スポンサーリンク

畠山丑雄の小説『叫び』あらすじを解説!第174回芥川賞候補作の魅力

畠山丑雄の小説『叫び』あらすじを解説!第174回芥川賞候補作の魅力 あらすじ・要約
スポンサーリンク

こんにちは。あらすじブックマーク、管理人の「おうみ」です。

今回は第174回芥川賞の候補作に選出された、畠山丑雄さんの『叫び』についてご紹介します。タイトルやあらすじが気になって検索してみたものの、詳しい内容や登場人物、そして物語の結末がどうなるのか知りたいという方も多いのではないでしょうか。この作品は大阪を舞台に、昭和と令和をつなぐ壮大なテーマと、どこか人間臭い「しょうもなさ」が同居する不思議な魅力を持った小説です。

今回の記事でわかること
  • 『叫び』の詳しいあらすじと物語の背景
  • 第174回芥川賞候補作としての評価ポイント
  • 個性的な登場人物たちの関係性
  • 作者・畠山丑雄氏のプロフィールと作風
スポンサーリンク

畠山丑雄『叫び』のあらすじと概要

畠山丑雄『叫び』のあらすじと概要

まずは、今回ご紹介する『叫び』がどのような作品なのか、その基本的な情報と物語の全体像について解説していきます。芥川賞候補作としての立ち位置や、作者が本作に込めたテーマ性についても触れていきましょう。

第174回芥川賞候補作としての注目点

2026年1月14日に単行本が刊行予定の本作『叫び』は、第174回芥川賞の候補作に選出されたことで大きな話題を呼んでいます。著者の畠山丑雄さんは、2025年にも『改元』という作品で三島由紀夫賞の候補になっており、今まさに脂が乗っている実力派の作家さんですね。

この作品が注目されている理由は、単なるエンターテインメント小説にとどまらず、「戦後日本」という大きな枠組みを問うような重厚なテーマを扱っている点にあります。文芸誌『新潮』の2025年12月号に発表された際も、その圧倒的な筆致が評価されました。

ここがポイント

  • 2025年下半期の芥川賞(第174回)ノミネート作品。
  • 「戦後日本」や「昭和と令和の接続」を描く社会派の一面も。
  • 単行本は2026年1月14日発売予定。

個人的には、歴史的な重みと現代的な個人の悩みがどう融合しているのかが、受賞の行方を左右する大きなポイントになるのではないかと予想しています。

小説の詳しいあらすじを紹介

では、気になる物語の内容について見ていきましょう。舞台は大阪府茨木市。主人公の早野ひかるは、地方公務員として働く男性ですが、その生活は荒みきっていました。失恋をきっかけに自暴自棄になり、すっからかんの状態でお金も気力も失っていたのです。

そんなある夜、早野は遠くから聞こえてくる鐘の音に導かれるようにして、生活保護を受けて暮らす一人の男と出会います。早野はこの男を「先生」と呼んで慕うようになり、彼の指導のもとで不思議な活動にのめり込んでいきます。それは、銅鐸(どうたく)作りと、茨木という土地の歴史を学ぶことでした。

物語の大きな鍵となるのが、茨木の歴史に隠された「ケシ栽培」と「アヘン製造」の過去です。かつてこの地から満州へ渡り、「陛下への花束」として広大な大地をケシ畑に変えることにロマンを抱いた青年・川又のエピソードが挿入されます。彼は1940年に開催予定だった「幻の紀元2600年記念万博」を楽しみにしていた人物でもあります。

物語のキーワード
【銅鐸】 弥生時代の祭器。先生が奏でる音色が主人公を導く。
【ケシとアヘン】 戦時中、医療用や外貨獲得のために栽培されていた歴史的背景。
【万博】 過去の「幻の万博」と、現代の「大阪・関西万博」が物語の中で重なり合う。

主人公は、過去の青年に自分を重ね合わせながら、現代の大阪・関西万博へと向かいます。昭和の亡霊のような「叫び」が、令和の現代にどう響いていくのか、そこがこのあらすじの核心部分と言えるでしょう。

主要な登場人物と関係性

この物語を動かす登場人物たちは、どこか社会のレールから外れかけた、クセのある人々ばかりです。

  • 早野ひかる
    主人公。茨木市の公務員ですが、私生活はボロボロ。「しょうもないおっさん」と形容されるような、情けない一面を持っています。水商売の女性に入れあげたり、銅鐸作りに没頭して公共施設からつまみ出されたりと、その行動は突飛ですが、どこか憎めないキャラクターです。
  • 先生
    生活保護を受けながら銅鐸を作る謎の老人。早野に「先生」と呼ばれ、師事される存在。独自の価値観で世の中を見ており、早野に多大な影響を与えます。
  • 川又青年
    過去のパートに登場する人物。戦中、満州でケシ栽培に情熱を注いだ青年。早野が幻視し、対話する対象でもあります。
  • 「聖(ひじり)」と仰ぐ女性
    早野が一方的に(?)想いを寄せる女性。彼女と大阪・関西万博へ行く約束をすることが、物語のクライマックスへの駆動力となります。

早野と先生の奇妙な師弟関係や、一方通行気味な恋愛模様など、人間関係の「噛み合わなさ」も読みどころの一つです。

スポンサーリンク

『叫び』のあらすじから読み解く魅力

『叫び』のあらすじから読み解く魅力

ここからは、あらすじをさらに深掘りして、登場人物たちのユニークなキャラクター性や、この作品ならではの見どころについて解説していきます。一見難しそうなテーマに見えますが、実はクスッと笑えるような「人間臭さ」が満載なんです。

本作の最大の見どころを解説

私が思うこの作品の最大の見どころは、「しょうもなさ」と「壮大な歴史」のギャップにあります。

主人公の早野は、はっきり言ってダメな大人です。失恋して自暴自棄になったり、変な老人に入れ込んだり。しかし、そんな彼が「銅鐸」や「満州のケシ畑」という歴史の裂け目を覗き込むことで、物語は一気にシリアスな深みを帯びていきます。

また、「昭和」と「令和」の万博がリンクする構成も見事です。かつて戦争によって開催されなかった万博と、現代の万博。二つの時代を重ね合わせることで、封印されていた歴史の声=「叫び」が浮かび上がってくる構造には、知的な興奮を覚えずにはいられません。

注意点

本作にはアヘン製造や戦争に関する描写が含まれます。歴史的な事実をベースにしたフィクションですが、繊細なテーマを扱っている点にはご留意ください。

作者の畠山丑雄氏について

作者の畠山丑雄(はたけやま うしお)さんは、1992年生まれ、大阪府吹田市出身の小説家です。京都大学文学部を卒業されており、その経歴からも知的なバックボーンを感じさせますね。

デビューは2015年。「地の底の記憶」という作品で第52回文藝賞を受賞し、華々しく作家人生をスタートさせました。その後も『改元』などの話題作を発表し続けています。彼の作品は、綿密な歴史や社会への眼差しと、個人の内面にあるドロドロとした感情を巧みに織り交ぜるのが特徴だと感じます。

特に今回は、ご自身の出身地でもある大阪を舞台にしているため、土地勘を生かしたリアルな描写や、関西特有の空気感にも期待が高まります。

『叫び』のあらすじまとめ

今回は畠山丑雄さんの『叫び』について解説してきました。最後に、ここまでの内容を振り返りつつ、叫び あらすじのポイントをまとめたいと思います。

この作品は、大阪・茨木を舞台に、ダメな中年公務員が銅鐸作りを通して土地の記憶(アヘン栽培の歴史など)に触れ、過去と現在が交錯する中で自分なりの「実存」を見つけようとする物語です。第174回芥川賞候補作として、文学的な評価の高さはもちろんですが、単純に「変な人たちのエネルギー」を感じられるエンタメとしても楽しめるはずです。

2026年1月の単行本発売、そして芥川賞の選考結果が非常に楽しみですね。気になった方は、ぜひ実際に手に取って、その「叫び」の正体を確かめてみてください。

タイトルとURLをコピーしました