ユーレイの小説あらすじをネタバレありで徹底解説

YOASOBIの楽曲「海のまにまに」の原作としても知られる、辻村深月さんの短編小説『ユーレイ』。家出をした少女の不思議な一夜を描いたこの物語について、ユーレイの小説あらすじはもちろん、主人公は誰なのか、登場人物や物語の見どころを知りたいと思っていませんか？

また、読者の感想や、出版社、単行本に関する情報、さらにはユーレイの小説がどこで読めるのか、無料で楽しむ方法があるのかも気になるところです。この記事では、同じ短編集に収録されている「私だけの所有者」や「ヒカリノタネ」のあらすじにも触れながら、あなたの疑問にすべてお答えします。

この記事で分かること

小説『ユーレイ』のあらすじがわかる
登場人物や物語の見どころを把握できる
YOASOBIの楽曲との関係性が理解できる
作品をお得に読む方法がわかる

ユーレイの小説あらすじと作品の基本情報
ユーレイの小説あらすじ以外の関連情報

ユーレイの小説あらすじと作品の基本情報

800字でわかる簡単なあらすじ
主人公は誰？主要な登場人物を紹介
物語の見どころと考察ポイント
出版社と単行本についての情報
YOASOBI「海のまにまに」の原作

800字でわかる簡単なあらすじ

物語の主人公である女子中学生の「海未」は、学校でのいじめに苦しみ、家出と自殺を決意して一人、夜の電車に揺られていました。電車の窓から見えた海に惹かれ、見知らぬ駅で降り立った彼女は、真夜中の海へとたどり着きます。

海に入って命を絶とうとしたそのとき、季節外れのノースリーブのワンピースに裸足という、どこか不思議な雰囲気を持つ少女「のどか」に声をかけられます。海未は、のどかに誘われるまま、湿気てしまった花火に火をつけます。

のどかに対して「ユーレイかもしれない」という疑いを持ちながらも、海未は彼女に自殺する覚悟を打ち明けました。すると、のどかは「すごく苦しいよ」「少なくとも今日はやめた方がいい」と、真剣な眼差しで海未を引き止めます。「朝までそばにいて欲しい」と願う海未の気持ちに、彼女は静かに応じました。

翌朝、目を覚ました海未は驚きます。ユーレイだと思っていたのどかが、すぐそばのコンクリートの上で眠っていたのです。その姿は昨晩の幻想的な雰囲気とは違い、生活感に満ちていました。拍子抜けしながらも、海未は改めて自殺を考えた経緯を語り始めます。深刻に捉えすぎないのどかの態度に、海未の心は次第に軽くなっていきました。

「死ななくて良かった」と思えるようになった海未に、のどかは不思議な体験を語り始めます。実は昨夜、海未のもとへ向かうきっかけとなったのは、もう一人の誰かの不思議な手招きだったというのです。その話を聞いた海未は、この一夜に起きた出来事の本当の意味を悟り、見えない優しさに静かに感謝するのでした。この出会いの真相は、ぜひ物語を読んで確かめてみてください。

主人公は誰？主要な登場人物を紹介

『ユーレイ』の物語を彩る主要な登場人物は3人です。それぞれのキャラクターの関係性を理解することで、物語をより深く楽しむことができます。

名前	役割・特徴
海未（うみ）	物語の語り手であり主人公。中学校でいじめを受け、絶望から家出と自殺を決意する。夜の海で「のどか」と出会い、不思議な一夜を過ごすことで、再び生きる希望を見出していく。
のどか	真夜中の海で海未の前に現れた不思議な少女。季節外れの服装から、海未に「ユーレイ」だと疑われる。母親に叱られて家を飛び出してきた。海未の自殺を止め、彼女に寄り添う優しさを持つ。
女の子	海未とのどかにだけ見えた（かもしれない）存在。物語の鍵を握る、切ない背景を持ったユーレイ。

物語の見どころと考察ポイント

この物語の最大の魅力は、読者の予想を巧みに裏切るストーリー展開にあります。そして、その根底にあるのが「眼差し」というテーマです。

いじめがもたらした孤独と絶望

物語の冒頭、主人公の海未は電車の中で「窓の外を流れていく景色から昼間の光りが失われていくのを、私はぼんやりと眺めていた」と、自らの心境を風景に重ねます。光を「希望」、闇を「絶望」と捉えるなら、彼女がゆっくりと死へと近づいていることが象徴的に描かれています。

いじめによって、彼女は「みんなにとって自分は価値のない存在だ」と思い込まされてしまいました。誰からも真っ直ぐに見つめられることのない孤独が、彼女を追い詰めていたのです。

「のどかの眼差し」が繋いだ希望

そんな海未の孤独に、初めて寄り添ったのがのどかの「眼差し」でした。作中では、彼女の眼差しが何度も印象的に描写されます。

「目の前で、その子が言った。さっき会ったばかりなのに、真剣な眼差しで、彼女が私をきちんと見ている。もう誰も、私に向けることはないと思っていた真っ直ぐな視線。」

たとえ相手をユーレイだと思っていても、その真剣な眼差しに、海未は彼女の「存在」と、自分に向けられた「関心」を感じ取ります。だからこそ、自分の本心を打ち明け、「そばにいてほしい」と願うことができたのです。

朝を迎え、のどかが人間だと知った場面でも、「海に弾かれた日差しを映した瞳がきれいなビー玉みたいに透き通っている。その目がちゃんと、ここにある」と、その「眼差し」の実在性が、海未に生きる希望と他者との繋がりを改めて意識させます。

読者はまず「のどかはユーレイだろう」と推測し、次に「やはり人間だった」と一度裏切られます。しかし、物語はそれだけでは終わりません。最後に明かされるもう一つの真実が、この物語を単なるファンタジーから、深く心に残る感動的な物語へと昇華させています。この巧みな構成こそが、温かい感動を呼ぶ物語の核となっているのです。

出版社と単行本についての情報

小説『ユーレイ』は4人の直木賞作家による短編アンソロジー『はじめての』に収録された一編です。

アンソロジー『はじめての』概要

この本は、「はじめて〇〇したときに読む物語」という共通のテーマのもと、人気アーティストYOASOBIとのコラボレーション企画として生まれました。日本を代表する作家たちの豪華な競演が楽しめます。

項目	詳細
書籍名	はじめての
出版社	水鈴社
収録作家	島本理生、辻村深月、宮部みゆき、森絵都
『ユーレイ』の著者	辻村深月

はじめての

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YOASOBI「海のまにまに」の原作

「YOASOBIの曲からこの小説を知った！」という方も多いのではないでしょうか？

その通り、この小説『ユーレイ』は、YOASOBIの楽曲「海のまにまに」の原作です。「小説を音楽にするユニット」であるYOASOBIが、物語の世界観を見事に楽曲へと昇華させています。

歌詞の中には、物語を象徴する「しけった花火」や「裸足のままで」といったフレーズが散りばめられており、物語の切なくも温かい雰囲気が伝わってきます。小説を読んだ後に楽曲を聴くと、歌詞の一つひとつがより深い意味を持って心に響き、感動もひとしおです。逆に、楽曲を聴いてから小説を読むと、メロディや歌声が情景を補完してくれるため、また違った読書体験ができます。