こんにちは。あらすじブックマーク、管理人の「おうみ」です。
2025年2月に発売された大沢在昌さんの新作長編。タイトルを聞いて「どんな話なんだろう?」と気になって検索してみると、Web小説の修理スキルものが出てきたりして混乱してしまった方もいるかもしれません。
私自身も、ハードボイルドの巨匠が描く物語だから重厚なミステリーだろうと予想していたのですが、実際に読んでみると驚きの展開が待っていました。あらすじや登場人物の情報を整理しつつ、読者の間でも賛否が分かれている結末のネタバレや評価について、詳しくご紹介していきたいと思います。
- 40年前に六本木のビルで見つかった行旅死亡人の謎
- ノンフィクション作家とイラストレーターの異色バディによる調査
- 従来のハードボイルド作品とは一線を画す衝撃的なSF要素
- 大沢在昌ファンやミステリー好きにおすすめできるポイント
リペアラーの小説あらすじと作品情報
まずは、物語の導入部分や主要なキャラクター、そして著者である大沢在昌さんの情報について整理していきます。まだ作品を読んでいない方でも安心して読めるよう、物語の核心部分には触れずに解説しますね。
ネタバレなしのあらすじ

物語の幕開けは、現代の東京。ノンフィクション作家として活動する主人公・ミヤビのもとに、一通の奇妙な依頼が舞い込むところから始まります。その内容は、あまりにも古く、そして不可解なものでした。
ターゲットとなるのは、今から40年も前に六本木の雑居ビル屋上で発見された、ある男性の遺体について。当時、警察はこの件を事件性なしと判断し、身元不明のまま自治体によって火葬・埋葬される「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」として処理していました。名前も住所も、誰に看取られることもなく処理された「無縁の死」です。
「なぜ今さら、40年前の『処理済み』の案件を掘り起こすのか?」
依頼主の正体も真の目的も明かされないまま、ミヤビは高校時代からの友人でありイラストレーターの想一を相棒に引き入れ、調査を開始します。
二人が挑むのは、警察の捜査資料すらまともに残っていない「空白」を埋める作業です。彼らは当時のビルの住人や関係者を一人また一人としらみつぶしに当たり、断片的な証言を集めていきます。そこに見え隠れするのは、バブル経済へと突き進む熱狂の裏で、ひっそりと、しかし確かに存在した人間たちの歪なドラマでした。
調査が進むにつれ、単なる身元調査だったはずの仕事は、次第に不穏な空気を帯び始めます。当時の住人たちが抱えていた秘密、警察が見落とした(あるいは見ないふりをした)違和感……。点と点が繋がり、やがて想像もしなかった「ある人物」の影が浮かび上がった時、物語は予想外の方向へと加速していきます。
ここがポイント!
派手なドンパチではなく、インタビューと資料調査で「過去の亡霊」を追い詰めていく知的なスリルがたまりません。大沢在昌作品ならではのリアリティある筆致で描かれる40年前の六本木の空気感にも注目です。
物語の主要な登場人物

本作を牽引するのは、職業も性格も異なる二人のバディです。
| ミヤビ | 本作の主人公であり、ノンフィクション作家。言葉巧みに人の懐に入り込み、事実を聞き出す取材能力に長けています。 |
| 想一(そういち) | ミヤビの高校時代からの友人。イラストレーターとして活動しており、視覚的なイメージや直感を活かしてミヤビの調査をサポートします。 |
警察官や探偵ではなく、「作家」と「イラストレーター」という組み合わせが新鮮ですよね。二人の会話のテンポも良く、古い資料を読み解いたり、関係者にインタビューをしたりといった地道な調査活動も、彼らの視点を通すことでスリリングなドラマに変わります。
作者について
著者は、日本を代表するハードボイルド作家、大沢在昌(おおさわ ありまさ)さんです。1979年のデビュー以来、数々の賞を受賞し、エンターテインメント小説界を牽引し続けています。
主な受賞歴
直木賞、日本推理作家協会賞、吉川英治文学賞などを受賞し、2022年には紫綬褒章も受章されています。
警察小説の金字塔である『新宿鮫』シリーズなど、リアリズムを追求したハードな作風で知られていますが、本作ではその筆力を活かしつつ、少し違ったジャンルへの挑戦も見られます。巨匠になってもなお、新しい境地を開拓しようとする姿勢には驚かされますね。
どこで読めるか出版社とページ数
『リペアラー』の書誌情報は以下の通りです。書店で探す際や、購入前の参考にしてください。
- 出版社:KADOKAWA
- 発売日:2025年2月28日
- ページ数:464ページ
- 定価:本体2,100円(税込2,310円)
400ページを超える長編ですが、展開がスピーディーなので、普段あまり本を読まない方でも一気に読めてしまうと思います。電子書籍版も同日発売されているので、スマホやタブレットで読みたい方にもおすすめです。
大沢在昌のゆきどまりの女などおすすめ作品
大沢在昌さんの作品を検索すると、「ゆきどまりの女」というキーワードが候補に出てくることがあります。「あれ、そんなタイトルの本あったっけ?」と探しても見つからず、困ってしまった方もいるのではないでしょうか。
実はこの作品、単独の書籍としては出版されていませんが、短編小説として実在します。
『眠りの家』という短編集に収録されている一編で、過去には「XX(ダブルエックス)」シリーズとしてVシネマ化もされた、知る人ぞ知るハードボイルド作品なんです。もしこの短編を目当てに探す場合は、角川文庫などから出ている『眠りの家』をチェックしてみてください。
「ゆきどまりの女」以外で、大沢在昌さんの世界観にどっぷり浸れる長編おすすめ作品なら、以下の3作が鉄板です。
- 『新宿鮫』シリーズ:言わずと知れた代表作。孤高の刑事・鮫島の戦いは必読です。
- 『天使の爪』:サスペンスフルな展開と人間ドラマが魅力の傑作。
- 『パンドラ・アイランド』:柴田錬三郎賞受賞作。スケールの大きな物語を楽しみたい方に。
『リペアラー』を読んで大沢ワールドに興味を持った方は、ぜひこれらの名作も手に取ってみてください。
小説リペアラーのあらすじと評価考察
ここからは、作品の核心部分に踏み込んでいきます。なぜこの作品が「問題作」と呼ばれるのか、その理由を深掘りしていきましょう。
本作の見どころ解説

『リペアラー』を読んでいて私が最も痺れたのは、「徹底的に証拠がない」という絶望的な状況から、真実を手繰り寄せていくプロセスそのものです。
なんといっても相手は40年前の案件。しかも、当時の警察が「事件性なし」として処理を終えているため、捜査資料もなければ、科学捜査でDNA鑑定……なんてこともできません。普通ならここで詰んでしまうところですが、ここからが本作の真骨頂です。
主人公のミヤビは「作家」、相棒の想一は「イラストレーター」。二人は刑事のような権力も逮捕権も持っていませんが、その代わりにクリエイターならではの強力な武器を持っています。
二人の武器とは?
ミヤビは断片的な証言から「物語の文脈」を読み解く言語化能力を、想一はその場の状況や証言者の微細な表情を「具体的な絵」として定着させる視覚化能力を持っています。
「あの時、あの場所にいた人々は何を見ていたのか?」
彼らはわずかな違和感を頼りに、事実の隙間を想像力(という名の鋭い推理)で埋めていきます。まるで真っ白なキャンバスに少しずつ色を乗せていくように、40年前の六本木の光景が鮮やかに復元されていく様は、読んでいて鳥肌が立ちました。「妄想」と紙一重の推理が、やがて確信に変わる瞬間……このカタルシスは、警察小説では味わえない独特の面白さです。
また、テーマ自体は「行旅死亡人」や「孤独死」といった、現代社会の闇を扱った重いものです。しかし、ミヤビと想一の軽妙な掛け合いや、長年の友人同士だからこその信頼関係が物語全体の空気をうまく中和してくれています。
社会派ミステリーとしての深みと、一級のエンターテインメントとしての読みやすさ。この絶妙なバランス感覚は、さすが巨匠・大沢在昌さんの手腕だと唸らされました。
読者の感想とレビュー紹介
発売直後から多くのレビューが寄せられていますが、正直に言うと評価は「賛否両論」です。もちろん、文章の巧みさや構成力については絶賛されています。
肯定的な意見
「ページをめくる手が止まらなかった」「40年前の六本木の描写がリアルで懐かしい」「ミヤビたちの嗅覚と行動力が痛快」といった声が多いです。
一方で、星の数を迷わせているのが物語の結末です。「大好きな作家さんだけど、今回は星4つかな」「最後で好みが分かれると思う」といった、戸惑いを含んだ感想も散見されます。これは、作品のクオリティというよりも、「ジャンルへの期待値」とのズレが原因と言えそうです。
衝撃的なSF展開の結末

ここからは少しだけネタバレに触れますが、実はこの作品、終盤で一気にSF(サイエンス・フィクション)的な展開へと突入します。
注意!
リアリティ重視のガチガチのハードボイルドや、論理的なトリックのみで解決するミステリーを期待していると、ラストで「えっ!?」と驚愕(あるいは困惑)することになります。
タイトルの「リペアラー」とは、単なる修理屋のことではありません。物語が進むにつれて、過去や記憶、あるいは「死」そのものに対して干渉するような、超常的なギミックが関わってくることが明らかになります。
この「ジャンルの越境」こそが本作の最大の仕掛けであり、同時に読者を選ぶポイントでもあります。私個人としては、大沢さんがこの年齢でこういった新しい要素を取り入れたことに感銘を受けましたが、「現実的な犯罪捜査」を求めていた方には肩透かしかもしれません。
リペアラーの小説あらすじまとめ
最後に、小説『リペアラー』のあらすじと特徴をまとめます。
- 40年前の「行旅死亡人」の身元調査から始まるミステリー
- ノンフィクション作家とイラストレーターのバディによる緻密な調査パートは読み応え抜群
- 終盤は予想を裏切るSF展開が待っており、評価が分かれるポイント
- KADOKAWAから2025年2月に発売された、464ページの長編意欲作
もしあなたが、「普通のミステリーには飽きた」「ジャンルにとらわれない物語が読みたい」と思っているなら、この『リペアラー』は間違いなく刺激的な読書体験になるはずです。ぜひ、ご自身の目でその衝撃のラストを確かめてみてくださいね。


