スポンサーリンク

山本周五郎『さぶ』あらすじ・ネタバレ解説!感動の結末とは

山本周五郎『さぶ』あらすじ・ネタバレ解説!感動の結末とは あらすじ・要約
スポンサーリンク

こんにちは。あらすじブックマーク、管理人の「おうみ」です。

山本周五郎の名作として知られる小説『さぶ』ですが、タイトルは聞いたことがあっても詳しい内容は知らないという方も多いのではないでしょうか。特に、さぶという人物がどのような役割を果たすのか、物語のあらすじや結末、そして犯人が誰なのかといったネタバレ情報は気になるところですよね。

また、夏休みの課題などで読書感想文を書くために、要点を短く把握したいという学生さんもいるかもしれません。この記事では、登場人物の魅力や読者の感想を交えながら、作品の世界観をわかりやすく解説していきます。無料で読める青空文庫の情報も紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

今回の記事でわかること
  • 物語の序盤から結末までのあらすじを把握できる
  • 栄二とさぶを中心とした魅力的な登場人物を知ることができる
  • 物語の鍵を握る事件の犯人と衝撃のネタバレを確認できる
  • 読書感想文の構成や書き方のヒントが得られる
スポンサーリンク

山本周五郎「さぶ」のあらすじと作品背景

山本周五郎「さぶ」のあらすじと作品背景

時代小説の名手、山本周五郎が描く『さぶ』は、単なる友情物語にとどまらず、過酷な運命に翻弄される青年の再生を描いた人間ドラマです。ここでは、物語の導入部分や個性豊かな登場人物、そして作品としての魅力について解説していきます。

序盤のあらすじをわかりやすく解説

江戸の表具屋「芳古堂」で働く栄二さぶは、同い年の職人見習いです。栄二は男前で頭が切れ、腕も立つ将来有望な若者。一方のさぶは、ぐずでとろく、失敗ばかりしていますが、誰よりも純粋で優しい心の持ち主でした。二人は対照的な性格ながらも、固い友情で結ばれていました。

ある日、栄二は奉公先のお得意様である大店「綿文」へ仕事に出向きます。しかしそこで、高価な「金襴(きんらん)の切れ端」が紛失する事件が発生します。あろうことか、その切れ端が栄二の道具袋から発見されてしまったのです。

栄二は身の潔白を主張しますが、過去の些細な過ちや状況証拠によって、誰にも信じてもらえません。

無実の罪を着せられた栄二は、石川島の人足寄場(にんそくよせば)へと送られることになります。将来を嘱望されていた栄二の人生は一転し、理不尽な運命に対する激しい怒りと人間不信に苛まれる日々が始まります。物語は、この寄場での栄二の荒んだ生活と、それを外から支えようとするさぶの献身的な姿を軸に展開していきます。

物語を動かす主要な登場人物

物語を動かす主要な登場人物

『さぶ』の魅力は、主人公二人だけでなく、彼らを取り巻く人々が非常に人間臭く描かれている点にあります。主要なキャラクターを整理しておきましょう。

人物名特徴・役割
栄二主人公の一人。男前で優秀な表具職人だったが、冤罪で人足寄場へ送られる。復讐心に燃え、周囲に心を閉ざす。
さぶもう一人の主人公。栄二の親友。愚鈍だが誠実で、栄二を心から慕い、彼を救うために奔走する。
おすえ「綿文」の中働きで、後に栄二の妻となる女性。栄二を一途に想っている。
おのぶ料理屋「すみよし」の女中。さぶに想いを寄せられるが、彼女自身は栄二に惹かれている。気風の良い女性。
赤鬼(松田権蔵)人足寄場の差配役。強面で口は悪いが、実は人情味あふれる人物。栄二のことを気にかける。
岡安喜兵衛人足寄場の役人。栄二の境遇に理解を示し、公平な目で見守る人格者。

特に人足寄場の人々は、社会から弾き出された者たちですが、彼らとの交流を通して栄二の心境に変化が訪れます。

衝撃の結末のネタバレと犯人の正体

人足寄場での過酷な生活の中、栄二は仲間たちとの交流や、災害時の救助活動などを通じて、少しずつ人間としての温かみを取り戻していきます。そしてついに仮出所の日を迎え、さぶやおすえの待つシャバへと戻ります。

栄二は表具師として独立し、おすえと所帯を持ちます。しかし、彼の心には常に「自分を陥れた犯人は誰か」「復讐してやりたい」という暗い炎がくすぶっていました。栄二は、自分を捨てた「綿文」の人々や、自分を捕らえた役人たちを疑い続けていました。

しかし、物語の終盤、衝撃の事実が明らかになります。

犯人は、妻となった「おすえ」でした。

ある日、栄二はさぶが糊の瓶の蓋の裏に書き残したメモを見つけます。そこには、栄二の冤罪を防げなかった自分を責める言葉が綴られていました。これをきっかけに、栄二はおすえを問い詰めます。

おすえの動機は、あまりにも身勝手で、かつ悲痛な愛によるものでした。当時、栄二は綿文のお嬢様と結婚するのではないかという噂が立っていました。おすえは、栄二が遠い存在になってしまうことを恐れ、「栄二が綿文に出入りできなくなれば、自分だけのものになる」という衝動に駆られ、金襴の切れ端を道具袋に入れてしまったのです。

この事実は栄二にとってあまりに残酷なものでした。自分が地獄のような苦しみを味わった原因が、最も近くで支えてくれた妻だったのですから。

しかし、栄二が出した答えは「赦し」でした。寄場での経験が、彼を変えていたのです。彼は怒りを飲み込み、おすえを抱きしめます。そして、自分は寄場で多くのことを学び、成長できたのだから、これでよかったのだと語りかけます。物語は、栄二が人間として大きく成熟し、さぶとの変わらぬ友情を確認して幕を閉じます。

さぶは青空文庫で読めるのか

結論から申し上げますと、『さぶ』は現在、青空文庫で無料で読むことができます。

山本周五郎は1967年に亡くなっており、著作権の保護期間が終了しているため、青空文庫をはじめとする電子図書館で作品が公開されています。PCやスマートフォンがあれば、いつでもどこでもこの名作に触れることが可能です。

青空文庫とは?
著作権が消滅した作品や、著者が公開を許諾した作品を公開しているインターネット上の電子図書館です。ボランティアによって運営されています。

長編小説ではありますが、文章は読みやすく、物語の引き込みも強いため、普段あまり本を読まない方でも挑戦しやすい作品です。まずは冒頭部分だけでも読んでみることをおすすめします。

さぶ(青空文庫:https://www.aozora.gr.jp/cards/001869/files/57624_69967.html

スポンサーリンク

小説「さぶ」のあらすじを一歩深く読む

小説「さぶ」のあらすじを一歩深く読む

読者の感想やレビューでの評価

『さぶ』を読んだ人々の感想は、時代を超えて多くの共感を呼んでいます。ネット上のレビューや感想文などでよく見られる意見をまとめてみました。

  • さぶの友情に泣いた: 「さぶ」というタイトルだが、主人公は栄二だと思っていた。しかし読み終えると、さぶの存在の大きさに気づく。彼の無償の愛に涙が止まらなかった。
  • 栄二の成長に感動: 復讐心に囚われていた栄二が、寄場の仲間たち(特に与平や赤鬼)との関わりで変化していく様子が丁寧に描かれていて心を打たれる。
  • ラストの衝撃: 犯人がまさかの人物で驚いた。普通なら許せないはずだが、それを受け入れる栄二の器の大きさに、彼が寄場で得たものの大きさを感じた。
  • 現代にも通じるテーマ: 冤罪や挫折、人間関係の悩みなど、現代人が抱える問題にも通じる部分が多く、勇気をもらえた。

多くの読者が、苦難を乗り越える栄二の姿と、それを支え続けるさぶの姿に、人間としての理想像を見出しているようです。

宿題に使える読書感想文の文例

『さぶ』は、読書感想文の題材としても非常に優秀です。ここでは、感想文を書く際の構成案や切り口の例をいくつか紹介します。

テーマ例1:本当の「賢さ」とは何か

栄二は才気煥発で「賢い」とされていましたが、人の心の機微には疎い部分がありました。一方、さぶは「ぐず」と呼ばれていましたが、人の痛みがわかる本当の賢さを持っていました。この二人の対比から、人間にとって大切な能力とは何かを論じます。

テーマ例2:不条理な運命と向き合う心

無実の罪という理不尽な状況に置かれたとき、人はどう生きるべきか。腐ってしまうのか、そこから何かを学ぶのか。栄二の心の変化を追いながら、自分ならどうするかを考えます。

書き出しの例:
「もしも私が栄二の立場だったら、犯人を許すことはできなかっただろう。しかし、この物語を読み終えた今、私は『許す』という行為の強さを知った気がする。」

テーマ例3:支え合うことの大切さ

栄二一人の力では、寄場の過酷な生活を乗り越えられなかったかもしれません。さぶの差し入れや、寄場の仲間たちの助け合いに焦点を当て、人は一人では生きていけないというテーマで書きます。

山本周五郎の代表作としての魅力

『さぶ』を読んで山本周五郎の世界に惹き込まれたなら、ぜひ他の代表作にも触れてみてください。彼の作品は、時代小説から現代劇(執筆当時の現代)まで幅広く、数多くの名作が映画化やドラマ化されています。「さぶ」以外の必読作品をいくつかご紹介します。

次に読むならコレ!おすすめの代表作

  • 『赤ひげ診療譚』
    黒澤明監督の映画『赤ひげ』の原作としても有名です。江戸の小石川養生所を舞台に、無骨な医師「赤ひげ」と若き医師の心の交流を描いた連作短編集。『さぶ』のような人間ドラマが好きな方には特におすすめです。
  • 『樅ノ木は残った』
    NHK大河ドラマにもなった歴史長編の傑作です。伊達騒動を題材に、悪人として歴史に名を残した原田甲斐の真の姿を描き出します。組織と個人の葛藤を描いた、読み応え抜群の一冊です。
  • 『青べか物語』
    著者自身の浦安での生活をモデルにした私小説的な連作短編集。ユーモラスでありながら、どこか哀愁漂う人間模様が描かれており、山本周五郎のまた違った一面を楽しめます。
  • 『季節のない街』
    こちらも黒澤明監督の映画『どですかでん』の原作です。貧民街に生きる個性的な住人たちの悲喜こもごもを描いた作品で、人間のたくましさと脆さが同居する名作です。

山本周五郎作品に共通しているのは、「虐げられた者や弱者への温かい眼差し」です。どの作品も、苦しい境遇にある人々に寄り添い、そこにある一条の光を描き出そうとしています。

『さぶ』が気に入った方は、ぜひ『赤ひげ診療譚』あたりから手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。きっと、心揺さぶられる新たな出会いが待っているはずです。

赤ひげ診療譚(青空文庫:https://www.aozora.gr.jp/cards/001869/files/57841_64952.html

「さぶ」のあらすじまとめと総括

「さぶ」のあらすじまとめと総括

山本周五郎の『さぶ』は、冤罪によって人生のどん底に落とされた男・栄二が、親友さぶの無償の愛と、人足寄場での様々な人間模様を通じて再生していく物語です。

  • 栄二は無実の罪で人足寄場へ送られ、復讐心に燃える。
  • さぶは栄二を信じ続け、献身的に支え続ける。
  • 寄場での人々との交流が、栄二の頑なな心を溶かしていく。
  • 犯人は妻のおすえだったが、栄二はそれを許し、前を向いて生きることを選ぶ。

この物語が教えてくれるのは、どんなに辛い状況でも、人は変わることができるということ、そして、誰かを信じ抜くことの尊さです。タイトルが『栄二』ではなく『さぶ』である意味を、読了後にきっと深く噛みしめることができるでしょう。まだ読まれていない方は、ぜひ青空文庫などでこの名作に触れてみてください。

タイトルとURLをコピーしました