀とも思える社長の夢に、秘書として人生を捧げていくことになります。物語は1997年から2017年にわたる、20年間の壮大なヒューマンドラマです。

主要な登場人物と相関図

『ザ・ロイヤルファミリー』の魅力は、なんといっても個性豊かな登場人物たちです。相関図として整理すると、以下のようになります。

栗須栄治（くりす えいじ）

本作の語り手。税理士の夢破れ、山王耕造の秘書に。破天荒な耕造に振り回されながらも、次第に彼に父性のような恩義を感じ、その夢にのめり込んでいきます。ドラマ版では妻夫木聡さんが演じています。

山王耕造（さんのう こうぞう）

人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」の創業者。成り上がりのワンマン社長で、「有馬記念制覇」に全てを捧げます。馬の知識はありませんが、人並外れた情熱と行動力の持ち主。ドラマ版のキャストは佐藤浩市さんです。

山王耕一（さんのう こういち）

耕造が愛人との間にもうけた非嫡出子。父である耕造を強く拒絶しています。小説の第二部「家族」における中心人物であり、物語の核心である「継承」のテーマを担います。ドラマ版では目黒蓮さんが演じています。

野崎加奈子（のざき かなこ）

栗須の大学時代の元カノ。北海道日高で、経営難の実家の牧場「ノザキファーム」の立て直しに奮闘しています。物語の鍵となる名馬「ロイヤルホープ」を耕造に紹介する、重要な橋渡し役です。ドラマ版は松本若菜さんです。

椎名一族（しいな いちぞく）

山王一族の前に立ちはだかる「絶対王者」。競馬界の「血統」を支配する旧来の権威、エスタブリッシュメントの象徴として描かれます。「新興勢力（山王家）」VS「血の支配者（椎名家）」という構図が、物語の対立軸となります。

息子・耕一が継ぐ父の夢

物語のテーマは「血と継承」です。それは競走馬の「血統」だけでなく、山王耕造から息子・耕一への、人間の「血縁」のドラマでもあります。

【少しだけ核心】「相続馬限定馬主」制度

父を拒絶していた耕一が、なぜ父の夢を継ぐことになるのか。そこには、JRA（日本中央競馬会）に実在する「相続馬限定馬主」という制度が大きく関わってきます。

これは、馬主が死亡した際、その相続人が通常の馬主資格（高額な所得条件など）を満たせなくても、特定の条件下で馬主資格を認めるというもの。

この制度が、耕一を「父の夢」と法的に、そして運命的に結びつける、非常に巧みなプロットの仕掛けとなっています。

この物語は実話？

これだけリアルだと「『ザ・ロイヤルファミリー』は実話なの？」と気になる方も多いと思います。

結論から言うと、本作は早見和真さんによるオリジナル小説であり、実話ではありません。山王耕造やロイヤルホープという馬も架空の存在です。

しかし、本作はその圧倒的なリアリティが評価され、なんと「2019年度JRA賞馬事文化賞」を受賞しています。これは競馬界の描写が、専門家の目から見ても極めて正確で、文化的に貢献したと認められた証拠です。

さらに、小説としてのエンターテイメント性も高く評価され、「第33回山本周五郎賞」も受賞。このダブル受賞は史上初だそうで、いかに本作が「物語の面白さ」と「競馬界のリアリティ」を両立させた稀有な作品であるかがわかりますね。

「ザ・ロイヤルファミリー」小説版あらすじの評価と深掘り

ここからは、小説を読んだ人たちの感想や、ドラマ版との違いなど、さらに一歩踏み込んだ情報をお届けします。物語の核心に触れる部分もありますので、ご注意くださいね。

小説のモデルは？松本若菜の役

まず、ドラマで松本若菜さんが演じているのは、先ほどもご紹介した「野崎加奈子（のざき かなこ）」です。栗須の元カノであり、実家の牧場を再建しようと奮闘する、物語の鍵を握る馬「ロイヤルホープ」を繋ぐ重要な役どころですね。

「実話ではない」と書きましたが、「特定のモデルはいるの？」という点も気になりますよね。山王耕造のような成り上がりの馬主や、椎名一族のような競馬界を牛耳るエスタブリッシュメント、という構図は、競馬の世界ではよく見られるテーマです。

特定の個人や牧場がモデルというよりは、競馬界に渦巻く「血統」「夢」「金」「権力」といった普遍的な要素を凝縮し、リアルな人間ドラマとして再構築したのが、この『ザ・ロイヤルファミリー』だと言えそうです。

読者の感想と評価「面白い？」

「実際、小説は面白いの？」という点について、読者の感想をまとめてみました。

高評価のポイント

• 競馬を知らなくても、父と子の「血と継承」という人間ドラマに泣ける。
• G1レースの描写が圧巻。競馬ファンも唸るリアリティと熱量。
• 物語の「最後の1ページ」の仕掛けが鮮やかすぎて鳥肌が立った。

特に「泣ける」「胸が熱くなる」といった、重厚な人間ドラマに対する評価が非常に高いです。そして、何より「結末の仕掛け」に対する称賛が目立ちました。

一方で、こんな意見も。

賛否が分かれるポイント

• 本編中、主人公側の馬が「あと一歩」で勝てない展開が続き、フラストレーションが溜まる。
• 語り手の栗須が、あくまで「秘書」で受動的に感じられ、魅力を感じない人も。

この「本編中のフラストレーション」こそが、実は最後のカタルシスに繋がるのですが、そこにたどり着く前に「もどかしい！」と感じてしまう人もいるようです。

ドラマと原作の違いは？

2025年に放送中の日曜劇場ドラマ版は、この原作をどう映像化しているのでしょうか。放送中のため、あくまで「考察」になりますが、いくつかの違いが見受けられます。

1. 時系列の再構成

原作は第一部（父・耕造の時代）と第二部（子・耕一の時代）で、主人公格が交代する構成になっています。しかしドラマ版では、第二部の中心人物であるはずの目黒蓮さん（耕一役）が序盤から登場しています。

これは、ドラマ版が時系列を再構成し、栗須（妻夫木聡さん）の視点を軸に、父の時代と子の時代の物語を並行して描いている可能性が高いです。

2. 結末の変更可能性（日曜劇場仮説）

（※これは私の勝手な考察です！）

原作の結末は、非常に文学的で「鮮やか」なのですが、映像的な「派手なカタルシス」とは少し異なります。一方、日曜劇場といえば『半沢直樹』や『VIVANT』など、クライマックスで「決定的な大勝利」を描いて視聴者の感情を爆発させるのが得意な枠です。

そのため、ドラマ版では、原作のテーマを尊重しつつも、より直接的で感情的なクライマックス（例えば、耕造の夢だった「有馬記念」で勝利する、など）に変更される可能性が十分にあると、私は予想しています。

「ザ・ロイヤルファミリー」小説のあらすじ総まとめ

最後に、この記事の総まとめとして、小説『ザ・ロイヤルファミリー』のあらすじの核心部分、特に物語の「仕掛け」について触れておきます。

山王耕造の生涯の夢であった「有馬記念制覇」。その夢を乗せた「ロイヤルホープ」は、ラストランとして有馬記念に出走します。しかし、ここでも「絶対王者」の壁に阻まれ、惜敗に終わります。

耕造は、自らの夢を達成できないまま、この世を去ります。

父の死後、「相続馬限定馬主」となった息子・耕一。彼に託されたのは、引退したロイヤルホープの産駒（子供）、すなわち耕造にとっての「孫」にあたる馬でした。

その馬の名は、「ロイヤルファミリー」。

しかし、この「ロイヤルファミリー」もまた、物語の本編中（2017年まで）ではG1を勝つことができません。「ここは勝ってくれ！」という読者の願いも虚しく、本編はほろ苦い雰囲気のまま幕を閉じます。

「結局、親を超えることはできなかったのか…」

読者がそう思い、最後のページをめくった瞬間、本作最大の仕掛けが待っています。

最後の1ページ：競走成績表

小説の最後の1ページは、文章ではなく、一頭の馬の「競走成績表」になっています。その馬の名は「ロイヤルファミリー」。

そこには、物語本編が終わった2017年よりも「その後」の戦績が記されています。読者はそこで初めて、ロイヤルファミリーがどのような運命を辿ったのか、そして山王一族の夢がどうなったのかを、「結果」という公式記録のみで知らされます。

父が追い求めた夢、そして「子は、親をこえられるのか？」という壮大な問いに対し、小説全体を使った見事な仕掛けで応える、圧巻の結末となっています。

ドラマ版がこの結末をどう描くのか、あるいは全く違う結末を用意するのか、ますます楽しみになりますね。まずは原作のこの感動を、ぜひ味わってみてください。