「雪の断章」小説のあらすじと犯人のネタバレ解説

佐々木丸美さんの不朽の名作として知られる『雪の断章』。これから小説を読んでみたいけれど、一体どのような物語なのだろうと、あらすじが気になっていませんか？

この記事では、雪の断章の小説に関する詳しいあらすじはもちろん、物語を彩る登場人物の相関図から、ミステリーの核心に迫る犯人の正体まで、詳しく解説していきます。

さらに、雪の断章が実はシリーズ作品であることや、実際に読んだ人たちの読者の感想、そしてどこで読めるのかというお得な情報まで、あなたの知りたい情報を網羅しました。

この記事で分かること

『雪の断章』の詳しいあらすじ
物語の鍵を握る登場人物と犯人
小説版と映画版の違いやシリーズ作品
お得に作品を読むことができる電子書籍サービス

「雪の断章」小説のあらすじと魅力に迫る
小説「雪の断章」のあらすじ以外の見どころ

「雪の断章」小説のあらすじと魅力に迫る

物語の切ないあらすじを紹介
主な登場人物の相関図を解説
物語の鍵を握る犯人は誰か
読者の感想やレビューを紹介

物語の切ないあらすじを紹介

『雪の断章』は、1975年に刊行された佐々木丸美さんのデビュー作です。孤児として生きる少女の過酷な運命と、彼女を取り巻く人々の複雑な人間模様が、美しい雪の街・札幌を舞台に描かれます。

物語の主人公は、生後2ヶ月で孤児院に収容された少女、倉折飛鳥（くらおりあすか）。6歳で市内の本岡家に引き取られますが、そこは名ばかりの養女としてこき使われるだけの辛い環境でした。家の娘たちや両親からの虐げに耐えかねた飛鳥は、ついに家を飛び出してしまいます。

あてもなくさまよう飛鳥が向かったのは、かつて迷子になったときに助けてくれた優しい青年に出会った思い出の場所、札幌の大通公園でした。そこで彼女は、奇跡的にその青年・滝杷祐也（たきえひろや）と再会を果たします。祐也の決断により、飛鳥は彼のアパートで一緒に暮らすことになりました。

祐也や彼の親友・史郎、アパートの管理人など、温かい人々に囲まれ、飛鳥は閉ざしていた心を少しずつ開いていきます。しかし、飛鳥が高校2年生になった冬、平穏な日々は突如として破られます。祐也の会社の上司の娘であり、飛鳥を虐げていた本岡家の長女・聖子が、アパートの一室で毒殺される事件が発生。忘年会の最中の出来事であり、第一発見者となった飛鳥も警察から厳しい追及を受けることになります。

事件の真相は解明されないまま時が過ぎ、飛鳥は自分を虐待した奈津子と同じ高校に進学します。過去の確執や親友とのすれ違いに悩みながらも、祐也の言葉に支えられ成長していく飛鳥。しかし、彼女は毒殺事件の犯行が可能だった人物が、たった一人しかいないことに気づいてしまうのです。

真実を知ってしまった苦悩、そして育ての親である祐也への気持ちが恋心だと自覚した葛藤。様々な思いが交錯する中、飛鳥が下す決断とは…。少女の成長と切ない恋、そして衝撃的なミステリーが絡み合う、感動的な物語です。

主な登場人物の相関図を解説

『雪の断章』の物語を深く理解するために、主要な登場人物たちの関係性を整理しておきましょう。それぞれのキャラクターが持つ背景や感情が、物語に奥行きを与えています。

倉折飛鳥（くらおりあすか）

本作の主人公。孤児院で育ち、本岡家で虐待された過去を持つ少女。心を閉ざしがちで頑固な性格ですが、根は非常に純粋です。祐也と出会い、彼に引き取られたことで人生が大きく変わります。育ての親である祐也に、次第に恋心を抱くようになります。

滝杷祐也（たきえひろや）

飛鳥を助け、自分のアパートに引き取って育てる心優しい青年。思慮深く、常に飛鳥の自主性を尊重し、彼女の成長を温かく見守ります。飛鳥にとっては命の恩人であり、育ての親、そして初恋の相手となります。

近端史郎（こんたんしろう）

祐也の大学時代からの親友。頻繁に祐也のアパートに遊びに来ており、飛鳥のことも妹のように可愛がります。明るく社交的な性格ですが、その内面には複雑な思いを秘めています。

本岡家の人々

飛鳥を養女として引き取りながら、労働力として虐待していた一家です。父・剛造は祐也の勤務先の系列会社の部長であり、物語に深く関わってきます。長女の聖子、次女の奈津子は、飛鳥に辛く当たります。

登場人物の関係性まとめ

倉折飛鳥：主人公。祐也に助けられ、恋心を抱く。
滝杷祐也：飛鳥の保護者であり、想われる相手。史郎の親友。
近端史郎：祐也の親友。飛鳥を大切に思うが、物語の鍵を握る。
本岡家：飛鳥を虐待した過去があり、因縁の相手となる。

物語の鍵を握る犯人は誰か

『雪の断章』は少女の成長物語であると同時に、一つの毒殺事件を巡るミステリーでもあります。読者の心を揺さぶる、その衝撃的な真相に触れていきましょう。

【ネタバレに関するご注意】
ここから先は、物語の重要な要素に触れる情報が含まれます。物語の謎解きをご自身で楽しみたい方はご注意ください。

本岡家の長女・聖子を毒殺した犯人、それは祐也の親友である近端史郎です。

飛鳥は、忘年会当日の状況を思い返すうちに、犯行が可能なのは史郎ただ一人であることに気づきます。しかし、祐也を悲しませたくない、そして史郎を失いたくないという思いから、その真実を胸の内に秘め続けることを選びます。

史郎の犯行動機は、非常に複雑です。彼は、飛鳥が本岡家によって心に深い傷を負わされたことを知っていました。そして、飛鳥を心から愛するがゆえに、彼女を苦しめる存在である本岡家の人間を許すことができなかったのです。彼の行動は、歪んだ形ではありますが、飛鳥を守るためのものでした。

物語の終盤、飛鳥が犯人を知っていることをほのめかしてしまったことから、物語は誰も予期しなかった衝撃的なクライマックスへと突き進みます。史郎が選んだ道、そして真実を知った飛鳥と祐也が迎える運命は、あまりにも切なく、読者の心に深く刻まれることでしょう。彼らがどのような結末を迎えるのか、そのあまりにも悲しい真実は、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

読者の感想やレビューを紹介

1975年の刊行から長い年月を経てもなお、多くの読者を魅了し続ける『雪の断章』。実際に作品を読んだ人からは、様々な感想が寄せられています。ここでは、その一部を要約してご紹介します。

読者の声

「昭和の時代背景や登場人物の哲学的な会話が新鮮で、現代の作品にはない重厚感があった」「札幌の雪景色や四季の描写が本当に美しく、物語の世界に引き込まれた」「主人公・飛鳥の頑なな性格にやきもきしたけれど、それも彼女の生い立ちを考えると理解できる。幸せになってほしいと願いながら読んだ」といった声が多く見られます。

一方で、「少女が独身男性に引き取られる設定に現代とのギャップを感じた」「ミステリーとしては少し物足りないかもしれない」という意見もあります。

しかし、最も多くの読者が衝撃を受けたと語るのが、衝撃的な結末です。「まさかあの人が犯人だったなんて…」「最後の展開に涙が止まらなかった」という感想が多数あり、ただの恋愛小説や成長物語ではない、佐々木丸美さん独自の世界観が多くの人の心を掴んでいることがわかります。

これらの感想から、『雪の断章』は単一のジャンルでは括れない、文学、ミステリー、恋愛、青春小説の要素が融合した唯一無二の作品であると言えるでしょう。

小説「雪の断章」のあらすじ以外の見どころ

雪の断章はシリーズ作品？
斉藤由貴主演の映画版との違い
小説はどこで読める？電子書籍情報
雪の断章の小説あらすじと魅力まとめ

雪の断章はシリーズ作品？

『雪の断章』を読んで佐々木丸美さんの世界に魅了された方に、嬉しいお知らせがあります。実はこの作品、「孤児四部作」と呼ばれるシリーズの第1作目にあたります。

「孤児四部作」は、それぞれ独立した物語でありながら、同じ世界観を共有しており、巨大企業グループの財産を巡るという共通の背景を持っています。そのため、作品をまたいで登場人物がカメオ出演するなど、シリーズを通して読むことでより深く物語を楽しむことができます。

佐々木丸美「孤児四部作」の刊行順

雪の断章（1975年）
忘れな草（1978年）
花嫁人形（1979年）
風花の里（1981年）

物語を最大限に楽しむためには、この刊行順に読んでいくのがおすすめです。

もし『雪の断章』が心に残ったなら、ぜひ他のシリーズ作品にも手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。佐々木丸美さんの描く、さらに広大で奥深い物語の世界があなたを待っています。

斉藤由貴主演の映画版との違い

『雪の断章』は1985年に『雪の断章 -情熱-』というタイトルで映画化されており、主演は当時絶大な人気を誇った斉藤由貴さんが務めました。相米慎二監督による映像美は高く評価されていますが、原作小説のファンからは、物語の改変点について様々な意見が寄せられています。

小説と映画版の主な違いは以下の通りです。

時間軸の大幅な圧縮
小説では飛鳥の幼少期から高校卒業後まで、十数年にわたる成長が丁寧に描かれます。一方、映画版では長大な原作を約100分に収めるため、物語は飛鳥が高校3年生の1年間に起こった出来事として再構成されています。これにより、幼少期のエピソードはほぼカットされています。
登場人物の名前の変更
映画版では、なぜか主要な登場人物の名前が変更されています。原作の世界観を大切にしたいファンにとっては、少し戸惑うポイントかもしれません。

小説版の役名	映画版の役名（俳優）
倉折飛鳥	夏樹伊織（斉藤由貴）
滝杷祐也	広瀬雄一（榎木孝明）
近端史郎	津島大介（世良公則）
本岡聖子	那波裕子（岡本舞）

このように、映画版は原作をベースにしつつも、独立した作品としてのアレンジが加えられています。小説を読んでから映画を観る、あるいは映画を観てから小説を読むことで、それぞれの魅力や解釈の違いを発見するのも面白いでしょう。