こんにちは。あらすじブックマーク、管理人の「おうみ」です。
宮本輝さんの『優駿』、本当に壮大な物語ですよね。「優駿」の小説のあらすじを探しているけれど、登場人物が多そうで難しそう…とか、映画版との違いがよくわからない、という方も多いかもしれません。特に、和具平八郎や多田時雄といった人物がどう絡んでくるのか、そしてオラシオンの結末がどうなるのか、ネタバレ覚悟で知りたい!という方もいらっしゃるかなと思います。私も読む前は、結末が気になって仕方がありませんでした。
この記事では、そんな『優駿』の小説版にスポットを当てて、物語の核心となるあらすじや、映画とは決定的に違う結末について、感想を交えながら詳しくまとめていきますね。
- 小説『優駿』の核心的なあらすじ
- 5人の主要登場人物と彼らの試練
- 映画版とは全く異なる小説版の結末(ネタバレあり)
- 作品に込められた深いテーマ
優駿の小説あらすじと群像劇

まずは、物語の壮大な序盤から中盤にかけて、オラシオンという一頭の馬を軸に、5人の主要人物たちの人生がどう交錯していくのか、その群像劇のあらすじを見ていきましょう。
オラシオン誕生と物語の舞台

物語の始まりは、北海道・日高地方にある静内町の小さな牧場「トカイファーム」です。ここで、一頭のサラブレッドが誕生します。
この仔馬は、トカイファームの跡取りである渡海博正(とかい ひろまさ)の父、仙造の長年の夢だった「奇跡の血」と呼ばれる特別な配合(3×4のインブリーディング)によって生まれました。
漆黒の美しい牡馬は、大阪の企業家である馬主・和具平八郎(わぐ へいはちろう)に買われます。そして、平八郎の秘書・多田時雄によって、スペイン語で「祈り」を意味する「オラシオン」と名付けられるんです。
この「オラシオン」が、やがて日本ダービーという最高の舞台を目指していくことが、物語の大きな縦軸になっていきます。
主要登場人物とそれぞれの試練

『優駿』の面白いところは、オラシオンという馬を追いながらも、章ごとに5人の主要人物の視点が切り替わる群像劇である点ですね。
小説『優駿』の5人の視点人物
- 渡海 博正(とかい ひろまさ):生産者。父の夢と牧場の再建に挑む。
- 和具 平八郎(わぐ へいはちろう):馬主。会社の吸収合併という危機に瀕する。
- 和具 久美子(わぐ くみこ):平八郎の娘。父の苦悩を見つめる。
- 多田 時雄(ただ ときお):平八郎の秘書。忠誠と保身の間で揺れる。
- 奈良 五郎(なら ごろう):騎手。過去のトラウマを抱える。
彼らはそれぞれ、牧場の経営難、会社の失脚、家族の問題、過去のトラウマといった、人生の大きな試練に直面しています。
一見、バラバラな人生を歩んでいる彼らが、「オラシオン」という一頭の馬によって繋がり、運命が交錯していく様子が本当に巧みに描かれています。
ネタバレあり:和具平八郎の苦悩
5人の中でも、特に物語の「業」というか、人間の深い部分を象徴しているのが馬主の和具平八郎かなと思います。
彼は会社の吸収合併の波に飲まれ、実質的に失脚してしまうという大きな試練に直面します。かつては競馬の儲けで会社のピンチを救ったほどの「野蛮な勇気」を持つ男だったんですが、今回はそうもいきません。
さらに、彼にはもう一つの「血」の問題がありました。
平八郎には、愛人・田野京子との間に私生児・誠(まこと)がいたんです。そして、その誠が重い慢性腎不全を患っており、回復には父である平八郎からの腎臓移植が必要だと診断されます。
オラシオンの「奇跡の血(血統)」と対比されるような、人間の「血縁」の宿命。この二重の「血」のドラマが、物語にすごい深みを与えているんですよね…
※移植に関する情報はあくまで小説内の設定です。実際の医療行為については、必ず専門の医療機関にご相談ください。
渡海博正と「真の勝者」

和具平八郎が「都会」で会社の吸収合併というダイナミックな渦に巻き込まれていくのとは対照的に、「大地」に根差して静かに戦い続けるのが、生産者である渡海博正(とかい ひろまさ)です。
彼もまた、オラシオンの「奇跡の血」という夢の配合を考案した父・仙造を、病気で亡くすという大きな試練に見舞われます。父はオラシオンの誕生を見届けることなく、いわば「設計図」だけを遺して逝ってしまったわけです。
残された博正が選んだ道は、派手な投資や短期的な成功ではありませんでした。彼が始めたのは、「草づくり」から始めるという、十年単位の牧場再建計画でした。
「草づくり」の意味
物語の中では、日本一の吉永ファームの主が「馬の良し悪しは環境にある」という哲学を持つ人物として登場します。
博正もまた、サラブレッドという繊細な生き物を育てるには、その土壌、つまり「草」の質こそが基本であると信じ、誰にも見られない地道な努力を選ぶんですよね。これは、オラシオンという「奇跡の血」だけに頼るのではなく、それを育む「大地」そのものを作り変えようとする、博正の「一念」の象徴とも言えるかなと思います。
ダービーという華やかな舞台の裏側で、北海道・静内のトカイファームで黙々と土と向き合う博正の姿。物語の結末にも深く関わってくるんですが、この「一念」を貫き通す姿こそが、本作の大きなテーマの一つになっています。
派手な成功や金銭、名誉ではなく、父から子へと受け継がれた夢を、大地に根差した実直な努力で貫き通す。彼の生き様は、私たち読者に「人生における真の勝者とは何か?」という重い問いを、静かに、でも強く投げかけてくるんですよね。
多田時雄の裏切りと葛藤
そして、人間臭さの極みともいえるのが、平八郎の秘書・多田時雄です。
彼は有能な秘書として平八郎に長年仕えてきましたが、会社の吸収合併という危機的な状況で、上司への忠誠と自らの保身の間で激しく葛藤します。
オラシオンの名付け親でもある彼が、最終的にどのような選択をするのか…。
ネタバレ注意
多田は最終的に、平八郎を裏切り、吸収合併先の会社と通じてしまいます。この彼の「裏切り」が、物語の結末において、誰が本当の勝者だったのかを問いかける重要な視点になるんです。
サラリーマンとして、組織人として、彼の葛藤は読んでいて本当に胸が痛む部分かもしれません。
優駿の小説あらすじと結末

さて、ここからは物語のクライマックス、オラシオンの運命がどうなったのか、そして多くの人が混乱しがちな「映画との違い」も含めて、核心的な結末に迫っていきます。
クライマックスの日本ダービー
様々な試練を経て、ついにオラシオンは競馬の祭典「日本ダービー」に出走します。
鞍上は、もちろん奈良五郎。彼は過去の落馬死亡事故のトラウマから、「死」をも恐れない覚悟で騎乗する騎手となっていました。その奈良五郎とオラシオンが、新緑の府中東京競馬場、12万人を超える大観衆の中を走ります。
失脚した平八郎に残されたのはオラシオンだけ。彼が再起をかける新事業の成功も、オラシオンの勝利が絶対条件でした。
それぞれの想いが交錯する中、2400mの激走が始まります。
小説版の結末(ネタバレ)
ここが映画版と全く違う、最も重要なポイントです。
激走の末、オラシオンと奈良五郎は、先頭でゴール板を通過します!
レース後に走路妨害の疑いで審議が行われるんですが、着順は確定。オラシオンは見事にダービー馬の栄光に輝くんです。
小説版の結末(ネタバレ)
- オラシオンは日本ダービーで優勝する。
- 表彰式で、多田時雄は生産者の渡海博正の姿を見つめる。
- 多田は心の中で「勝ったのはトカイファームの青年だけだ」と結論づける。
レースには勝ちましたが、馬主の平八郎は会社を失い、秘書の多田は忠誠を失いました。騎手の奈良も過去の呪縛から完全には解き放たれていないかもしれません。
しかし、父の夢を受け継ぎ、地道な努力を続けた生産者・渡海博正だけが、人生における「真の勝者」として描かれ、物語は幕を閉じます。このカタルシスが、小説版の醍醐味ですね。
宮本輝が描くテーマとは
この物語は、単なる競馬小説じゃないんですよね。作者の宮本輝さん自身が語っているように、「サラブレッドという生き物の不思議な美しさと哀しさ」が根底にあると思います。
そして、私が強く感じたのは、先ほども触れた二重の「血」の物語です。
- 「血統」の物語:オラシオンの「奇跡の血」。人間の夢と叡智が詰まった輝かしい血。
- 「血縁」の物語:平八郎と誠の「血」。病や宿命、人間の業を象徴する苦悩の血。
この二つを並行して描くことで、「生命とは何か」「勝者とは何か」という深いテーマを読者に問いかけてくる。だからこそ、時代を超えて読み継がれる名作なんだろうなと感じます。
映画との違いを徹底比較

「優駿」のあらすじを探していて、一番混乱するのが1988年に公開された映画『優駿 ORACION』との違いだと思います。
私も最初は混同していたんですが、この二つは設定と結末が根本的に違います。
小説と映画の決定的な違い
小説版:
主人公は5人の群像劇(中心は渡海博正)。
結末はオラシオンがダービーに優勝する。
映画版:
主人公は渡海牧場の娘・博子(ひろこ)。
結末はオラシオンがレース中に骨折・故障してリタイアする。
映画版は、人間のエゴや夢のために馬が犠牲になるという、かなり悲劇的な結末なんですよね…。小説のあらすじを知りたくて検索した方は、この違いをはっきり区別しておくのがオススメです。
読者の感想と評価
この作品、やはり読んだ方の感想もすごく熱いものが多いですね。
SNSやレビューサイトなどを見てみると、
- 「競馬の知識がなくても、人間ドラマとして感動した」
- 「最後の渡海博正の姿に『真の勝利』を見た」
- 「映画の結末しか知らなかったから、小説の結末に救われた」
- 「和具平八郎と多田時雄の生き様が、リアルで刺さる」
といった声がたくさん見られました。
特に、映画版の悲劇的な結末が苦手だった人が、小説版を読んで感動した、という感想は多いみたいです。逆に、小説を読んでから映画を観ると、その違いに驚くかもしれませんね。
優駿の小説あらすじまとめ
今回は、宮本輝さんの名作『優駿』の小説版あらすじについて、登場人物やネタバレを含む結末、そして映画版との違いを中心にお届けしました。
『優駿』小説版あらすじのポイント
- 北海道の小さな牧場で生まれたオラシオンを巡る5人の群像劇。
- 登場人物はそれぞれ人生の試練や葛藤を抱えている。
- 「血統」と「血縁」という二重の「血」の物語がテーマ。
- 結末はオラシオンが日本ダービーで優勝する。
- 生産者の渡海博正が「真の勝者」として描かれる。
映画の悲劇的な結末とは異なり、小説版は苦悩の中にも確かな希望と「真の勝利」を描いた、カタルシスのある物語です。
まだ読んだことがない方や、映画版しか知らなかったという方には、ぜひ一度、この壮大な人間ドラマを体験してみてほしいなと思います。

