こんにちは。あらすじブックマーク、管理人の「おうみ」です。
野宮有さんの『殺し屋の出世術』が気になっているけれど、どんなあらすじなのか、読む前にどこまで知っておけばいいのか迷っていませんか。
続編ということもあって、登場人物や相関図、前作『殺し屋の営業術』とのつながりや読む順番も気になるところですよね。さらに、ネタバレをなるべく避けながら見どころを知りたい、感想やレビューを見る前に作品の基本設定を整理しておきたいという方も多いかなと思います。
この記事では、『殺し屋の出世術』のあらすじを中心に、鳥井一樹をはじめとする主要人物、極東コンサルティングを取り巻く組織関係、前作とのつながり、命懸けの出世レースや社内営業の面白さをわかりやすく紹介します。物語の途中まで触れますが、最終的な勝敗や結末、終盤の核心となる仕掛けは明かしません。
- 殺し屋の出世術のネタバレ控えめなあらすじ
- 鳥井一樹を中心とした登場人物と組織関係
- 前作の殺し屋の営業術とのつながりと読む順番
- 出世レースや社内営業からわかる本作の見どころ
この記事では物語の導入や中盤までの設定に触れます。ただし、最終的な勝者や主要人物の結末、終盤で明かされる真相など、読書体験を大きく左右する重大なネタバレは記載していません。
殺し屋の出世術のあらすじと作品概要
『殺し屋の出世術』は、凄腕営業マンの鳥井一樹を主人公としたシリーズ第2作です。前作では殺人請負会社へ飛び込んだ鳥井でしたが、今回は外部の顧客を相手にする営業だけでなく、組織の中で生き残るための「社内営業」が大きなテーマになっています。まずは作品の基本情報と、物語がどこから始まるのかを整理していきますね。
| 作品名 | 殺し屋の出世術 |
|---|---|
| 著者 | 野宮有 |
| 出版社 | 講談社 |
| 発売日 | 2026年7月29日 |
| ISBN | 978-4-06-544128-2 |
| シリーズ | 営業マン鳥井一樹シリーズ第2作 |
| 前作 | 殺し屋の営業術 |
なお、ページ数は資料によって254ページまたは256ページと表記に差があります。また、価格や電子書籍の配信状況などは今後変更される可能性がありますので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
ネタバレ控えめでわかる物語の導入
物語の舞台は、前作『殺し屋の営業術』からおよそ半年後です。
鳥井一樹は、殺人をビジネスとして請け負う会社極東コンサルティングの営業マンとしてすっかり存在感を高めていました。
しかも、ただ殺人の契約を取ってくるだけではありません。特殊詐欺グループなど裏社会の顧客に営業方法を教え、問題を解決する過程で新しい仕事へつなげるなど、鳥井らしいビジネスの仕組みまで作り始めています。
周囲には、格闘能力に優れた若い殺し屋の耳津、元暴力団員の樫尾、情報収集やハッキングを得意とする籠原姫香。かなり癖の強いメンバーですが、鳥井を中心に少しずつ「チーム」と呼べる状態になっているんですね。
そんなある日、鳥井の前に鷹見竜之介という男が現れます。
鳥井は鷹見側に連れ去られ、極東コンサルティングの上部組織にあたる巣ヶ谷一家の組長・巣ヶ谷貴洋と対面。そこで突然、とんでもない命令を言い渡されます。
一か月後、鳥井と鷹見のどちらかを極東コンサルティングの次期社長にするという出世レースです。
しかも、単なる昇進試験ではありません。勝者は社長、敗れた側には命の保証すらないという、裏社会ならではの異常な競争になっています。
ところが鳥井は、そもそも出世欲の強い人物ではありません。
営業成績を上げることには異様なほど執着する一方、組織内部の派閥や根回しとは相性が悪いタイプです。そんな鳥井が、最も苦手とする「社内政治」で結果を出さなければならない。ここが『殺し屋の出世術』の面白いスタート地点ですよ。
さらに、この競争には最初から鳥井にとって不利な事情があります。鷹見は巣ヶ谷と長く仕事をしてきた人物で、単純に営業成績だけを競えばいいわけではありません。
営業なら誰にも負けない男が、営業成績だけでは勝てないゲームに放り込まれる。このねじれた状況が、本作のサスペンスを一気に加速させていきます。

鳥井一樹と主要な登場人物
『殺し屋の出世術』は登場する組織が多いため、人物関係が少し複雑に感じるかもしれません。ですが、まずは鳥井側と鷹見側に分けて考えると、かなりわかりやすくなります。
鳥井一樹
本作の主人公で、極東コンサルティングの営業マンです。30代後半で、過去に勤めた会社でも圧倒的な営業成績を残してきました。
相手の目的や欲望を読み取り、「相手に何を売れば動くのか」を考える能力は抜群。ただし、社内政治や組織内の人付き合いとなると話は別です。
本作では、この営業の天才なのに出世には向いていないという鳥井の性格が、そのまま物語の大きな弱点として利用されています。
耳津
極東コンサルティングに所属する若い殺し屋です。勤務態度にはかなり問題がありますが、身体能力と格闘能力は高く、実戦になると頼りになる存在です。
営業で状況を作る鳥井と、実力行使を担当する耳津という組み合わせも、このシリーズならではですね。
籠原姫香
26歳の技術担当で、ハッキングや情報収集、ダークウェブ関連の作業などを担当しています。
基本的にはリモート勤務で、鳥井のチームにとって情報戦の要ともいえる存在。本作では人間関係の面でも重要な役割を持っていますが、そこを詳しく説明すると物語の楽しみを削ってしまうため、ここでは伏せておきます。
樫尾
70代のベテランで、かつて巣ヶ谷一家に所属していた経歴を持つ殺し屋です。
現代的なデジタル技術には強くありませんが、裏社会の常識や昔ながらの人間関係を知っていることが強み。若い耳津とは違った形で鳥井を支えます。
鷹見竜之介
今回、鳥井と社長の座を争うことになる最大のライバルです。
40歳手前の屈強な男で、長年にわたって巣ヶ谷貴洋の仕事を支えてきた人物。組織内部での立場や人脈では、鳥井よりはるかに有利な位置にいます。
鳥井が「営業」という論理で人を動かす人物なら、鷹見はまた違った方法で周囲を従わせるタイプ。この二人の対比も読みどころです。
翼
鷹見のもとで行動している19歳の殺し屋です。小柄な女性ながら非常に高い戦闘能力を持ち、鷹見を強く信頼しています。
本作では鳥井側だけでなく、翼を通して鷹見側の世界も描かれます。そのため、「鳥井から見た敵」という一方向だけではなく、それぞれの人物がどのような価値観で動いているのかが見えてくる構成になっています。
鳥井と鷹見だけに注目するより、籠原と翼がそれぞれ誰を信じ、何を基準に行動するのかを意識して読むと、本作の人間ドラマがより見えやすくなります。

極東コンサルティングと組織関係
人物以上に混乱しやすいのが、裏社会の組織関係です。
ざっくり整理すると、鳥井が働く極東コンサルティングがあり、その上に巣ヶ谷一家、さらに上位に浦乃組が存在します。

- 極東コンサルティング:鳥井たちが所属する殺人請負会社
- 巣ヶ谷一家:極東コンサルティングの上部に位置する組織
- 浦乃組:巣ヶ谷一家を傘下に置く大きな組織
- 周防商会:前作から関係が続いている別勢力
極東コンサルティングは普通の会社ではありません。当然ながら「社長を誰にするか」という問題も、会社内部だけでは決められないんですね。
上部組織の思惑、これまでの功績、人脈、裏社会における力関係まで絡んできます。
つまり鳥井が挑むのは、単純な「営業マン対営業マン」の勝負ではありません。
組織の中で誰が誰を支持し、誰に利益を与えれば状況を動かせるのかを読み解く必要があります。
会社員の世界で言えば、上司への根回しや役員人事、派閥争いに近いでしょうか。ただし、この世界では判断を間違えたときの代償が文字通り命にかかわります。
ビジネス小説で見かけるような「社内政治」を、犯罪小説の世界へ持ち込んで極端にした設定。これが『殺し屋の出世術』というタイトルの意味にもつながっています。
前作の殺し屋の営業術とのつながり
『殺し屋の出世術』はシリーズ第2作なので、読む順番としては『殺し屋の営業術』から『殺し屋の出世術』がおすすめです。
前作では、営業成績トップクラスの鳥井一樹が偶然殺人現場に遭遇し、口封じされそうになるところから物語が始まります。
普通なら絶体絶命ですよね。
ところが鳥井は、自分を殺そうとしている相手に対して営業上の問題点を指摘し、自分自身の命を交渉材料にして商談を成立させます。その結果、殺人請負会社・極東コンサルティングで営業を担当するという、かなり異常なキャリアが始まりました。
第1作では、殺し屋が提供するサービスをどう営業し、どう売上につなげるのかという外向きの営業が中心でした。
それに対して第2作の『殺し屋の出世術』では、同じ営業力を社内の人間関係や組織政治に応用できるのかが問われます。
前作:殺し屋の商品を顧客へ売る
本作:組織内部の人間を営業で動かす
この違いを知っておくと、続編で同じことを繰り返すのではなく、鳥井というキャラクターの能力を別方向から試す作品になっていることがわかります。
では、前作を読んでいなくても楽しめないのかというと、物語の基本となる「鳥井が殺人請負会社で働いている」という設定を理解すれば、今回の出世レースそのものは追いやすいと思います。
ただし、極東コンサルティングのメンバーや周防商会など、前作から続く人物・組織も登場します。鳥井がなぜ今の立場にいるのかまで含めて楽しみたいなら、やはり『殺し屋の営業術』から読むほうが入りやすいですよ。
ちなみにシリーズ第1作『殺し屋の営業術』は江戸川乱歩賞受賞作で、本作はその正式な続編にあたります。前作の出来事を知っているほど、「鳥井ならこの状況をどう営業に変えるんだろう?」という期待も高まるかなと思います。
殺し屋の出世術のあらすじと見どころ
ここからは『殺し屋の出世術』のストーリーをもう少し踏み込んで見ていきます。ただし、最終的に誰が社長になるのか、主要人物がどのような結末を迎えるのか、終盤で明かされる鳥井の本当の狙いについては触れません。読書前でも楽しみを残せる範囲で、出世レースの仕組みと見どころを整理します。
命懸けの出世レースが始まる理由
鳥井と鷹見が争うことになる次期社長の座には、極東コンサルティングの上にいる組織の事情が深く関係しています。
鳥井にとって厄介なのは、営業数字だけで勝敗が決まる競争ではないことです。
鷹見は巣ヶ谷と長年行動をともにしてきた人物で、組織内部における信用や人脈という意味では鳥井より圧倒的に有利です。
一方の鳥井は、営業実績そのものなら非常に優秀でも、社内で人間関係を作ったり、上層部へ根回ししたりするのは得意ではありません。
一般企業に置き換えると、「営業成績トップなのだから次の部長はこの人だろう」と思っていたら、役員や上司との関係、人事上の思惑、社内派閥によって話がまったく変わってしまうようなものですね。
しかも本作の場合、そこで「じゃあ転職します」と逃げることもできません。
出世レースから降りるという選択肢そのものが用意されていないからです。
ここが普通の企業小説とは決定的に違うところ。
鳥井は出世したいから戦うのではなく、自分と仲間が生き残るために、望んでもいない昇進競争へ参加しなければならないんです。
さらに、物語が進むにつれて「そもそも、この出世レースは本当に公平なのか」という疑問も浮かんできます。
営業であれば、相手が求めている商品を提示し、条件を調整し、契約成立へ持ち込めばいい。しかし社内政治には、表向きのルールだけでは説明できない事情があります。
そこで鳥井が選ぶのが、真正面から相手と殴り合うのではなく、自分が得意な営業のルールへ勝負を引きずり込むことです。
「出世競争なのに営業する相手は誰なのか」。ここを考えながら読み進めると、かなり面白いですよ。
鳥井が挑む社内営業と情報戦
鳥井が最初に考えるのは、自分を評価してくれる人へ必死にアピールするような一般的な社内営業ではありません。
組織全体を眺め、「誰がどんな利益を求めているのか」「誰を動かせば別の人物まで動くのか」を分析していきます。
たとえば、浦乃組の幹部である五十嵐重樹もその対象です。
鳥井は五十嵐が関係するビジネスへ目を向け、自分の営業ノウハウによって利益を生み出せる可能性を提示します。
つまり、「私を社長にしてください」とお願いするのではなく、相手が得をする提案を作り、その結果として自分の立場を有利にするわけですね。
これは、前作から一貫している鳥井の営業スタイルでもあります。
さらに本作では、情報そのものが大きな武器になります。
情報屋のカラスを利用した調査、籠原のハッキング能力、裏社会の人脈、誰がどこまで情報を知っているのかという駆け引き。拳銃や格闘以上に、情報の持ち方が勝敗を左右する場面が増えていきます。
本作を読むときは、誰が正しい情報を持っているかだけでなく、「その人物はなぜその情報を知っているのか」にも注目してみてください。
そして、序盤から登場するもう一つの要素が、鳥井が裏社会の営業担当者に行っている勉強会です。
金崎や新井といった参加者に対し、鳥井は営業トークだけではなく、顧客心理や交渉方法、人間を動かす考え方まで教えていきます。
最初は出世レースとはあまり関係のないエピソードにも見えるかもしれません。
ですが、『殺し屋の出世術』は一見別々に進んでいる出来事が、あとになって別の意味を持ち始めるタイプの作品です。
営業セミナー、組織内部の人間関係、情報収集、鳥井が持っている交渉材料。細かな出来事を覚えておくほど、物語が進んだときに「あれはそういう意味だったのか」と感じやすくなります。
ただし、本作の面白さは単に「鳥井が全部を予想していました」という万能主人公ものではありません。
鳥井の考えを読もうとする鷹見側も動きますし、鳥井の仲間たちにもそれぞれ事情があります。情報を利用しているつもりの人物が、逆に誰かから利用されているかもしれない。そんな疑いが何度も生まれます。
営業、社内政治、情報戦が同時進行することで、「いったい誰が盤面を動かしているのか」が簡単には見えなくなる。これこそ本作の大きな見どころかなと思います。

殺し屋の出世術のあらすじまとめ
『殺し屋の出世術』のあらすじを簡単にまとめると、殺人請負会社・極東コンサルティングで実績を上げている凄腕営業マンの鳥井一樹が、会社の次期社長を決める命懸けの出世レースへ強制参加させられる物語です。
対戦相手となる鷹見竜之介は、上部組織との関係や人脈で鳥井を上回る存在。しかも鳥井自身は管理職への出世を望んでいるわけではありません。
そこで鳥井は、得意の営業、交渉、情報収集、人材育成を駆使しながら、自分に不利な状況を少しずつ動かそうとします。
- 前作から約半年後を描くシリーズ第2作
- 今回のテーマは外部営業ではなく社内営業
- 鳥井と鷹見が次期社長の座を争う
- 営業だけでなく組織政治と情報戦が重要になる
- 鳥井の部下や鷹見側の人物にも物語の焦点が当たる
- 複数の出来事がどのようにつながるかが見どころ
私が特に注目したいのは、タイトルに「出世術」とありながら、単純なサクセスストーリーにはなっていないところです。
一般的な出世物語なら、「どうすれば社長になれるのか」がゴールになるでしょう。しかし鳥井は、営業成績を上げることは好きでも、社内政治そのものにはほとんど興味がありません。
だからこそ、「そんな鳥井が出世を強制されたら、どうやって状況を営業案件へ変えるのか」という発想が作品の個性になっています。
また、鳥井だけを見るのではなく、耳津、籠原、樫尾、鷹見、翼といった周囲の人物にも注目したいところです。誰を信頼するのか、誰のために動くのか。それぞれの関係が少しずつ変化していくことで、単なる頭脳戦以上の人間ドラマが生まれています。
この記事では読書前の楽しみを残すため、出世レースの最終的な勝敗、終盤で明かされる人物関係の真相、鳥井が最後にどのような手を打つのかについては紹介していません。
続きが気になったなら、そこから先はぜひ本編で確かめてみてください。「殺し屋」と「営業」という異色の組み合わせを、今度は「社内政治」へ広げた作品なので、前作の鳥井の営業スタイルが好きだった方ほど楽しみやすい一冊ですよ。

