村山由佳さんの名作『天使の卵』の続編として知られる、小説 天使の梯子のあらすじを探していませんか?前作から10年後の世界が描かれる本作について、主要な登場人物や物語の見どころ、さらには読者の感想も気になるところだと思います。
また、作者の村山由佳さんが描く世界観や、映像化された天使の梯子の映画(テレビドラマ)との違い、そして完結編である天使の柩についても知りたいと考えているかもしれません。この記事では、天使の梯子をどこで読めるかという情報と合わせて、作品の魅力を余すところなく解説します。
- 小説『天使の梯子』の切ないあらすじと物語の核心
- 主要な登場人物たちの詳細と彼らが抱える想い
- 前作『天使の卵』から続く物語の繋がりと変化
- 作品を最もお得に読む方法
「天使の梯子」小説のあらすじと作品の基本情報

- 天使の梯子の切ないあらすじ
- 物語を彩る主な登場人物
- 心揺さぶる物語の見どころ
- 前作「天使の卵」との関係性
天使の梯子の切ないあらすじ

物語は、『天使の卵』の悲劇的な結末から10年の歳月が流れた世界を舞台に、静かに幕を開けます。主人公は、大学生の古幡慎一(ふるはた しんいち)、21歳。彼は、アルバイト先のカフェで耳にした懐かしい声に、心を奪われます。その声の主は、高校時代に担任だった教師、斎藤夏姫(さいとう なつき)でした。
当時から淡い憧れを抱いていた慎一は、29歳になり、どこか憂いを帯びた美しさを持つ夏姫と偶然再会したことで、その想いを再燃させます。一方の夏姫もまた、強引でひたむきな慎一の姿に、忘れていたはずの感情を揺さぶられ、二人の距離は急速に縮まっていきます。しかし、その関係は決して平坦なものではありませんでした。
夏姫が抱える心の闇
夏姫の心には、10年前に亡くした姉・春妃への深い罪悪感と、その悲しみを唯一分か-ち合える特別な男性、一本槍歩太(いっぽんやり あゆた)の存在が、今なお深く刻まれていました。彼女は慎一に体を許し、一時的な安らぎを求めながらも、決して心の奥深くにある聖域に彼を招き入れようとはしません。
慎一は、夏姫が見せるふとした瞬間の寂しさや、彼女の携帯電話に頻繁に届く歩太からの連絡に、言いようのない嫉妬と不安を募らせます。彼女を過去の呪縛から解き放ち、自分だけのものにしたいと願う一方で、二人の間にある見えない壁に何度も打ちのめされるのです。
さらに物語は、慎一自身もまた、口論の末に急逝した祖母への「伝えられなかった言葉」という後悔を抱えることになり、夏姫と同じ痛みを共有することになります。本作は、愛する人を失った悲しみと、残された罪悪感に苛まれる者たちが、互いの傷に触れ、赦し合い、再生へと向かう姿を描いた、切なくも希望に満ちた純愛物語です。
物語を彩る主な登場人物
『天使の梯子』の物語は、それぞれが過去の痛みを抱える魅力的な登場人物たちによって深く、感動的に紡がれていきます。ここでは、物語の中心となる3人を紹介します。
古幡 慎一(ふるはた しんいち)
本作の主人公で、21歳の大学生。愛称は「フルチン」。複雑な家庭環境で育ち、どこか達観したような一面を持っていますが、内面には情熱を秘めています。高校時代の恩師であった夏姫と再会し、彼女の抱える悲しみに触れながらも、一途に愛し抜こうとするひたむきな青年です。
斉藤 夏姫(さいとう なつき)
本作のヒロインで、29歳の会社員。前作『天使の卵』の主人公・歩太の元恋人であり、故人となった五堂春妃の妹です。10年前の姉の死に対して強い罪悪感を抱き続けており、幸せになることに臆病になっています。慎一と出会い、新たな恋に戸惑いながらも、過去と向き合おうとします。
一本槍 歩太(いっぽんやり あゆた)
前作『天使の卵』の主人公で、29歳。塗装店で働きながら、画家としての道を歩んでいます。10年前に最愛の人・春妃を失って以来、彼の時間は止まったままです。特に人物画は描けなくなっており、心の中に深く春妃の存在が残っています。夏姫とは今でも連絡を取り合う、特別な関係です。
補足:登場人物たちの10年
前作で19歳だった歩太と夏姫が、本作では29歳になっています。10年という歳月が彼らを大人に変えましたが、心の傷は癒えないまま。そこに現れる21歳の慎一が、停滞していた二人の時間を動かす鍵となります。
心揺さぶる物語の見どころ

『天使の梯子』には、読者の心を掴んで離さない魅力的な要素が数多くあります。ここでは、特に注目すべき見どころを3つのポイントに絞ってご紹介します。
見どころ①:過去の傷と「赦し」のテーマ
物語の核心にあるのは、「過去の出来事を乗り越え、自分を赦す」というテーマです。夏姫と歩太は、10年前の春妃の死をそれぞれの形で引きずっています。彼らがどのようにして過去と向き合い、未来へ歩み出すのか。その葛藤と再生の過程が、非常に繊細な筆致で描かれています。
見どころ②:危うげで美しい恋愛模様
慎一と夏姫の8歳差の恋は、ただ甘いだけではありません。夏姫の心に棲みつく「歩太」の存在や、彼女が抱える罪悪感が、二人の関係に常に影を落とします。それでもなお、互いを求めずにはいられない、その危うさとひたむきさが読者の心を強く打ちます。
見どころ③:心に響く情景描写
村山由佳さんの作品の魅力の一つは、その美しい情景描写です。特に、物語の重要なシーンで描かれる桜の風景は圧巻です。舞い散る花びらが登場人物たちの心情と重なり、物語の切なさと美しさを一層際立たせています。文章を読むだけで、その光景が目に浮かぶようです。
これらの見どころが絡み合い、単なる恋愛小説にとどまらない、人間の心の深淵に触れる重厚な物語を生み出しています。
前作「天使の卵」との関係性
『天使の梯子』は、村山由佳さんの代表作『天使の卵-エンジェルス・エッグ』の正式な続編であり、物語を100%楽しむためには前作との関係性を理解しておくことが不可欠です。
前作では、美大を目指す19歳の青年・一本槍歩太が、8歳年上の精神科医・五堂春妃と運命的な恋に落ちる物語が描かれました。そして、歩太の当時の恋人が、春妃の妹である斉藤夏姫でした。
『天使の梯子』は、その悲劇的な結末から10年後が舞台。前作のヒロインだった夏姫が、今度は自らが主人公の一人となり、新たな恋と過去のトラウマとの間で揺れ動きます。また、歩太のその後の人生も描かれており、彼が春妃を失った悲しみをどのように抱えて生きているのかが明らかになります。
前作を読んでいなくても『天使の梯子』の物語を追うことは可能ですが、夏姫と歩太が背負っているものの重さや、二人の会話に込められた深い意味を理解するためには、ぜひ『天使の卵』から読むことを強くおすすめします。感動の深さがまったく違ってくるはずです。
「天使の梯子」小説のあらすじ以外の魅力と情報

- 読者の感想や口コミでの評価
- 天使の梯子 映画版との違い
- 続編「天使の柩」も必読
- 作者の村山由佳について
- 天使の梯子はどこで読める?
- 「天使の梯子」小説のあらすじについて総括
読者の感想や口コミでの評価

『天使の梯子』は多くの読者から高い評価を得ていますが、その感想は様々です。ここでは、肯定的な意見と、一部で見られる異なる視点からの意見の両方を紹介します。
肯定的な感想
多くの読者が、「登場人物の心の動きがリアルで感情移入した」「切ないけれど、最後は希望が感じられて救われた」といった感想を寄せています。特に、過去のトラウマを乗り越えていく登場人物たちの姿に感動したという声が多数見られます。
また、「村山由佳さんの文章がとにかく美しい」「情景描写が目に浮かぶようで、物語の世界に引き込まれた」など、その巧みな筆致を絶賛する声も少なくありません。
「前作の悲しみを引きずっていたので、この続編で夏姫と歩太が少しでも前に進めてよかった」というように、前作からのファンにとっては、まさに待望の物語だったようです。
異なる視点の感想
一方で、少数ながら異なる意見も存在します。最も多いのは、「『天使の卵』で物語は完璧に完結していたので、続編は余計だったかもしれない」というものです。前作の持つ悲しくも美しい結末を大切にしたい読者にとっては、少し蛇足に感じられたケースもあるようです。
また、「主人公・慎一の行動に共感しづらい部分があった」といった、登場人物のキャラクターに対する賛否も見られます。これらは、物語のリアルさゆえに、読者それぞれの価値観が反映されやすい部分と言えるでしょう。
天使の梯子 映画版との違い
「天使の梯子」は、映画ではなく、2006年10月22日にテレビ朝日の「日曜洋画劇場」枠でドラマスペシャルとして映像化されました。映画化されたのは前作の『天使の卵』であり、このドラマは映画公開の翌日に放送され、映画の10年後を描くという連動企画でした。
小説とドラマ版の主な違いは以下の通りです。
項目 | 小説版 | テレビドラマ版 |
---|---|---|
視点 | 主人公・古幡慎一の視点が中心 | 斉藤夏姫の視点が中心(慎一の視点も交える) |
キャスト | – | 斉藤夏姫:ミムラ 一本槍歩太:要潤 古幡慎一:渡部豪太 |
物語の焦点 | 慎一の夏姫への一途な想いと成長に重きが置かれている | 夏姫の過去の罪悪感からの再生という側面に、より焦点が当てられている |
ドラマ版は、映画で沢尻エリカさんが演じた夏姫の「その後」を、ミムラさんが演じるという形で物語が紡がれています。小説は慎一の視点で夏姫の謎めいた部分に惹かれていく過程が丁寧に描かれますが、ドラマは夏姫の内面の葛藤がより分かりやすく表現されているのが特徴です。
どちらも魅力的な作品ですが、登場人物たちのより細やかな心理描写を味わいたい方は、まず小説を読むことをおすすめします。
続編「天使の柩」も必読

「天使」シリーズは、『天使の卵』『天使の梯子』だけでは終わりません。シリーズの完結編として、2013年に『天使の柩(ひつぎ)』が刊行されています。
この物語は、『天使の梯子』からさらに4年後の世界が舞台。主人公は、フィリピン人の母を持つ天羽茉莉(あもう まり)という中学3年生の少女です。複雑な家庭環境から心に傷を負い、居場所をなくしていた彼女が、偶然一本槍歩太と出会うところから物語は始まります。
『天使の柩』のあらすじ
ネグレクトやいじめに苦しむ少女・茉莉は、公園で歩太に助けられたことをきっかけに、彼と交流を深めていきます。歩太の優しさに救いを求める茉莉。そして歩太もまた、茉莉との出会いを通じて、14年間開けることのできなかった「春妃」という柩に、ようやく向き合おうと決意します。
『天使の梯子』で少しだけ前に進んだ歩太が、どのようにして過去を乗り越え、自らの人生を取り戻していくのか。その最終的な結末が描かれています。シリーズを通して追いかけてきた読者にとって、必読の完結編と言えるでしょう。
作者の村山由佳について
「天使」シリーズの生みの親である村山由佳(むらやま ゆか)さんは、現代日本を代表する小説家の一人です。彼女の作品は、透明感あふれる文体と、人間の心の機微を鋭く描く心理描写で、多くの読者を魅了し続けています。
1964年東京都生まれ、立教大学文学部卒業。1993年に『天使の卵』の原型となる『春妃?デッサン』で第6回小説すばる新人賞を受賞し、デビューしました。その後も数々の文学賞を受賞しています。
- 2003年:『星々の舟』で第129回直木三十五賞
- 2009年:『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞
- 2021年:『風よ あらしよ』で第55回吉川英治文学賞
初期は『天使の卵』や『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズのような瑞々しい青春恋愛小説で人気を博しましたが、近年は『ダブル・ファンタジー』に代表されるような、大人の女性の性のあり方や業を深く描く作風でも高い評価を得ています。その作風の幅広さも、村山由佳さんの大きな魅力です。
天使の梯子はどこで読める?

『天使の梯子』は、長年愛されているベストセラー作品のため、様々な方法で読むことが可能です。自分に合った方法を選びましょう。
紙の書籍で読む
紙の書籍には、「単行本」と「文庫本」の2種類があります。現在、新品で入手しやすいのは集英社文庫から刊行されている文庫版です。書店やオンラインストアで気軽に購入できます。また、中古書店や図書館などを利用するのも一つの手です。
電子書籍で読む
スマートフォンやタブレット、電子書籍リーダーをお持ちであれば、電子書籍も非常に便利です。場所を取らず、いつでもどこでも読むことができます。主要な電子書籍ストアで購入可能です。
『天使の梯子』をこれから読むなら、電子書籍ストアの「DMMブックス」が特におすすめです。その最大の理由は、初めて利用する人向けの非常に強力な割引クーポンにあります。
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例えば、「天使」シリーズ3作(『天使の卵』『天使の梯子』『天使の柩』)をまとめ買いしても、大幅な割引が適用されます。
クーポンの注意点
この90%OFFクーポンは、DMMブックスでの初回購入時のみ利用可能です。また、クーポンの取得には無料の会員登録が必要です。キャンペーンは予告なく変更・終了する場合があるため、利用を検討している方は早めに公式サイトをチェックしましょう。
「天使の梯子」小説のあらすじについて総括
今回の記事の内容をまとめます。
- 『天使の梯子』は『天使の卵』から10年後の物語
- 主人公は大学生の古幡慎一と、前作にも登場した斎藤夏姫
- 慎一と夏姫の8歳差の切ない恋愛が描かれる
- 夏姫は姉の死に関する罪悪感を引きずっている
- 前作主人公の歩太も重要な登場人物として登場する
- 物語のテーマは過去の傷からの再生と「赦し」
- 美しい情景描写、特に桜のシーンが見どころ
- 本作を楽しむには前作『天使の卵』を読むのがおすすめ
- 映像化は映画ではなくテレビドラマとして2006年に放送された
- ドラマ版は夏姫視点が中心で、小説版は慎一視点が中心
- シリーズ完結編として『天使の柩』も刊行されている
- 作者の村山由佳さんは直木賞受賞作家
- 作品は紙の書籍と電子書籍の両方で読むことができる
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- クーポンを利用すればシリーズ作品もまとめて安く購入できる