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一穂ミチ『たぶん、恋しい』のあらすじと感想|全6篇を解説

管理人が実際に所有してい「たぶん、恋しい」の小説本をスマホで撮影した画像。 あらすじ・要約
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こんにちは、あらすじブックマークの管理人おうみです。

一穂ミチさんの『たぶん、恋しい』を読み終えたあと、私はしばらくタイトルを見返していました。「恋」でも「愛」でもなく、なぜ「恋しい」なのか。しかも、その前には少し頼りなげな「たぶん」が付いています。

本作に収められているのは、恋人、夫婦、家族、ペットなど、誰かを大切に思う気持ちを描いた6つの短編です。ただ、いわゆる甘い恋愛短編集を想像すると、かなり違った読書体験になるかもしれません。登場人物が抱えているのは、自分でもうまく説明できない感情や、他人から見るとちょっと不思議に映る思いばかりだからです。

私自身、読みながら「これは分かる」と感じる場面もあれば、「自分だったらどうするだろう」と立ち止まる場面もありました。そこでこの記事では、『たぶん、恋しい』のあらすじを全6篇ごとに紹介しながら、タイトルの意味や読後に感じたことまで、できるだけ分かりやすくお伝えします。

各作品の設定には触れますが、初めて読む楽しみを奪わないよう、結末の決定的な部分は伏せています。

今回の記事でわかること
  • 『たぶん、恋しい』全6篇のあらすじ
  • 収録作品それぞれの見どころ
  • タイトルの「恋しい」が表すもの
  • 読了した管理人おうみの感想とおすすめしたい人

『たぶん、恋しい』は、一穂ミチさんが描く6篇の短編集です。恋愛だけでなく、夫婦、家族、喪失、年齢を重ねること、誰かと一緒に生きる難しさまで扱われています。

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『たぶん、恋しい』のあらすじと全6篇

『たぶん、恋しい』には、「エンパイアライン」「わたしたちは平穏」「月を経る」「あなた」「すげえ泣くじゃん」「たぶんそんな感じ」の6篇が収録されています。

物語同士が直接つながる連作短編集ではないので、基本的には一篇ずつ独立して楽しめます。それでも最後まで読むと、どの物語にも「自分にとって、かけがえのないものとは何か」という問いが流れているように感じました。

項目内容
書名たぶん、恋しい
著者一穂ミチ
出版社新潮社
発売日2026年6月17日
ページ数192ページ
ISBN978-4-10-356951-0
収録作品全6篇

書誌情報については、新潮社『たぶん、恋しい』作品ページでも確認できます。

Amazonで『たぶん、恋しい』の紙書籍を探す場合は、作品名と「一穂ミチ」の著者名を一緒に確認しておくと、同名作品との取り違えを防ぎやすいですよ。販売価格や在庫は変わることがあるため、購入時点の表示を確認してください。

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エンパイアラインのあらすじ

「エンパイアライン」は、合コンで知り合った女性と付き合い始めた男性を中心に進みます。

彼女は、とにかく猫を大切にする人です。デートより猫を優先し、夜遅くまで外出せず、旅行にも簡単には出かけません。普通なら恋人として少し寂しく感じてもおかしくない状況ですが、主人公は彼女の「猫ファースト」な生活も含めて受け入れています。

付き合い始めて半年が過ぎ、ついに彼女の部屋を訪れることになりました。これまで話に何度も登場してきた愛猫にも、ようやく会えるはずです。

ところが部屋を訪れた主人公は、そこで想像していなかった状況に直面します。

この短編で面白いのは、「本当に存在しているかどうか」と「本人にとって大切かどうか」が、必ずしも同じではないところでした。

外から見れば変わったことでも、本人にとっては日々を生きるために必要なものかもしれない。では、恋人としてそれをどこまで受け入れるのか。本作の最初から、一穂ミチさんらしい少し不思議な問いを渡されます。

猫のそばで本を抱えながら夕暮れの窓辺を見つめる女性

◆管理人のワンポイントアドバイス

私は最初の一篇を読んだ時点で、「普通かどうかを判断する話ではないんだな」と感じました。相手にしか見えていない大切なものを、自分はどこまで信じられるのか。そこに注目すると、かなり印象が変わる短編だと思います。

わたしたちは平穏のあらすじ

「わたしたちは平穏」に登場する男女は、かなり似たところのある二人です。

濃い味の食事を好まず、生活にも恋愛にも派手さを求めません。感情をぶつけ合うような関係より、静かで波風の少ない毎日を心地よく感じています。そんな二人が一軒家で暮らし始めるところから、物語は少しずつ奇妙な方向へ動いていきます。

同棲を始めてから、女性は家の中で華やかな姿をした女性の気配を見るようになります。

最初は見間違いなのか、それとも本当にそこにいるのか分かりません。しかし、その存在は二人の平穏な暮らしに入り込み、やがて彼が過ごしてきた過去とも無関係ではないように思えてきます。

題名は「わたしたちは平穏」なのに、読み手の側には少しずつ落ち着かなさが積み重なっていく。この感じが面白いんですよね。

しかも、本作が描いているのは単純な怪談ではありません。過去の誰かへの気持ちは、関係が終わったら消えるものなのか。今そばにいる人を大切にしていれば、昔の感情を持っていてはいけないのか。そうした答えの出しにくい問題が、日常生活の中へ静かに入り込んできます。

静かな部屋で距離を置いて過ごす男女とすれ違う夫婦関係のイメージ

人間の心は、冷蔵庫の中身のように「必要」「不要」で簡単に分けられない。私はそんなことを考えながら読みました。

月を経るのあらすじ

「月を経る」の主人公は48歳の緋沙子です。

年齢を重ね、更年期に差しかかった彼女は、月経の変化に戸惑いながら日々を過ごしています。一方で、若い頃のように「女性であること」を過剰に意識しなくてもよくなった現在の自分に、どこか居心地の良さも感じていました。

そんな緋沙子には、一回り年下の恋人がいます。

二人の付き合いは穏やかで、何かを急いで決める必要もない関係に見えていました。ところがある日、彼から突然結婚を申し込まれます。

ここで緋沙子は、素直に喜ぶことができません。

自分はこれから閉経へ向かっていく年代であり、相手にはまだ別の人生も選べる。結婚や子どもという可能性まで考えると、「本当に自分でいいのか」という思いが出てきてしまいます。

ただ、この作品は年齢差恋愛を単純に肯定したり否定したりする話ではありません。むしろ印象に残るのは、人生にはいつの間にか選ばなかった道が増えていく、という感覚です。

若い頃には無数にあるように見えた可能性が、時間とともに少しずつ姿を変えていく。それを「失った」と見るのか、それとも「ここまで生きてきた」と受け止めるのか。緋沙子の迷いを通して、読む側も自分の年齢や人生を考えさせられます。

月夜の窓辺で年齢やこれからの人生について物思いにふける女性

「月を経る」は、恋愛だけでなく、年齢を重ねること、結婚、出産、自分の身体との付き合い方が重なる一篇です。若い恋人との関係だけに注目せず、緋沙子自身がこれからどう生きたいのかを見ると、物語がぐっと身近になります。

あなたのあらすじ

「あなた」は、長い単身赴任生活を終えた夫と、その夫を家に迎える妻の物語です。

夫婦ではあるものの、夫は結婚生活の大半を単身赴任先で過ごしてきました。娘はすでに成長して家を出ています。つまり、久しぶりに夫婦二人だけの生活が始まるわけです。

長年一緒に暮らしてきた夫婦なら自然に元の生活へ戻れそうですが、実際にはそう簡単ではありません。

妻にとって目の前の夫は、知っているはずなのに少し知らない人にも見えます。そして、どうしても気になってしまうのが夫の目元です。

「もしかして整形した?」

そう思うものの、本人にはなかなか聞けません。

この設定だけ聞くと少しコミカルですが、読んでいくと「夫婦は相手のことをどこまで知っているのだろう」という話に見えてきます。

二十年以上離れて暮らしていれば、知らない習慣や知らない時間が積み重なります。それでも夫婦という名前は続いている。この作品では、長く続いた関係だからこそ生まれる距離感がとても自然に描かれていました。

私は、夫の目そのものよりも、「聞きたいのに聞けない」という妻の気持ちが印象に残りました。何十年も夫婦でいても、全部を知っているわけではない。その少しの空白が、むしろ人と人の関係らしく感じられる一篇です。

すげえ泣くじゃんのあらすじ

「すげえ泣くじゃん」の主人公は27歳の青年です。

ある日、遠くで暮らしている小学6年生の甥が突然訪ねてきます。甥の母親は主人公の姉ですが、3年前から行方が分からなくなっていました。

甥はテレビのニュース映像に母親らしき人物が映っているのを見つけ、会いに行きたいと言います。

ところがその日は、主人公が恋人と出かける予定の日。予定外の甥が加わり、三人で車に乗って母親を探しに行くことになります。

海辺の車のそばで遠くを見つめる叔父と少年の旅をイメージした風景

この物語は、失踪した姉を探すという大きな出来事から始まりますが、私が読んでいて惹かれたのは三人の会話でした。

甥にとって母親は、自分を置いていった人である一方、どうしても会いたい人でもあります。主人公にもまた、姉について簡単には説明できない思いがある。そして主人公自身も、周囲に話してこなかったことを抱えています。

家族だから愛している。家族だから許せる。現実は、そんなにきれいに一本の線ではつながりません。

腹が立っているのに会いたい。理解できないのに気になる。傷つけられたのに忘れられない。そういう矛盾した感情が、この作品にはとても自然に同居しています。

なお、新潮社では本作の刊行に合わせて「すげえ泣くじゃん」の無料お試し版が公開されています。購入前に文章の雰囲気を知りたい場合は、新潮社『たぶん、恋しい 無料お試し版』を確認してみるのも一つです。

たぶんそんな感じのあらすじ

最後に収録されている「たぶんそんな感じ」は、仕事を辞めることになった女性が主人公です。

そんな彼女のもとへ、海外を飛び回っている母親から連絡が入ります。高齢者向けの住まいで暮らしている大叔母を迎えに行ってほしいというのです。

大叔母は元文化人類学者。ところが施設では、何を聞かれても言葉ではなく指笛で応えるようになり、その音をめぐって周囲との問題が起きていました。

主人公は大叔母を連れて、かつて暮らしていた場所へ向かいます。

ここまでの5篇と比べても、かなり変わった入口の物語です。それなのに読み進めると、妙に人間らしい気持ちが見えてくるのが不思議でした。

言葉にできないから笛を吹くのか。言葉にしたくないから笛を吹くのか。それとも、本人にしか分からない何かを誰かへ伝えようとしているのか。

そもそも人間同士は、普段から言葉で話しているからといって、完全に分かり合えているわけではありません。説明したつもりでも伝わらず、何気ない仕草だけで気持ちが伝わることもあります。

本作の最後にこの作品が置かれていることで、私は「人を理解するとはどういうことだろう」ともう一度考えさせられました。

◆管理人のワンポイントアドバイス

6篇を一気に答え合わせしようとせず、「この人にとって必要だったものは何だったんだろう」と考えながら読むのがおすすめです。分かり切らない部分が残るからこそ、自分の経験を重ねられる短編集だと感じました。

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『たぶん、恋しい』のあらすじから読む感想

ここからは全6篇を読んで私が感じたことを中心にお話しします。

『たぶん、恋しい』は、恋愛短編集という言葉だけでは収まりません。恋人への気持ちもあれば、夫婦の年月、家族への未練、失った人や今はいない存在への思いも描かれます。

そして共通しているのは、本人にも名前を付けにくい感情です。それを無理に「愛」と決めつけず、「たぶん、恋しい」と少し余白を残した題名にしたところが、この本の魅力そのものだと思います。

タイトルに込められた意味

読み始める前、私は『たぶん、恋しい』というタイトルを、誰かに会いたくなる気持ちを表した言葉だと思っていました。

ところが6篇を読むと、もっと広い言葉に見えてきます。

「恋しい」は、今そばにいる人だけに向ける感情ではありません。もう会えない人、離れてしまった人、昔の自分、失った時間、あるいは他人には存在すら理解されないものにも向けられます。

しかも、必ずしもきれいな気持ちではないんですよね。

腹立たしさが混じることもあれば、後悔や罪悪感が残っている場合もあります。大切だったと言い切るには複雑すぎる。それでも、なぜか心から消えない。

そこで出てくるのが「たぶん」という言葉です。

自分でも説明できないけれど、これはたぶん恋しいという感情なのだろう。そんな少し曖昧な言い方だからこそ、6篇に登場する人たちの気持ちを包み込めるのだと私は感じました。

ちなみに、本書には「たぶん、恋しい」という題名の短編そのものはありません。6篇をまとめて読み終えたときに初めて、タイトルが全体へじわっと広がってくる作品です。

読んで感じた三つの魅力

私が読んで特に印象に残った魅力は三つあります。

一つ目は、他人から見れば変わっている感情を、簡単に否定しないことです。

架空かもしれない存在を大切にすることも、過去の人を忘れられないことも、家族に複雑な感情を抱えることも、外側からなら簡単に意見を言えます。しかし、本人にとってそれが生きる支えなら話は変わります。

本書は「それは正しい」「それは間違っている」と裁く方向へ急ぎません。この距離感が心地よかったです。

二つ目は、日常の会話がうまいこと。

とんでもない事件が連続する小説ではありません。ちょっとした食事、車の中のやり取り、家の中で交わされる言葉。その何でもなさそうな会話から、人物同士の距離が見えてきます。

だからこそ、ふとした一言が妙に刺さります。

三つ目は、読み終えても感情が一つに決まらないところです。

「感動した」「悲しかった」「幸せになった」と簡単には終われません。少し寂しいのに温かかったり、理解できないのに嫌いになれなかったりする。その混ざった感じが、本のタイトルともきれいにつながっています。

この本は、物語の出来事だけを追うより、登場人物が誰を、何を、どうして手放せないのかに注目すると面白さが増します。

読後感は優しいだけではない

出版社では希望を感じさせる短編集として紹介されていますし、実際に読み終えたあと救われるような場面もあります。

ただ、私には「ただ優しい本」とは感じられませんでした。

人には、他人に説明できない部分があります。

恋人に話していない秘密。夫婦なのに知らない時間。家族だからこそ口にできないこと。本人にしか見えていない大切なもの。

そういうものを抱えたまま人と生きていくのは、けっこう面倒です。相手を完全に理解することなんてできません。

それでも、一緒にいることはできる。

私は本書の優しさは、「全部分かってあげよう」とするところではなく、分からない部分が残った相手と、それでも暮らしていけるかもしれないと描いているところにあると思いました。

これは現実の人間関係にも近いですよね。

家族でも恋人でも、考えていることを100%共有するのは無理です。むしろ長く付き合うほど、「こんなことを考えていたんだ」と驚かされる瞬間があります。

あなたにも、誰にも説明していないけれど大切にしているものはありませんか。

その存在を思い浮かべたとき、この本の「恋しい」という言葉が少し違って見えるかもしれません。

一穂ミチ作品らしさ

一穂ミチさんは、『スモールワールズ』『光のとこにいてね』『ツミデミック』『恋とか愛とかやさしさなら』などでも、人と人の間に生まれる距離や感情を描いてきた作家です。

『たぶん、恋しい』でも、誰かを大切に思う気持ちは単純ではありません。

好きだからずっと一緒にいたいとは限らないし、離れているから気持ちがなくなったとも限らない。家族だから分かり合えるわけでもなければ、他人だから分かり合えないとも限りません。

こうした「どちらとも言い切れない部分」をすくい取るのが、本作でも印象的でした。

さらに、日常の中へ少しだけ不思議な出来事が入り込む作品があるのも特徴です。

ただし、その不思議な現象の仕組みを解き明かすことが目的ではありません。なぜその人には、その存在が必要なのか。物語の中心にあるのは、あくまで人の感情だと思います。

そのため、謎がすべて説明されるタイプの小説を求めていると、少し余白が多く感じられるかもしれません。反対に、読み終えてから「あれはどういう意味だったんだろう」と考えるのが好きな人には相性がいいでしょう。

どんな人におすすめか

『たぶん、恋しい』は、派手な事件が次々と起こる物語より、人間の心の動きをじっくり読みたい人に向いています。

特におすすめしたいのは、恋愛だけに限定されない「誰かを思う小説」が好きな人です。

夫婦、親子、きょうだい、恋人、年齢差のあるカップルなど、登場する関係はさまざま。どれか一篇くらいは、自分自身や身近な誰かを思い出す物語があるのではないでしょうか。

また、長編小説を一気に読む時間がなかなか取れない人にも読みやすいです。それぞれ独立した短編なので、一篇ずつ間を空けても問題ありません。

反対に、すべての伏線が回収され、登場人物の選択に明確な答えが出る物語を期待している場合は、少し好みが分かれるでしょう。

本作は、すべてを説明し切るタイプの短編集ではありません。人物の感情や結末のあとを読み手に委ねる部分があります。そこを「余韻」と感じるか「もっと知りたい」と感じるかで、読後の印象は変わりそうです。

私は、その答えを残したまま終わる感じも含めて『たぶん、恋しい』なのだと思いました。

一穂ミチ『たぶん、恋しい』をAmazonで探す場合は、紙版と電子版を間違えないよう商品形式を確認してから選ぶと安心です。

ネタバレを避けて楽しむコツ

『たぶん、恋しい』は、事前に知らないほうが面白い仕掛けを含む短編があります。

そのため、これから初めて読むなら、最初から詳しい結末まで調べすぎないほうがいいかなと思います。

特に「エンパイアライン」や「すげえ泣くじゃん」は、読み進めながら登場人物について新しく知っていく感覚そのものが魅力です。

まずは各作品の設定だけ確認して読み、本を閉じてから感想や解釈を探す。私はこの順番をおすすめします。

また、6篇は独立しているため、「少し合わないかも」と感じる作品があっても、そこで本を閉じてしまうのはもったいないです。

扱う年代も関係性もかなり違います。「月を経る」が一番響く人もいれば、「あなた」の夫婦関係が身近に感じられる人、「すげえ泣くじゃん」に心をつかまれる人もいるでしょう。

一篇ごとに違う角度から「かけがえのない存在」が描かれる。その振れ幅も、この短編集の楽しさです。

◆管理人のワンポイントアドバイス

私なら最初は収録順に読みます。最後の「たぶんそんな感じ」まで読んでから表紙の『たぶん、恋しい』という文字を見ると、最初に見たときとは少し意味が変わって感じられました。

『たぶん、恋しい』のよくある質問(FAQ)

Q1. 『たぶん、恋しい』はどんな話ですか?

A. 恋人、夫婦、家族など、さまざまな関係の中で生まれる「かけがえのない存在」への思いを描いた全6篇の短編集です。一般的な恋愛小説だけではなく、喪失や年齢、家族への複雑な感情なども扱われています。

Q2. 『たぶん、恋しい』は恋愛小説ですか?

A. 恋愛を扱う作品もありますが、恋愛だけの短編集ではありません。夫婦、家族、過去に関わった人、本人だけが大切にしている存在など、幅広い「誰かを思う気持ち」が描かれています。

Q3. 収録されている短編は何ですか?

A. 「エンパイアライン」「わたしたちは平穏」「月を経る」「あなた」「すげえ泣くじゃん」「たぶんそんな感じ」の6篇です。「たぶん、恋しい」という題名の短編が収録されているわけではなく、書名が6篇全体を包む形になっています。

Q4. ネタバレを知らずに読んだほうがいいですか?

A. 個人的には、初読では結末を知らない状態をおすすめします。いくつかの短編では、登場人物について途中で分かること自体が読書体験につながっています。最初は基本設定だけ確認し、読み終えてから詳しい感想を読むと楽しみやすいでしょう。

Q5. 『たぶん、恋しい』は試し読みできますか?

A. 新潮社では刊行時に収録作「すげえ泣くじゃん」を読める無料お試し版が公開されています。公開状況は変更される可能性があるため、読む時点で新潮社公式ページを確認してください。

『たぶん、恋しい』のあらすじまとめ

一穂ミチさんの『たぶん、恋しい』は、誰かと生きることの難しさと、それでも誰かを必要としてしまう人間の気持ちを描いた6篇の短編集です。

一見すると奇妙に見える行動にも、その人にしか分からない理由があります。過去の人を忘れられないことも、今はいない存在を大切にすることも、家族への気持ちが愛情だけでは済まないこともあるでしょう。

本作は、そうした感情に無理やり名前を付けません。

  • 全6篇を通してかけがえのない存在が描かれる
  • 恋愛だけでなく夫婦や家族の関係も扱われる
  • 結論を決めつけず読み手に余韻を残す作品が多い
  • タイトルの「恋しい」が読後にじわじわ意味を変える

私が読み終えて一番心に残ったのは、人を完全に理解できなくても、その人を大切にすることはできるという感覚でした。

誰にも説明できないものを抱えている人もいれば、自分自身でも気持ちを説明できない人もいます。それでも、その分からなさを抱えたまま誰かと暮らし、誰かを思い、また日常へ戻っていく。

それを恋と呼ぶには少し違う。愛と断言するにも、どこか違う。

じゃあ何なのかと聞かれたら――たぶん、恋しい。

読み終えた今、この少し曖昧なタイトル以上に6篇を表せる言葉はないように、私は感じています。

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