小説『でぃすぺる』のあらすじをネタバレ解説!感想や登場人物も

小説『でぃすぺる』のあらすじをネタバレ解説!感想や登場人物も あらすじ・要約

今村昌弘さんの小説『でぃすぺる』のあらすじが気になっていませんか?この物語は、ジュブナイルとオカルト、本格ミステリが融合した独特の世界観で多くの読者を魅了しています。この記事では、『でぃすぺる』の詳しい小説あらすじはもちろん、物語を彩る魅力的な登場人物、そして結末に触れるネタバレ解説まで、読者の皆さんが知りたい情報を網羅的に紹介します。

また、実際に読んだ人たちの読者の感想や、この傑作を生み出した作者についても深掘りしていきます。将来的に期待される文庫版の情報にも触れつつ、作品の全体像を掴めるように構成しました。この記事を読めば、作品への理解がきっと深まるはずです。

記事のポイント
  • 『でぃすぺる』の基本的な物語のあらすじ
  • 物語の鍵を握る主要な登場人物たちの紹介
  • 結末を含むネタバレ解説と作品の構造
  • 読者のリアルな感想や作品の評価

小説『でぃすぺる』のあらすじと基本情報

小説『でぃすぺる』のあらすじと基本情報
イメージ作成:あらすじブックマーク
  • 物語の導入となるあらすじ
  • 物語を動かす主な登場人物
  • 作者の今村昌弘はどんな作家?
  • 手に取りやすい文庫版の発売情報

物語の導入となるあらすじ

小説『でぃすぺる』は、小学校卒業を半年後に控えた3人の小学6年生が、町の怪談「奥郷町の七不思議」の謎を追う中で、1年前に起きた未解決殺人事件の真相に迫っていくジュブナイル・オカルトミステリです。

物語の舞台は、衰退しつつある田舎町「奥郷町」。オカルト好きな主人公の少年ユースケは、小学校の壁新聞でオカルト記事を連載するため、地味で人気のない「掲示係」に立候補します。しかし、彼の計画は、学級委員長タイプの優等生サツキも同じ係に立候補したことで、思わぬ方向へ進み始めます。

実はサツキには、掲示係になった切実な理由がありました。彼女の従姉であるマリ姉は、1年前に町のグラウンドで謎の死を遂げ、事件は未解決のままです。サツキはマリ姉の遺品であるパソコンから、『奥郷町の七不思議』と題されたファイルを発見します。

それは、地元に伝わる怪談を微妙に改変したものであり、七不思議のはずが六つしか記されていませんでした。サTsuキは、これがマリ姉の残したダイイング・メッセージだと考え、謎を解き明かすことで犯人にたどり着けると信じていたのです。

こうして、オカルトを信じるユースケ、現実的な視点で謎を解こうとするサツキ、そして転校生で冷静な観察者であるミナを加えた3人の掲示係は、「七不思議」の調査を開始します。彼らは子供ならではの視点と行動力で、大人たちが見過ごしてきた町の歴史や人々の秘密に触れていきます。

物語は、少年少女の冒険譚という爽やかさがありながらも、背筋が凍るようなホラー要素や、人の死というシリアスなテーマも内包しており、読者を一気に物語の世界へ引き込みます。

物語を動かす主な登場人物

物語を動かす主な登場人物
イメージ作成:あらすじブックマーク

『でぃすぺる』の魅力は、個性豊かな登場人物たちによって支えられています。特に、中心となる3人の小学生の関係性が物語の軸となります。ここでは、主要な登場人物を紹介します。

主要な3人の掲示係

名前説明
木島 悠介(きじま ゆうすけ)通称「ユースケ」。本作の主人公の一人。オカルトが大好きで、物事を心霊現象と結びつけて推理する肯定派。
波多野 沙月(はたの さつき)通称「サツキ」。真面目な優等生。非科学的なことを信じない現実主義者で、従姉の死の真相を合理的に解明しようとする否定派。
畑 美奈(はた みな)通称「ミナ」。物語の途中で転校してきた物静かな少女。二人の推理を聞き、ジャッジを下す中立的な役割を担う。

物語の鍵を握る人物

  • 波多野 真理子(はたの まりこ) 通称「マリ姉」。サツキの従姉で、物語開始の1年前に殺害されたとされる女性。彼女がパソコンに残した『奥郷町の七不思議』のファイルが、全ての謎の始まりとなります。
  • 豊木 ツネ(とよき つね) 町で「魔女」と噂される家に住む老婆。車椅子での生活を送っています。調査に行き詰まったユースケたちに、推理の進め方に関する重要な助言を与える謎めいた存在です。
  • 作間 寛人(さくま ひろと) マリ姉の知り合いを名乗る男性。ユースケたちの調査に協力的な姿勢を見せますが、その言動には不可解な点が多く見られます。

作者の今村昌弘はどんな作家?

本作の作者である今村昌弘(いまむら まさひろ)さんは、現代の日本ミステリ界を代表する作家の一人です。

2017年、『屍人荘の殺人』で第27回鮎川哲也賞を受賞してデビューしました。この作品は、クローズド・サークルという古典的なミステリの状況に、ゾンビというオカルト要素を融合させた「特殊設定ミステリ」として大きな話題を呼びました。各種ミステリランキングで1位を獲得し、シリーズ化されたほか、映画化もされるなど、鮮烈なデビューを飾ります。

今村さんの作風の大きな特徴は、本格ミステリの論理的な謎解きと、ホラーやSFといった現実離れした「特殊設定」を巧みに組み合わせる点にあります。読者の予想を裏切る大胆な仕掛けと、それを納得させる緻密な論理構築が高く評価されています。

この『でぃすぺる』は、デビュー以来シリーズ作品を書き継いできた今村さんにとって、初のノンシリーズ長編小説です。ジュブナイルという新たな要素を取り入れつつも、ミステリとオカルトを掛け合わせるという、まさに今村さんらしい挑戦が詰まった一作となっています。

手に取りやすい文庫版の発売情報

『でぃすぺる』の単行本は、2023年9月に文藝春秋から刊行されました。

2025年6月現在、まだ文庫版は発売されていません。しかし、デビュー作の『屍人荘の殺人』が単行本刊行から約2年後に文庫化されたことを考えると、今後『でぃすぺる』の文庫版が発売される可能性は十分にあると考えられます。

文庫化される際は、価格が手頃になるだけでなく、作者によるあとがきや解説が追加されることもあるため、発表が待たれます。いますぐ物語に触れたい方は、単行本版をお手に取ってみてください。

書籍形態出版社発売日
単行本文藝春秋2023年9月13日
文庫版未定

小説『でぃすぺる』のネタバレあらすじと評判

小説『でぃすぺる』のネタバレあらすじと評判
イメージ作成:あらすじブックマーク
  • 結末がわかるネタバレ解説
  • 読者の感想や評価まとめ
  • でぃすぺる小説あらすじを知って楽しもう

結末がわかるネタバレ解説

結末がわかるネタバレ解説
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ここからは、物語の結末を含む核心的なネタバレに触れます。未読の方はご注意ください。

『でぃすぺる』の驚くべき真相は、マリ姉を殺した犯人が人間ではなく、町に潜む「怪異」であったというものです。ユースケが主張し続けたオカルト的な推理が、最終的に真実だったことが明らかになります。

事件の真相とマリ姉の本当の目的

前述の通り、マリ姉の死は他殺ではなく、他殺に見せかけた「自殺」でした。彼女の目的は、自らの死を謎めいた事件として演出することで、翌日に開催予定だった祭りを中止させ、町に災いをもたらす邪神に力が集まるのを阻止することにあったのです。現場に凶器がなく、足跡もなかったのは、協力者である坂東という人物が、彼女の死後に凶器を回収したためでした。

マリ姉が残した『奥郷町の七不思議』は、単なるダイイング・メッセージではありませんでした。それは、過去に邪神が実際に引き起こした事件を記録した「事件簿」であり、同時に、邪神の存在に気づき、それに対抗する意志のある者を見つけ出すための入会試験でもあったのです。

なずての会と怪異の正体

物語の後半で登場する謎の組織「なずての会」は、当初、邪神を崇める怪しいカルト集団かと思われました。しかし、その正体は、古くから人知れず邪神に抵抗し、怪異が起こした事件を隠蔽してきた町の守り手たちでした。マリ姉もその一員だったのです。

そして、一連の事件の裏で暗躍していた作間寛人の正体は、豊木ツネ(魔女)の兄であり、神職を継いだ際に怪異の影響を受けて人間性を失った「操り人形」でした。彼を操っていたのが、名前を持たない邪神そのものです。

この物語の最大の特徴は、怪異の存在を推理によって論理的に導き出す点にあります。小学生である主人公たちが「どんな推理であれば納得するかのルール」を最初に決めることで、「怪異が犯人である」という通常では受け入れがたい結論に、読者をも「納得」させるという非常に野心的な構造を持っています。オカルトがミステリの合理性に勝利する、稀有な作品と言えるでしょう。

読者の感想や評価まとめ

読者の感想や評価まとめ
イメージ作成:あらすじブックマーク

『でぃすぺる』は、その独特な結末から、読者の間で様々な感想や評価が寄せられています。ここでは、肯定的な意見と、賛否が分かれるポイントをまとめて紹介します。

肯定的な感想

多くの読者からは、小学生たちの冒険譚としての面白さや、ページをめくる手が止まらなくなるストーリー展開が高く評価されています。

  • 「少年探偵団のようでワクワクした」
  • 「七不思議の怪談が本格的に怖くて引き込まれた」
  • 「伏線や仕掛けが巧みで、読み終えた後に唸らされた」
  • 「主人公3人のキャラクターが魅力的で、彼らの成長物語としても楽しめた」

このように、ジュブナイル小説としての完成度や、ミステリとホラーが融合したエンターテインメント性を称賛する声が多く見られます。

賛否が分かれるポイント

一方で、物語の核心であるオカルト的な結末については、読者のミステリ観によって評価が分かれる傾向にあります。

  • 「最終的に怪異オチなのは、ミステリとして反則ではないか」
  • 「マリ姉が自殺を選んだ理由に、いまいち納得できなかった」
  • 「登場人物(特に動画配信者)が死んだことに対する主人公たちの反応が少し軽く感じた」

これらの意見は、特に本格ミステリを読み慣れた読者から見られることがあります。しかし、本作が「オカルト的解決を読者に納得させる」という挑戦的な試みを行っている点を理解すると、その評価はまた変わってくるかもしれません。作者の野心的な構造を評価する声も多く、本作の最も議論を呼ぶ点であり、同時に最大の魅力であると考えられます。

『でぃすぺる』の小説あらすじを知って楽しもう

この記事では、今村昌弘さんの小説『でぃすぺる』のあらすじからネタバレ、登場人物、読者の感想までを詳しく解説しました。最後に、本記事で紹介した重要なポイントをまとめます。

  • 『でぃすぺる』はジュブナイル・オカルト・本格ミステリの融合作品
  • 主人公は小学6年生のユースケ、サツキ、ミナの3人組
  • 物語はサツキの従姉マリ姉の死の謎を追う形で展開する
  • 物語の鍵を握るのはマリ姉が残した『奥郷町の七不思議』
  • オカルト肯定派のユースケと否定派のサツキによる推理合戦が見どころ
  • 作者は『屍人荘の殺人』で知られる今村昌弘さん
  • 真相は人間ではなく町に潜む「怪異」が犯人
  • マリ姉の死の真相は他殺に見せかけた自殺だった
  • マリ姉の目的は邪神の力を弱めるために祭りを中止させること
  • 謎の組織「なずての会」は邪神に抵抗する町の守り手
  • このオカルト的な結末は読者の間で賛否が分かれるポイント
  • 小学生を主人公に設定したことが物語の構造上、非常に重要
  • 作中ではミステリのルール「ノックスの十戒」が効果的に引用される
  • 緻密な構成で読者を「納得」させるための工夫が随所に施されている
  • 物語の最後は続編の可能性を匂わせる形で締めくくられる
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