
沼田まほかる氏の傑作ミステリー『ユリゴコロ』。この記事では、「ユリゴコロ」の小説のあらすじを知りたい方に向けて、物語の核心に迫ります。物語の鍵を握る登場人物の相関図や、衝撃的な結末に関する考察、そして多くの読者が気になる「ネタバレ」要素、特に千絵の動向についても深く掘り下げます。
また、この物語は実話?という疑問や、映画と原作の違い、さらには生々しい読者の感想に至るまで、あなたが知りたい情報を網羅しました。最後に、この衝撃作をどこで読めるかについても解説します。
- 小説『ユリゴコロ』の衝撃的なあらすじが分かる
- 主要な登場人物の関係性や相関図が理解できる
- 結末に関するネタバレや深い考察が読める
- 映画版と原作小説の違いが明確になる
「ユリゴコロ」小説のあらすじと謎を徹底解説
- 沼田まほかる『ユリゴコロ』とは
- 手記のあらすじ解説と物語の構造
- 主な登場人物と相関図の整理
- ネタバレ!千絵の失踪と亮介の運命
- 手記の結末と亮介の考察
- この物語は実話?元ネタを調査
沼田まほかる『ユリゴコロ』とは
『ユリゴコロ』は、「イヤミスの女王」とも称される沼田まほかる氏によって2011年に発表されたミステリー小説です。この作品は、その衝撃的な内容と巧みな構成で大きな話題を呼び、第14回大藪春彦賞を受賞し、さらに第9回本屋大賞にもノミネートされました。
物語のジャンルは、単なるミステリーやホラーに留まりません。人間の心の闇、愛と狂気、そして家族の絆という重いテーマを扱いながら、最終的には「愛の物語」としての一面も浮かび上がらせる、非常に重層的な作品です。
2017年には吉高由里子さん主演で映画化もされており、小説と映画の双方で多くのファンを獲得しています。物語は、ある日実家で発見された一冊のノートをきっかけに、過去の殺人記録と現在の不幸な出来事が交錯していく形で進行します。
手記のあらすじ解説と物語の構造

『ユリゴコロ』の物語は、二つの異なる時間軸が交互に描かれるという巧みな構成で成り立っています。この二重構造こそが、物語の謎とサスペンスを増幅させる最大の要因です。
【現代パート】亮介の視点:現在を蝕む「謎」
物語の一つの軸は「現代」を生きる主人公・亮介の視点で進みます。彼は現在、人生のどん底にいました。父親が末期ガンで余命宣告を受け、結婚を約束したはずの婚約者・千絵が理由も告げずに突然失踪。さらに、追い打ちをかけるように母親が不審な交通事故で亡くなるという、立て続けの不幸に見舞われています。
絶望の中で遺品整理のために訪れた実家で、彼は父の書斎の押入れから「ユリゴコロ」と題された4冊のノート(手記)を発見します。これが、もう一つの軸となる「過去」への扉を開く鍵となります。
【過去パート】美紗子の視点:おぞましい「手記」の告白
もう一つの軸は、亮介が発見した「手記」の内容、すなわち「過去」の物語です。この手記は、「私」という一人称で語られ、読む者を戦慄させる内容が綴られていました。
書き手である「私」(後の美紗子)は、幼少期から他者と決定的に異なる感覚を持っていました。彼女には、人が当たり前に持つはずの「心の拠り所(よりどころ)」が欠落しており、それを幼い頃に「ユリゴコロ」と聞き間違えて以来、自分にない「ユリゴコロ」を求め続けます。
そして彼女は、友人の死を偶然目撃した際に、初めて心の安寧と充足感を覚えます。それ以来、「人間の死の瞬間」に立ち会うことだけが、彼女の空白を埋める唯一の「ユリゴコロ」となったのです。
手記には、友人の溺死の幇助から始まり、側溝で遊ぶ少年を手にかけたこと、そして成長してからも衝動的に殺人を重ねていく過程が、冷徹かつ生々しい筆致で告白されていました。
【補足】物語の構造がもたらす効果
物語は、亮介が手記の「おぞましい過去」を1ページずつ読み進める【過去パート】と、その手記の存在によって自らの家族に疑念を抱き、千絵の行方を追う【現代パート】が、章ごとに切り替わりながら進行します。
読者は亮介とまったく同じタイミングで手記の断片的な情報を得ることになり、「この手記は事実なのか?創作なのか?」「書いたのは一体誰だ?」「亮介の家族とどう繋がるのか?」という強烈なミステリーに引き込まれます。そして、過去の殺人記録と現在の不幸な出来事が、次第に一つの線として繋がっていくスリリングな展開が、本作の最大の魅力です。
主な登場人物と相関図の整理
『ユリゴコロ』の複雑な物語を理解するために、主要な登場人物の関係性を整理します。
| 登場人物 | 役割・特徴 |
|---|---|
| 亮介(りょうすけ) | 【現代パート主人公】 喫茶店を経営。父の末期ガン、婚約者の失踪など不幸が続く中、「ユリゴコロ」の手記を発見する。 |
| 千絵(ちえ) | 亮介の婚約者。亮介の前から突然姿を消す。物語の鍵を握る人物の一人。 |
| 洋介(ようすけ) | 亮介の父親。末期ガンを患っている。手記の秘密を知っているかのような素振りを見せる。 |
| 美紗子(みさこ) | 【過去パート(手記)主人公】 「ユリゴコロ」の手記の書き手(「私」)。殺人を繰り返すことで心の拠り所を見出していた。 |
| 細谷(ほそや)さん | 亮介が経営する喫茶店の従業員。千絵の失踪後も亮介を支える。 |
相関図のポイント
物語は、「亮介が手記を読む」という形で進行します。当初、亮介は手記の「私」(美紗子)や、彼女が出会う「アナタ」が、自分の両親(洋介)とどのような関係にあるのかを知りません。この関係性が徐々に明らかになることが、ミステリーの核心となります。
ネタバレ!千絵の失踪と亮介の運命

ここでは、物語の核心に触れるネタバレを含みますのでご注意ください。
千絵が失踪した本当の理由
亮介の婚約者であった千絵の失踪は、彼女の過去に関係していました。千絵は結婚しており、夫(塩見哲治)からのDVやギャンブルに苦しんでいました。亮介の元へは、その夫から逃げる形で身を寄せていたのです。
しかし、夫に居場所を突き止められ、脅迫される形で連れ戻されてしまいます。亮介が直面した不幸の一つは、過去の因縁によるものだったのです。
亮介の出生の秘密
亮介が手記を読み進める中で直面するのは、自分自身の出生の秘密です。手記の「私」(=美紗子)と、彼女が愛した「アナタ」(=洋介)が、亮介の実の両親であったことが判明します。
殺人者である母・美紗子と、その過去を知りながらも彼女を愛した父・洋介。亮介は、自分が「殺人者の血」を受け継いでいるという事実に直面し、婚約者を連れ戻すために塩見を殺害しようとまで思い詰めます。
手記の結末と亮介の考察

物語の最大の衝撃は、手記の結末と、それに伴う「現代」の真実です。
父・洋介が語る「真実」
亮介は父・洋介から、当初「美紗子は家族(美紗子の両親)によってダムに沈められ、母の妹である英実子が美紗子に成り代わって亮介を育てた」という衝撃の事実を聞かされます。
しかし、これは完全な真実ではありませんでした。
本当の結末と「細谷さん」の正体
物語の終盤、全ての読者が驚愕する真実が明かされます。美紗子は生きていたのです。そして、その正体は、亮介の喫茶店で働き、ずっと彼を支えてきた従業員の「細谷さん」でした。
美紗子は、亮介が塩見を殺さなくて済むように、先回りして塩見を始末していました。彼女は「ユリゴコロ」を持つ殺人者でありながら、同時に息子・亮介を命がけで守る「母親」でもあったのです。
【考察】なぜ美紗子は亮介のそばにいたのでしょうか。それは、罪を犯した自分が母親としてそばにいられない「贖罪」の意識と、それでも我が子を見守りたいという強烈な「母性」の表れだったと考えられます。彼女にとって、亮介の存在こそが、殺人以外の唯一の「ユリゴコロ(拠り所)」となっていたのです。
最終的に、父・洋介は、病気の療養という名目で、残りの人生を美紗子と共に過ごすことを選び、二人で旅立っていきます。亮介は、両親の壮絶な愛と運命を受け入れ、千絵と共に新たな人生を歩み出すことになります。
この物語は実話?元ネタを調査

『ユリゴコロ』の手記の描写は、あまりにも生々しく、読んでいると「これは実話ではないか?」「元になった事件があるのではないか?」という疑念が湧いてくるかもしれません。
しかし、調査した結果、『ユリゴコロ』は沼田まほかる氏による完全なフィクション(創作)です。特定の事件や実在の人物をモデルにしたという事実は確認されていません。
これほどまでにリアリティを感じさせるのは、ひとえに沼田氏の卓越した筆力によるものです。「イヤミスの女王」の異名通り、人間の心理の暗部、特に「普通」から逸脱した人々の内面を描き出す手腕が、読者に「実話かもしれない」と思わせるほどの説得力を持たせているのです。
【豆知識】ユリゴコロの意味
作中で明かされますが、「ユリゴコロ」とは、主人公の美紗子が幼い頃、医師が言った「この子には“拠りどころ(よりどころ)”がない」という言葉を「ユリゴコロ」と聞き間違えたことに由来する造語です。彼女にとって、心の空白を埋める感覚、すなわち殺人の衝動やそれによって得られる安らぎを指す言葉となりました。
「ユリゴコロ」小説あらすじ読了後の論点
- 衝撃?読者の感想と評価まとめ
- 映画と原作の違いを比較
- 小説『ユリゴコロ』はどこで読める?
- 「ユリゴコロ」小説あらすじ総まとめ
衝撃?読者の感想と評価まとめ
『ユリゴコロ』は、その衝撃的な内容から、読者の間で賛否両論が巻き起こる作品です。読了後、多くの人が強い印象を抱き、様々な感想が寄せられています。
「賛」:衝撃と感動の声
- 「最後のどんでん返しがすごい」:多くの読者が、細谷さんの正体に驚愕しています。伏線が見事だと評価する声が多数です。
- 「ホラーだと思ったら愛の物語だった」:序盤のおぞましい殺人描写から一転、ラストは歪んでいながらも純粋な家族愛や夫婦愛が描かれ、感動したという感想です。
- 「手記の部分に引き込まれた」:美紗子の常軌を逸した心理描写が生々しく、読む手が止まらなかったという声も多いです。
「否」:戸惑いや疑問の声
- 「登場人物がみんなおかしい」:主人公を含め、共感できる人物が誰もいない、と感じる読者も少なくありません。
- 「警察は何をしているのか」:あれだけの殺人が行われているのに、なぜ捕まらないのか、という現実的なツッコミです。
- 「美談にしていいのか」:殺人者が最終的に救われるような結末に、納得がいかない、モヤモヤするという感想も根強くあります。
このように、感想が真っ二つに分かれること自体が、『ユリゴコロ』が読者の倫理観や感情を強く揺さぶる傑作である証拠と言えるでしょう。
映画と原作の違いを比較
2017年に公開された映画版『ユリゴコロ』は、原作の骨格を保ちつつも、いくつかの重要な変更が加えられています。原作ファンも映画ファンも、その違いについて議論が白熱しました。
| 比較ポイント | 原作(小説) | 映画版 |
|---|---|---|
| 亮介の育ての母 | 母の妹・英実子が美紗子に成り代わっていた(叙述トリックの核)。 | この設定は簡略化され、英実子は登場しない。 |
| ラストシーン | 洋介と美紗子(細谷さん)が二人で車で旅立っていく。 | 病床にいる洋介のもとに美紗子が現れ、再会を果たすシーンで終わる。 |
| 全体の雰囲気 | ミステリー要素、叙述トリックの側面が強い。 | 人間ドラマ、特に美紗子の苦悩や亮介の葛藤に焦点を当てている。 |
【注意】特に原作の「叙述トリック」の部分(英実子の存在)は、小説ならではの仕掛けだったため、映画版では映像化が難しく、カットされたと考えられます。原作を未読で映画を先に観た方は、小説を読むと「もう一つの衝撃」を体験できるため、ぜひ原作を手に取ってみることをおすすめします。
小説『ユリゴコロ』はどこで読める?

『ユリゴコロ』はベストセラー作品であり、現在でも多くの方法で読むことが可能です。特に、「今すぐ読みたい」「場所を取らずに保管したい」という方には電子書籍が便利です。
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「ユリゴコロ」小説あらすじ総まとめ
最後に、この記事で解説した『ユリゴコロ』のあらすじと重要なポイントをリストでまとめます。
- 『ユリゴコロ』は沼田まほかる氏による衝撃的なミステリー小説
- 大藪春彦賞受賞、本屋大賞ノミネート作品
- 物語は現代の「亮介」と過去の手記「美紗子」の視点で交互に進む
- 主人公の亮介は父の末期ガンや婚約者の失踪という不幸の渦中にいる
- 実家で見つけた「ユリゴコロ」という手記が生々しい殺人告白録だった
- 「ユリゴコロ」とは「拠りどころ」の聞き間違いから生まれた造語
- 手記の書き手「美紗子」は亮介の実の母親だった
- 手記の「アナタ」は亮介の実の父親「洋介」だった
- 婚約者「千絵」の失踪は元夫のDVが原因だった
- 亮介は自分が殺人者の血を引いていることに葛藤する
- 物語最大のネタバレは亮介の店の従業員「細谷さん」の正体
- 細谷さんこそが、生きていた実母「美紗子」本人だった
- 美紗子は亮介を守るため、千絵の元夫を殺害していた
- 結末は歪んだ形ながらも「家族愛」や「母性」が描かれている
- 物語は実話ではなく、完全なフィクションである
- 映画版は原作の叙述トリック(英実子の存在)がカットされている
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