こんにちは。あらすじブックマークの管理人「おうみ」です。話題の小説「BOXBOXBOXBOX」のあらすじやネタバレが気になっていませんか？第174回芥川賞候補にもなった本作ですが、結末や登場人物について詳しく知りたいという方も多いはずです。文藝賞を受賞した話題作の感想も含めて、まだ読んでいない方にも分かりやすく紹介します。
- 第174回芥川賞候補作の概要とあらすじ
- 物語を彩る4人の個性的な登場人物
- 労働のリアルと幻想が交差する見どころ
- 実際に読んだ読者の口コミや評判
話題作「BOXBOXBOXBOX」のあらすじとは
ここでは、文壇で大きな注目を集めている小説『BOXBOXBOXBOX』について、基本的な情報から物語の導入部分、そして個性豊かなキャラクターたちについて詳しく解説していきます。
第174回芥川賞候補として注目
小説『BOXBOXBOXBOX』は、著者の坂本湾さんによるデビュー作です。この作品は、なんとデビュー作でありながら第62回文藝賞を受賞し、さらにそのままの勢いで第174回芥川賞の候補作にもノミネートされました。
河出書房新社から出版されており、タイトルの「BOX」が4回続くユニークな名前が印象的ですよね。デビュー即芥川賞候補というのは非常に珍しく、まさに「期待の超新人」として多くの読書好きや書店員さんから熱い視線を注がれているようです。
書籍情報
著者：坂本湾
出版社：河出書房新社
価格：1,650円（税込）
ISBN：978-4-309-03246-7
どんな内容かあらすじを解説
物語の舞台となるのは、常に「薄霧」が立ち込めている不思議な宅配所の配送センターです。そこで働く作業員たちは、ベルトコンベアから流れてくる無数の段ボール箱をひたすら仕分けるという単純労働に従事しています。
主人公の一人である安（あん）は、この単調な時間をやり過ごすために、流れてくる箱の中身を勝手に妄想するという趣味を持っていました。「この大きさでこの重さなら衣類だろう」「これは機械部品かな」といった具合です。
しかしある日、安は禁じられていた「箱の中身を覗きたい」という欲望に駆られ、ついに一線を越えてしまいます。そこから、退屈だったはずの日常が少しずつ歪み始め、霧に包まれた職場での人間模様が不穏な方向へと動き出していく……という、「ベルトコンベア・サスペンス」とも評されるストーリーです。
ここがポイント
ただのお仕事小説ではなく、霧や箱といったモチーフが幻想的な雰囲気を醸し出しており、現実と非現実の境界が曖昧になっていく展開が特徴的です。
4人の視点で描かれる登場人物
この作品の面白いところは、視点が一人だけではなく、同じ職場で働く4人の人物に切り替わりながら進んでいく点です。それぞれの事情や悩みが交錯することで、物語に深みが生まれています。
主な登場人物は以下の4名です。
- 安（あん）： 箱の中身を妄想するのが日課の作業員。物語の中心となる人物で、ある衝動から行動を起こします。
- 斉藤（さいとう）： 病気の妻を抱え、自身は職場で隠れてお酒を飲んでしまうなど、精神的に追い詰められているベテラン作業員。
- 稲森（いなもり）： 新人の派遣社員。元々はイラストを描いており、独特な感性で職場を観察しています。慣れない肉体労働に戸惑っています。
- 神代（かみしろ）： 契約社員として現場を管理する立場。トラブル処理に追われ、自身もまた疲弊しています。
彼らはそれぞれが「私」という一人称を持っており、それぞれの視点から見た「労働」の苦しみや、職場での人間関係が描かれています。
小説「BOXBOXBOXBOX」のあらすじ以外の魅力
あらすじだけでは語り尽くせない、この作品ならではの独特な読み味や、読者がどのような点に惹かれているのか、その魅力の核心に迫ります。
労働のリアルを描く物語の見どころ
本作の最大の見どころは、多くの現代人が共感できるであろう「労働の閉塞感」のリアルな描写です。
単純作業の繰り返しで思考が鈍っていく感覚や、肉体的な疲労、非正規雇用という不安定な立場の不安などが、非常に生々しく描かれています。特に、安全靴の硬さや、段ボールの擦れる音、職場の独特な匂いなどの描写が緻密で、読んでいるだけでその場にいるような息苦しさを感じるほどです。
また、後半にかけて物語は「リアリズム」から一転し、夢とも現実ともつかない不思議な展開を見せます。盗みを働く安、職場で嘔吐してしまう斉藤など、理性が崩壊していく様は衝撃的ですが、ラストには不思議な「解放感」や「希望」を感じたという声もあり、単なる鬱小説では終わらない多面性を持っています。
注意点
嘔吐や精神的な不安定さの描写が含まれるため、そういった表現が苦手な方は少し注意が必要かもしれません。
SNSなどでの読者の感想まとめ
実際にこの本を読んだ方々の感想をSNSや読書サイトなどでリサーチしてみました。賛否両論ありつつも、その独特な世界観に魅了された人が多いようです。
肯定的な意見：
- 「冒頭の書き出しから引き込まれた。霧の描写が美しい」
- 「労働のダルさや虚無感がリアルすぎて共感しかない」
- 「4人の視点が切り替わる構成が巧みで、最後まで一気に読ませる」
- 「ラストの展開には驚かされたが、不思議と救われた気持ちになった」
否定的な意見：
- 「後半の夢の描写が唐突に感じてついていけなかった」
- 「もっとわかりやすいサスペンスを期待していたので少し違った」
- 「全体的に暗くてジメジメした雰囲気なので読むのに体力がいる」
特に、「純文学として構成が素晴らしい」と評価する声と、「エンタメ作品として読むと少し難解」と感じる声に分かれている印象でした。しかし、多くの人が「強烈な印象に残る作品」であることは認めているようです。
小説「BOXBOXBOXBOX」のあらすじ総括
最後に、小説『BOXBOXBOXBOX』のあらすじと魅力をまとめます。
まとめ
- 霧に包まれた宅配所を舞台にした、第174回芥川賞候補の話題作。
- 単純労働に従事する4人の視点から、現代の労働のリアルと狂気を描いている。
- 主人公「安」の妄想と窃盗をきっかけに、日常が非日常へと変貌していく。
- 暗く重いテーマながら、独特の疾走感と美しい文章表現で一気に読ませる力がある。
- ラストの展開は解釈が分かれるものの、不思議な希望を感じさせる結末となっている。
もしあなたが、現代社会の労働に対してモヤモヤした気持ちを抱えていたり、少し変わった読み味の小説を探しているなら、この『BOXBOXBOXBOX』は間違いなく刺さる一冊になるはずです。ぜひ実際に手に取って、その霧の中の世界を体感してみてください。
