
こんにちは。あらすじブックマーク、管理人の「おうみ」です。
高瀬隼子さんの小説に興味を持って、いい子のあくびのあらすじについて詳しく知りたいと思い、このページにたどり着いたのではないでしょうか。
物語の結末や詳細な展開を知ってから本を読みたいという方や、すでに読了して自分なりの考察や作品に込められた意味を深掘りしたいという方も多いですよね。
特に、表題作だけでなく、併録されているお供えや末永い幸せの少し不気味な解説を求めている方もいるはずです。
登場人物である直子や大地の歪な関係性について、他の読者がどんな感想やレビューを書いているのか、ネタバレを含めて読んでみたいという気持ち、すごくよくわかります。
この記事では、皆さんが感じているモヤモヤや疑問に寄り添いながら、作品の核心部分までじっくりと解き明かしていきます。
最後まで読んでいただければ、物語の全貌がスッキリと理解できるはずですよ。
- 全三編の詳細なストーリー展開と衝撃的な結末のネタバレ
- 主人公たちを取り巻く複雑な人間関係と心理の動き
- 日常に潜む「割に合わなさ」やジェンダー的な視点からの考察
- 読了後に感じる心のモヤモヤを整理するためのヒント
いい子のあくびのあらすじと作品の全貌
ここでは、高瀬隼子さんの短編集『いい子のあくび』の物語の核心に迫っていきますね。表題作をはじめとする全三編のストーリー展開から、物語を動かす個性豊かなキャラクターたち、そして作品の根底に流れる深いテーマまで、余すところなくお伝えします。
収録された全三編の詳細なあらすじ
本作には、表題作である「いい子のあくび」に加えて、「お供え」「末永い幸せ」という二つの短編が収録されています。どれも私たちの日常と地続きにあるような、リアルで少しヒリヒリするお話ばかりなんですよ。
ここからは、結末のネタバレも含めてガッツリとあらすじを解説していくので、まだ読んでいない方で「自分で結末を知りたい!」という方は注意してくださいね。
「いい子のあくび」のあらすじと結末
主人公の佐元直子は、職場でも、恋人である大地の前でも、常に「いい子」でいることを心がけている女性です。他人の感情に敏感で、空気を読み、来客用のお茶が切れていればサッと補充する。でも、その気遣いは周囲から「当たり前のこと」として消費されていて、直子の心の中には激しい徒労感と「割に合わない」という怒りがマグマのように溜まっています。
直子の裏の顔
外見は穏やかな「いい子」ですが、内面は超攻撃的。歩きスマホでぶつかってくる人に対して、脳内では放送禁止用語レベルの汚い言葉を吐き捨てているんです。このギャップがたまらないですよね。
ある日、直子が「道でよく人にぶつかられそうになる」と愚痴をこぼしたとき、高身長でガッチリした体格の恋人・大地が「おれ、ぶつかられたことないよ」と無邪気に答えます。この一言が、直子の中の何かをプツンと切ってしまいます。
「私は、こいつならぶつかっても大丈夫だろうと無意識に見下され、選別されているんだ」と気づいた直子は、ついに反逆に出ます。「もう、よけない人のぶんまで自分がよけるのはやめよう。ぶつかったる」と決意するんです。
そしてある日、スーパーへ向かう狭い道で、自転車に乗りながらスマホを見ている男子中学生のヨシオカと遭遇します。直子はあえて道を譲らず直進し、見事に衝突。ヨシオカは自転車ごと転倒し、後ろから走ってきた西方の車と接触するという事故に発展してしまいます。
直子は「私は悪くない、私が正しい」と自分に言い聞かせるものの、事態は思わぬ方向へ。スーパーで西方と再会したりと、日常が少しずつ歪み始めます。さらに最悪なことに、偶然大地のスマホを見てしまい、彼の浮気が発覚。しかも大地はプロポーズしておきながら「別れたくない」と強気な態度を崩しません。この大地の傲慢さが、直子の絶望を決定的なものにします。
ラストシーンは本当に衝撃的です。直子は大地と一緒にいる駅のホームで、再び歩きスマホの人間と接触事故を起こします。その被害はなんと大地にまで及び、なんとも言えない破滅的で虚無感の漂う結末を迎えるんです。個人のささやかな意地が、最終的に自分たちを傷つける結果になるなんて、ゾッとしますよね。
「お供え」のあらすじと結末

続く「お供え」は、少し背筋が寒くなるようなオフィス・ホラー的な面白さがある作品です。主人公の「わたし」が勤める会社には、創業100周年記念で作られた創業者・鍵谷正造の小さなソフビフィギュアがあります。
このフィギュア、なぜか同僚のUさんのデスクに置かれているんですが、いつしか「このフィギュアにお菓子をお供えすると、ちょっとした願い事が叶う」という奇妙な都市伝説が社内に広まってしまうんです。
主人公は「なんだか不気味だな」と思いつつも、職場の空気を壊さないために、周りに合わせて適当にお供えをするフリをしています。いかにも日本の会社らしい同調圧力ですよね。
気をつけて!
職場の人間関係って、良かれと思ってやっていることが裏目に出ることがありますよね。この物語は、まさにその怖さを描いています。
主人公には、入社3年目で自分が教育係をしている後輩のAという存在がいます。Aは時折生意気な態度をとるものの、主人公は「Aの愚痴を聞いてあげることで、私たちはうまくやれている」と、ある種の連帯感を感じていました。
ところが、物語のラストでその幻想は木っ端微塵に打ち砕かれます。社内で最もフィギュアの存在を冷笑し、馬鹿にしているように見えたAが、一人でこっそりフィギュアにお供えをし、願い事を呟いている現場を主人公は目撃してしまうんです。
そのAの願い事の内容が、「先輩(主人公)が変わってほしい」という呪いのようなものだったのです。「他人は変えられない」と知っているからこそ、不気味なフィギュアにすがる後輩の姿。コミュニケーションの完全な断絶を見せつけられる、強烈な結末です。
「末永い幸せ」のあらすじと結末

最後は「末永い幸せ」です。地方出身で東京で働く35歳の主人公・奏は、幼馴染の仙子、りっちゃんと年に数回集まって飲む仲です。ある日、りっちゃんから「婚活パーティーで出会った人と結婚する」と報告され、結婚式の招待状を渡されます。
普通なら「おめでとう!」と喜ぶ場面ですが、奏の心の中はドス黒い感情でいっぱいになってしまいます。なぜなら奏は、結婚式というシステムそのものに強烈な嫌悪感を抱いていたからです。
父親の腕に引かれてバージンロードを歩き、新郎に引き渡される新婦。その姿が、奏には女性が「所有物」として扱われる「じんしんばいばい(人身売買)」の儀式のように見えてしまうんです。これを「じごく」だと感じている奏は、どうしても心から祝福できず、嘘をついて結婚式を欠席します。
結婚式当日、奏はこの耐え難い違和感をもう一人の幼馴染である仙子に打ち明けます。親友ならわかってくれるはず、という淡い期待があったのかもしれません。しかし、仙子には奏の感覚が全く理解できませんでした。
結局、どんなに親しい友人であっても、価値観の根底にあるズレは埋められない。それぞれが孤独に自分の価値観を抱えて生きていくしかない、というほろ苦く、リアルすぎる結末で物語は幕を閉じます。
物語を彩る主要な登場人物の紹介
『いい子のあくび』の魅力は、なんといっても登場人物たちのリアルすぎる造形にあります。どこにでもいそうな人たちなのに、内面に抱える闇が深くて、目が離せないんですよね。
- 佐元直子(「いい子のあくび」主人公)
表向きは完璧な「いい子」ですが、心の中は罵詈雑言の嵐。彼女の姿に「わかる!」と頷いてしまう人は多いはず。他人のために自分をすり減らすことに疲れ果て、やがて「ぶつかったる」という過激な行動に出てしまう危うさが魅力的です。 - 大地(直子の恋人)
高身長で恰幅が良い、いかにも「強者」の男性。彼の「ぶつかられたことないよ」という無邪気な一言が、直子を絶望の淵に追いやります。悪気がないからこそタチが悪い、無自覚な暴力性を体現しているキャラクターかなと思います。浮気をしておきながら別れないという図太さには、本当に腹が立ちました(笑)。 - 後輩A(「お供え」)
主人公の後輩。表向きはドライで、社内の奇妙な風習を冷笑しているように見えます。しかし、その裏では先輩に対する強烈な不満を抱え、神頼みという非合理な手段にすがるほどの絶望を抱えていました。現代の若者の諦めを見事に表現しています。 - 奏(「末永い幸せ」主人公)
結婚式を「じんしんばいばい」と表現する、非常に鋭く、ある意味で潔癖な感性の持ち主。社会のシステムに対して迎合できず、一人で苦しむ姿は、見ていて痛々しいと同時に強く惹きつけられます。
ジェンダー論の視点を交えた作品考察
さて、ここからは少し深く掘り下げて、考察をしていきたいと思います。この作品は、単なる日常のイライラを描いただけでなく、現代社会におけるジェンダーの不均衡を鋭く突いているんですよね。
まず、直子が強いられている「いい子」であること。これって、社会が女性に対して暗黙の了解として求めている「ケア労働」の押し付けだと思いませんか? 気遣いをして、空気を読んで、ニコニコしていること。それが当たり前とされ、評価もされない「割に合わなさ」は、多くの女性が感じている見えない呪縛です。
そして、大地が放った「ぶつかられたことないよ」という言葉。これこそが、男性が社会で無意識に享受している「特権」の象徴ですよね。体格が大きく、男性であるというだけで、道を譲ってもらえる。社会の小骨に引っかかることなく、太い道を堂々と歩ける。この圧倒的な非対称性に気づいたとき、直子が感じた絶望は計り知れません。
また、「末永い幸せ」における奏の視点も強烈です。多くの人が「幸せの絶頂」と信じて疑わない結婚式を、「じんしんばいばい」という家父長制の暴力的な儀式として捉え直す。この視点は、私たちが当たり前だと思っているシステムに強烈な疑問符を突きつけてきます。
ご注意ください
なお、本記事でのジェンダーに関する考察などは、あくまで私個人の解釈や一般的な見解に基づくものです。学術的な正しい定義や、最終的な判断、専門的な見地については、ジェンダー論の専門家にご相談いただくか、専門書籍などをしっかりとご確認くださいね。
いい子のあくびのあらすじと関連情報

作品のストーリーや深い意味合いを理解したところで、ここからは本作を取り巻く外側の情報にも目を向けてみましょう。他の読者がどのような感想を持ったのか、著者の高瀬隼子さんはどんな魅力を持った作家なのか、そして書籍の基本情報などをまとめてご紹介しますね。
共感を呼ぶ読者のレビューと感想
『いい子のあくび』を読んだ方々のレビューや感想をネットで見てみると、本当に賛否両論、様々な意見が飛び交っていて面白いんですよ。
圧倒的に多いのは、「歩きスマホでぶつかってくる人への怒り、痛いほどわかる!」という共感の声です。誰もが日常で感じているけれど、口に出せない「むかつき」を、直子が見事に言語化し、行動に移してくれたことに対するある種のカタルシスを感じている人が多いみたいです。
一方で、結末のあまりの救いのなさに「読んでいて息苦しくなった」「モヤモヤが残って眠れない」という感想も少なくありません。特に、直子の意地が最終的に自分自身を追い詰めていく過程は、見ていて辛いものがありますよね。
また、少しセンシティブな話題になりますが、「末永い幸せ」における「女性が物として扱われる恐怖」について、過去の極端な性的暴行事件(スーパーフリー事件など)を連想するという声も一部の界隈で見られました。もちろん本作は犯罪を直接描いたものではありませんが、女性の身体が消費されることへの究極的な恐怖が、読者の深層心理を強烈に刺激した結果なのかもしれません。それだけ、この作品が持つ刃が鋭いということですよね。
芥川賞受賞作家が描く本作の魅力
著者の高瀬隼子さんは、2022年に『おいしいごはんが食べられますように』で第167回芥川賞を受賞された、今最も注目されている純文学作家の一人です。『いい子のあくび』は、なんとその芥川賞受賞後の第一作となる短編小説集なんですよ。
高瀬さんの執筆スタイルの面白いところは、日常の中で感じた「むかつき」や「理不尽な出来事」をこまめに手帳にメモしておいて、それを物語の起点にしているという点です。
だからこそ、彼女の描く世界は、私たちの現実とピッタリと重なり合うリアルさを持っているんです。「あ、これ私だ」「こういう人、職場にいる!」と思わせる解像度の高さは、まさに高瀬文学の真骨頂ですよね。本作もその圧倒的な人間観察力が評価され、第74回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞しています。
単行本の出版社や発売日などの情報
「この本、ぜひ手元に置いてじっくり読みたい!」という方のために、書籍の基本情報も整理しておきますね。
| タイトル | いい子のあくび |
|---|---|
| 著者 | 高瀬 隼子(たかせ じゅんこ) |
| 出版社 | 集英社 |
| 発売日(単行本) | 2023年7月5日 |
| 定価 | 単行本:1,760円 / 文庫版:638円〜682円程度 |
| 受賞歴 | 第74回芸術選奨文部科学大臣新人賞 |
単行本は装丁も美しく、本棚に並べておきたくなるデザインです。手軽に持ち歩きたい方には文庫版もおすすめですよ。休日の午後に、お気に入りのカフェでじっくりと活字に向き合う時間を楽しんでみるのはいかがでしょうか。
価格等の確認について
上記の書籍価格や発売日などの数値データは、あくまで一般的な目安としての情報です。ご購入の際は、正確な情報は出版社などの公式サイトや、お近くの書店にて直接ご確認ください。
いい子のあくびのあらすじと解説まとめ
ここまで、高瀬隼子さんの『いい子のあくび』について、たっぷりと語ってきましたがいかがでしたか?
改めていい子のあくびのあらすじを振り返ってみると、この作品は単なる「人間関係のトラブルを描いた小説」ではなく、私たちが無意識に受け入れている社会のバグや、見えない特権、そして「いい子」であることを強要される現代の息苦しさを、容赦なく暴き出す劇薬のような作品だということがわかります。
直子のように「ぶつかったる」と反逆するのは危険かもしれませんが、自分の心の中にある「割に合わなさ」や「むかつき」に蓋をせず、ちゃんと見つめてあげること。それが、この理不尽な世界を少しだけ息継ぎしながら生きていくための、一つのヒントになるのかもしれませんね。
もしまだ原作を読んでいない方がいれば、ぜひ手に取って、このヒリヒリとした痛みを体験してみてください。読了後に感じるモヤモヤは、きっとあなたの心を豊かにするスパイスになるはずですよ。
それでは、今回はこの辺で。あらすじブックマーク管理人の、おうみがお届けしました!
